2020.06.29 ■東京海上日動、商船三井テクノトレードほか 「せとうちクレイドルプロジェクト」開始[2020年6月15日]

 東京海上日動、商船三井テクノトレード㈱(東京都中央区、八田宏和代表取締役社長)、ヤンマーマリンインターナショナルアジア㈱(大分県国東市、掘井正信代表取締役社長)、㈱アクアネット広島(広島県広島市、辻村麻衣子代表取締役社長)の4社は6月15日、水素等を利活用した気候温暖化対策(ゼロ・エミッション)の実現と船舶の操船に関するナビゲーションシステムの導入等で高度な安全性を実現する国内の先進的船舶の実践投入の事業化を共同で検討していくための基本合意書を締結した。

 今回の検討は、大容量のエネルギーを必要とする大型船とは異なり、比較的必要とされるエネルギー量が少ない小型観光船をモデル事業とし、これからの小型船舶や内航輸送船の技術開発の進展に寄与することを目的にしている。あわせて、陸上からの水素等の供給システムのあり方等さまざまな課題に対して、今回のモデルを広島地区として設定した上で、広島大学、東京大学先端科学技術研究センター等研究機関ならびにエネルギーインフラ関連企業等との産学官連携を図って解決に取り組んでいくとしている。
 「せとうちクレイドルプロジェクト」と名付けられたこのプロジェクトでは、今後、各社の事業内容に即した役割分担を行うことで以下5点の検討を進めていく。
 ①小型観光船を念頭に置いた水素等の利活用によるゼロ・エミッション船または同等の機能を持つ船舶の開発検討。ただし、この船舶は、船内環境において航行中の静寂性を確保できるものを前提とする。
 ②自律運航に関する技術を活用した高度有人型航行支援システム等の導入。
 ③②と連動した陸上における運航モニタリングの実施。
 ④本プロジェクトによって開発された船舶を実践投入することを前提とした共同事業化に関するビジネスモデルの検討。
 ⑤導入する技術に関するリスクマネジメントならびにリスクファイナンスの検討。
 なお、補助的エネルギー源として太陽光や風力等再生可能エネルギーを活用できる設備の採用も併せて検討していくとしている。
 参加企業の商船三井テクノトレードは、船舶用燃料油・潤滑油、各種機器・資材、省エネデバイス等の販売、エンジニアリングサービスや環境・安全分野の新規商材を手掛ける会社。また、ヤンマーマリンインターナショナルアジアは、プレジャーボート、FRP漁船、特殊船、海洋機器の開発・製造およびアジア地域への販売・サービスなどを行う会社。アクアネット広島は、観光船、交通船および警戒船の運航事業を行っている。
 プロジェクトの名称は、環境対策と先進技術を編むように具現化することを、穏やかな瀬戸内海で「ゆりかご」のように静かで安らかに航跡を海面に編む様子に見立てたものとのこと。