2020.05.01 ■損保各社、特定感染症補償商品を改定 新型コロナウイルス対象に[2020年]

 損保各社は、特定感染症を補償する各種商品について、新型コロナウイルス感染症を補償対象とする商品改定を実施する。新型コロナウイルス感染症は、現在「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」における「指定感染症」に位置付けられているが、将来、保険の補償対象となる一類または二類感染症に指定される予定で、金融庁が10日、「保険契約者等保護の観点から、前例にとらわれることなく、柔軟な保険約款の解釈・適用や商品上の必要な措置を検討」するように要請したことを受けての対応。

東京海上日動
 東京海上日動は、総合生活保険・傷害補償、介護事業者向けの超ビジネス保険(賠償責任に関する補償)等について、補償対象となる感染症の範囲を拡大し、新型コロナウイルス感染症についても補償対象とする。総合生活保険・傷害補償「特定感染症危険補償特約」等について、現在補償対象としている一類感染症から三類感染症に加え、「一類感染症から三類感染症と同程度の措置が講じられている指定感染症」についても補償対象とし、入院保険金・通院保険金等を支払う。超ビジネス保険(賠償責任に関する補償・〈介護業務〉特定感染症事故)等では、現在補償対象としている一類感染症から三類感染症に加え、介護サービス利用者が施設において「一類感染症から三類感染症と同程度の措置が講じられている指定感染症」を発症した場合の施設の消毒費用等についても補償対象とする。
 また、海外旅行保険等における疾病を補償する特約については、補償対象となる「治療開始までの期間」を緩和する。現在は「保険期間が終了してから72時間以内に治療開始」した場合を補償対象としているが、「一類感染症から四類感染症および一類感染症から三類感染症と同程度の措置が講じられている指定感染症」については「保険期間が終了してから30日以内に治療開始」した場合を補償対象とする。上記以外の疾病については「72時間以内」で変更ない。改定は、20年2月1日にさかのぼって適用し、具体的には同年2月1日が保険期間に含まれる契約、同年2月1日以降に保険始期がある契約を対象とする。
 なお、既に引き受けている旅館・ホテル等向けの一部商品(食中毒・特定感染症利益担保特約等を付帯した契約)についても、同様の取り扱いを行う(自主休業は対象外)。

三井住友海上
 三井住友海上は、傷害保険では、団体総合生活補償保険、学生・こども総合保険について、特定感染症危険「後遺障害保険金、入院保険金および通院保険金」補償特約、特定感染症危険「葬祭費用保険金」補償特約で、新型コロナウイルス感染症も新たに保険金の支払い対象に含める。なお、既に加入している顧客が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合は、加入後10日以内に発病した場合であっても、保険金の支払い対象とする予定だ。
 海外旅行保険「ネットde保険@とらべる」では、疾病死亡保険金支払特約、治療・救援費用補償特約(疾病治療費用部分)、疾病治療費用補償特約について、新型コロナウイルス感染症で保険金の支払い対象となる「治療開始までの期間」を旅行期間終了後「72時間以内」から「30日以内」に緩和する予定だ。
 休業損害を補償する保険(企業火災保険・新種保険)の改定では、「限定列挙」で感染症を定義している(現在、新型コロナウイルスは補償対象外)次の商品・特約について、施設従業員または顧客等の来場者に新型コロナウイルス感染症の感染が判明し、当該施設が休業(保健所等の指示に基づく休業)した場合等に、一時金として20万円の支払いを予定している。
 ▽ビジネスキーパー〈事業活動総合保険〉(ベーシック、ワイド、ワイドPlus〈保険始期日19年10月1日~〉、スリムⅡ、スタンダード〈保険始期日15年10月1日~19年9月30日〉、スリム、スタンダード〈保険始期日15年9月30日まで〉の休業損害を補償する契約プラン▽店舗休業保険(すべての契約)▽プロパティ・マスター〈企業財産包括保険〉(休業損害補償特約または食中毒・特定感染症利益補償特約がセットされた契約)▽企業費用・利益総合保険ビジネスプロテクター(食中毒・特定感染症利益補償特約がセットされた契約)▽生産物賠償責任保険・旅館賠償責任保険・店舗賠償責任保険(食中毒・特定感染症利益補償特約がセットされた契約〈※保険始期日が19年10月1日以降の契約で、補償される感染症に「新型コロナウイルス感染症」を含まないものに限る〉)▽事業財産総合保険(休業損失等補償条項において、休業損失を補償している契約)。いずれの商品も、施設での感染や消毒等の措置を伴わない、政府・地方自治体等による休業要請に基づく自主休業等は補償対象外としている。20年2月1日に遡及(そきゅう)して適用する予定で、同日以降に生じた事故日時点において、有効であった同社との保険契約についても対象となる。また、改定による追加保険料の請求はない。

あいおいニッセイ同和損保
 あいおいニッセイ同和損保は、保有契約・新規契約を問わず、約款所定の感染症を補償している契約について、新型コロナウイルス感染症を補償対象に追加、または保険金支払いの要件を緩和する。個人向け商品では、傷害保険など特定の感染症に罹患した場合に入院、通院または葬祭費用等を補償する保険において、新型コロナウイルス感染症を補償対象とする。海外旅行保険では、新型コロナウイルス感染症に罹患した場合に保険金を支払うための要件として「帰宅後72時間以内の治療開始」としていたところ、「帰宅後30日以内の治療開始」に緩和する。
 企業向け商品では、▽火災保険など感染症に伴う休業損害、利益減少を補償する保険(政府・自治体等からの要請・指示に基づく休業および自主休業は対象外。店舗等が新型コロナウイルスに汚染され、保健所等による営業停止や消毒などの措置がなされ休業損害等が生じた場合、または店舗等が新型コロナウイルスに汚染された疑いがあり保健所等により消毒などの措置がなされ休業損害等が生じた場合に限る)▽介護・福祉事業者を補償する保険(従業員等への見舞金、施設の消毒・清掃費用、利用者の移送・宿泊費用等)▽従業員等の労働災害を補償する保険(従業員等への補償金)▽NPO活動を補償する保険(活動従事者への見舞金)―について、新型コロナウイルス感染症を補償対象とする。
 いずれも20年2月1日時点の保有契約および同日以降の保険始期契約(約款所定の感染症を補償している契約)が対象となる。