2020.04.06 ■ソニー損保 運転特性連動型自動車保険販売開始、最大30%キャッシュバック[2020年3月18日]
ソニー損保は3月18日から、スマートフォンで計測した運転特性データから事故リスクを推定し、その結果に応じて保険料を最大30%キャッシュバックする運転特性連動型自動車保険「GOOD DRIVE」の販売を開始した。開発に当たってはソニーグループ各社がサポート、グループが保有する先進のテクノロジーが活用されている。
「GOOD DRIVE」は、同社の自動車保険に新たに「やさしい運転特約」をセットした商品。対人・対物、人身傷害、車両などの基本補償、ロードサービスや事故対応サービスなどは、従来の同社の自動車保険と同じ内容で提供する。「やさしい運転特約」は、キャッシュバックの条件などを規定した「やさしい運転計測特約」と、万が一の事故時の補償を手厚くするための「対人諸費用特約」「人傷介護追加払特約」の3特約で構成される。
同保険では、顧客の運転特性を計測するためのスマートフォン用「GOOD DRIVEアプリ(以下、専用アプリ)」をインストールする必要がある。専用アプリで計測される運転特性データは、「走行時間」「アクセル」「ブレーキ」「ハンドル」「走行中のスマートフォン操作の状況」から構成される。保険始期日以降に計測されるすべての運転特性データから事故リスクを推定してスコア化し(以下、運転スコア)、運転スコアに応じてキャッシュバック率を決定する。キャッシュバック率は最大30%で、全部で5段階になる。年齢や等級には関係なく「運転スコア」のみで決まるため、「20歳代の人が運転する」「等級が進行していない」といった保険料が高くなりがちな顧客や、すでに20等級で等級割引が増えないという顧客も、事故リスクの低い運転をすることで保険料の節約が可能となる。
運転特性データの計測と事故リスクの推定にはそれぞれ、専用アプリとクラウドコンピューティング環境の双方に搭載した独自のAIアルゴリズムが用いられている。専用アプリに搭載されるAIアルゴリズムは、スマートフォンの加速度センサーやジャイロセンサー、GPSから得られたデータを基に、運転中のスマートフォンの置き場所に関係なく運転特性データを計測する。走行中の車内でスマートフォンの位置が変わっても、高精度な計測が可能。
事故リスクは、計測された保険契約中の全運転特性データをクラウドコンピューティング環境に集約し、同社が保有する事故データと関連付けて作成した予測モデルによって算出される。算出された事故リスクは、専用アプリを通じて、被保険者であるドライバーに通知される。加えて、事故リスクを低減させるためのアドバイスが、個々の運転特性に応じて、シンプルかつ分かりやすく提示されるため、ドライバーは、次の運転時からすぐに改善に取り組むことができる。
毎回の運転終了後には、現在の運転スコアに加えて、運転スコア向上のためのアドバイスや走行経路、運転スコアに影響するような操作をした地点の確認が可能。顧客がこれらを参考に運転スコア向上を目指した運転を心掛けることで、キャッシュバック率をアップさせるとともに、自然に事故リスクが低減していくことも期待できる。
事故リスクとその低減方法をシンプルかつ分かりやすいユーザーインターフェースでドライバーに提示していることも特徴で、キャッシュバックというメリットを提供しドライバーに行動変容を促す効果については、販売に先駆けて行った実証実験で、事故リスクを15・3%低減させるという結果が出ており、実際にドライバーの行動に変化が起きることを確認しているという。
①保険始期日より270日以上が経過していること②累積の計測時間が20時間以上であること③運転スコアに応じたキャッシュバック率が0%でないこと―の3要件を満たしてキャッシュバックが可能になると、専用アプリに手続きに関する案内が届く。キャッシュバックの手続きは、専用アプリから簡単に行える。
スマートフォンの操作などの煩わしさを極力減らすため、顧客の運転特性は、同社が提供する専用アプリと、契約後に同社から送付する「GOOD DRIVEセットアップキット」内の「GOOD DRIVEデバイス(以下、専用デバイス)」により、自動で計測される仕様となっている。専用デバイスを契約車両のアクセサリーソケットに挿入すると、車の運転中はBluetoothの電波をスマートフォンに発信する。専用アプリは専用デバイスの電波を受信すると計測を開始し、電波が止まると計測を終了する。
「GOOD DRIVE」は、ソニー損保がこれまで蓄積してきた保険商品・サービスの開発における知見に加え、ソニーグループが保有するAIやセンシング、クラウドコンピューティングなどの技術を用いることで実現した。同社の他、ソニー㈱、ソニーネットワークコミュニケーションズ㈱が共同開発に当たり、開発時のデータ収集や専用アプリに搭載されるAIアルゴリズムのソフトウエア実装開発は、ソニーのR&Dセンターおよびソニーネットワークコミュニケーションズが担当した。
登録商標である「GOOD DRIVE」には、良い運転(=事故リスクの低い運転)促進のための“運転特性の可視化”と“インセンティブ(=キャッシュバック)を提供する仕組み”を用意することにより、事故リスクを低減し、「より良い生活や社会」の実現に貢献したい、という同社の思いが込められているという。