2020.03.31 ■SOMPOグループ・日本ユニシス 農作物安定調達出荷支援を共同開発[2020年3月12日]
SOMPOホールディングス、損保ジャパン日本興亜、SOMPOリスクマネジメント、日本ユニシスは3月12日、フードチェーン上で農作物を仲介する卸・中間事業者向けの「安定調達・安定出荷」支援サービスおよび保険の開発に連携して取り組むことに合意したと発表した。各社がこれまで蓄積してきた気象リスクに対する保険引き受けやリスクマネジメントサービス、フードチェーン分野におけるデータシステム連携、行政や民間企業が保有する各種データを活用したAIによる需要予測などの知見を融合して開発していくとしている。
近年、女性の社会進出や単身世帯の増加、高齢化の進行、生活スタイルの多様化等を背景に、これまで家庭内で行われていた調理や食事を家庭外に依存する「食の外部化」が進み、加工・業務用農作物の需要が増加している。また、消費者の利便志向に対応し、フードチェーンも、カット野菜など、利便性提供型の供給システムへと変化し、加工・業務用農作物の供給には「定時・定量・一定品質・一定価格」が求められるようになってきた。
そのような中で、産地と実需者(加工や小売り)を仲介し、実需者のニーズに合わせて安定的な供給を行う中間事業者(商社や卸業者、納入業者、食品加工メーカーなど)のフードチェーンで果たす役割が大きなものとなってきているが、一方で、農作物は工業製品とは異なり、生産量・需要量の双方が気象などの要因により常に変動することから、生産サイドの収量・品質・収穫時期などの変動リスクと、需要サイドのニーズの変動リスクの双方のリスクを負うことになる中間事業者の経営リスクが大きくなってきているという。中間事業者は、複数の契約産地(ほ場)の生育状況の把握と、実需側のニーズに応じた調達確保のための調整に多大な労力を要しているほか、予定していた調達が確保できない場合は、本来想定していなかった調達先から損失覚悟で調達を行うケースもあるとのこと。
そこで、SOMPOホールディングス、損保ジャパン日本興亜、SOMPOリスクおよび日本ユニシスの4社は、これまで未整備だった生産サイドと需要サイドの情報統合・連携を行い、中間事業者の安定調達・安定出荷を支援するサービスおよび保険の開発に取り組むことにした。
開発に当たっては、生産関連データから需要データまで、フードチェーンに関連するデータを幅広く集約、これらのデータと日本ユニシスのデータ・AIサービス「RinzaR」(注)のナレッジを活用し、農作物収穫量・品質・収穫時期予測モデルと需要予測モデルを開発する。これらの予測モデルから、中間事業者に対し、収穫や需要の予測情報を提供し、中間事業者による産地の収穫時期と実需のタイムリーなマッチングや、最適化のための生産サイドと実需サイド双方への働き掛けを支援する。
また、損保ジャパン日本興亜は、異常気象などの不測の事態により、中間事業者が産地(ほ場)から農作物を調達できなくなった場合の代替調達にかかる費用を補償する保険(代替調達費用補償保険)を提供し、中間事業者の経営の安定化を支援する。これらによって、中間事業者によるフードチェーン最適化、安定調達・安定出荷が実現するとしている。
損保ジャパン日本興亜とSOMPOリスクマネジメント、日本ユニシスは、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が研究代表である、国立研究開発法人情報通信研究機構の委託研究に参画しており、今後、中国四国地域を中心に、本サービスの共同開発に向けた実証実験を実施する予定となっている。また、4社は、同委託研究と並行して、他地域の中間事業者とも実証実験を行い、本サービスの社会実装に向けた取り組みを加速していくとしている。
(注)RinzaRは、日本ユニシスのデータ・AI利活用に関する知見を基に、顧客のビジネス課題を解決に導くサービス群。自然言語処理、統計解析・将来予測、機械学習や深層学習などのAI関連技術に、パートナーのクラウドサービスやソフトウエア技術をオープン指向で組み合わせ、Rinzaサービスとして提供している。