2020.04.10 ■損保各社 「緊急事態宣言」で業務規模縮小、必要最小限要員で重要業務継続[2020年4月7日]
新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受けて日本政府が4月7日に「緊急事態宣言」を発令したことに伴い、損保各社では該当地域の拠点の業務規模を縮小する。出社する従業員数をこれまで以上に制限し、重要業務を必要最小限の要員で継続する。近年、整備を進めていた在宅勤務体制などにシフトしながら緊急事態に対処する。
7日に発令した緊急事態宣言の対象地域は東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、効力は5月6日まで。東京海上日動、損保ジャパン、三井住友海上など損保各社では、緊急事態宣言を受けて該当地域の拠点における出社人数割合をさらに縮小し、在宅勤務等にシフトしながら損害保険の機能を維持するための事業を継続していく。
出社する従業員の通勤時の感染リスクを抑えるため、会社によって通常は許可していないマイカー、社有車、タクシー、自転車などでの出社を認め、やむを得ない理由で在宅勤務ができず休暇を取得する社員には特別休暇を適用する。
営業店では、「保険事故受付」「保険金・満期返戻金の支払」「保険契約の締結(契約更新手続き、契約内容変更・解約手続き、顧客から申し出のあった新規契約手続き)」といった契約の保全対応等を中心に業務を継続していく。窓口業務は基本停止し、自賠責の解約・異動など急を要する重要な手続きに限定して実施する。
積極的な営業推進は行わず、原則として顧客や代理店への訪問も控える。代理店から顧客への案内についても電話、郵送、インターネットなどの活用を推奨する。
損害サービス部門でも、重要業務である「保険金支払業務」を最小限の社員が出社して対応し、残りの従業員は在宅勤務を実施する。一方で、事故受付コールセンターでは、出社人数割合を縮小しつつも通常どおり稼働し、会社によっては、インターネットで事故報告する方法も併用する他、対象地域以外の地域に転送して対応する体制も構築している。
また、カスタマーセンター等への問い合せ先については、営業時間を一部短縮する場合がある一方、インターネットでチャットボットによる対応を行う会社もある。
近年、損保各社では、セキュリティを担保しつつ従業員が自宅でもシステムにアクセスできる仕組みを構築しており、回線のさらなる増設や携帯電話の貸与などと併せ、在宅勤務体制にシフトしながら事業を継続していく。これまで働き方改革による生産性向上の側面が強かったテレワークは、今回の事態を機にBCPに不可欠な手段として普及が加速する可能性がある。