2020.04.09 ■東京海上日動 「事故状況再現システム」導入、業界初、AIが事故映像を解析[2020年3月17日]

 東京海上日動は3月17日、データソリューション事業を行う㈱ALBERT(東京都新宿区、松本壮志社長)と共同開発した「事故状況再現システム」を導入した。AIがドライブレコーダーで取得した映像センサーやデータを解析して事故状況を再現し、自動車事故の責任割合の参考値を自動算出する。AIが責任割合を自動算出することで、保険金の迅速な支払い、損害サポート部門や代理店の事故対応力向上を支援するシステムを実装するのは業界初であり、大きな注目を集めそうだ。

 「事故状況再現システム」を利用できるのは、同社が販売する自動車保険の特約サービス「DAP/ドライブエージェントパーソナル(個人向け)」や「DA/ドライブエージェント(法人向け)」を付帯した契約者。同社が貸与するドライブレコーダーが強い衝撃を検知すると、端末から自動で同社事故受付センター(提携会社の㈱プレミアエイド)のオペレーターに連絡がつながる。オペレーターが救急要請の要否などを確認する一方、ドライブレコーダーの情報が保険会社に連携されると、5分ほどで事故時の映像、加速度センサーのデータ、地図データなどから得られた情報を基にAIが事故状況の解析を行い、事故状況図や車両損傷図、また、6300通りに上る過去の判例や同社の事故事例から自動判定した責任割合の参考値が作成される。作成された解析結果は保険会社に連携され、事故担当者は当該解析データを参照した上で、契約者に直接、あるいは契約者の担当代理店を通じて事故の初期対応を行う。
 これまでは、契約者からの電話等での説明のみで現場の事故状況を確認しなければならず、聞き取りに時間がかかったり、調査員を現場に派遣して不明点をレポートしてもらうのに1週間程度要したりするケースがあった。同システムでは事故担当者や担当代理店が電話をかける前に事故状況を把握できるため、契約者への確認もスムーズに進めることができ、契約者の事故報告にかかる負担を軽減する他、事故対応力の強化にもつなげられる。
 また、解析結果は「お客様ご案内資料」として顧客に提供することも可能で、事故現場での実況見分で警察からヒアリングを受ける場合や、示談交渉に向けて弁護士と打ち合わせする場合の説明ツールとして活用することができる。客観的データに基づく資料が作成されることで、損害サービス部門の示談交渉がよりスムーズに進むことにも期待がかかる。
 すでに、同システムを使っているオペレーターに事故報告を行った顧客からは、「事故状況がそんなに分かっているのか」といった驚きと安堵の声が寄せられているという。
 同システムの開発に携わった同社営業企画部マーケティング室では、「事故状況再現システムによってより品質の高い損害サービスの提供が可能になることから、特に代理店の皆さまにはお客さまとの関係強化に活用していただければと思う。当社では今後も、最先端のデジタル技術と人の力の融合を進めてお客さまへの価値提供に努めていきたい」としている。