2020.03.27 ■JA共済連 生命総合共済・火災共済で仕組改訂、特定重度疾病共済を新設[2020年]
JA共済連は4月1日から、生命総合共済および火災共済の仕組改訂を実施する。生命総合共済の仕組改訂では、特定重度疾病共済「身近なリスクにそなエール」を新設するほか、指定代理請求特約の仕組改訂も行う。また、4月1日に施行される改正民法(債権法)に対応するため、共済約款の改訂も行う。
「身近なリスクにそなエール」
特定重度疾病共済「身近なリスクにそなエール」は、三大疾病をはじめとする生活習慣病により所定の状態に該当した場合の経済的負担に一時金で備えるもの。重い病気の代表格である三大疾病が、依然として日本人の死因の半数以上を占めているものの、死亡率は年々低下しており、「死に至る病」から「治す・付き合っていく病」へ変化しているところから開発したとしている。薬剤・通院・リハビリ等の継続的な治療によるさまざまな経済的負担に備えられるよう、まとまった一時金で受け取ることができる。
三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)に加えて、三大疾病以外の「心・血管疾患」や「脳血管疾患」、さらには「その他の生活習慣病(糖尿病・肝硬変・慢性じん不全・慢性すい炎)」まで幅広く保障する。
一時金は、「がん」「心・血管疾患」「脳血管疾患」「その他の生活習慣病(糖尿病・肝硬変・慢性じん不全・慢性すい炎)」の四つの区分ごとに、共済期間を通じてそれぞれ1回、最大で4回支払う。
支払いの要件は、がんの場合は、「がん」と診断確定されたこと、心・血管疾患の場合は、①急性心筋梗塞で入院したこと②急性心筋梗塞以外の心・血管疾患で20日以上継続して入院したこと③①ないし②で手術を受けたこと―のいずれかとなり、脳血管疾患の場合は、①脳卒中で入院したこと②脳卒中以外の脳血管疾患で20日以上継続して入院したこと③①ないし②で手術を受けたこと―のいずれかとなる。その他の生活習慣病については、①糖尿病でインスリン治療を6カ月以上継続して受けたこと②肝硬変と診断されたこと③慢性じん不全で永続的な人工透析療法を開始したことまたはじん臓移植術を受けたこと④慢性すい炎で手術を受けたこと―のいずれかになる。
加入年齢は0歳~75歳、共済期間は、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳満了まであり、共済金額の範囲は50万円~1000万円。指定代理請求特約が付加できる。
契約例として、加入年齢30歳、共済期間65歳満了、共済金額300万円、指定代理請求特約付加の条件で、月払・口座振替扱の掛金は、男性3777円、女性3582円となる。
指定代理請求特約の仕組改訂
指定代理請求特約の仕組改訂は、近年、人口の少子高齢化が進展する一方で、「内縁関係」や「同性パートナー」のような新しい家族のかたちも見られるようになり、そのような社会の変化を踏まえ、契約者の共済金請求時の利便性を高める観点から、指定代理請求人として指定できる人の範囲を拡大するもの。
被共済者とは離れたところに居住していても、3親等内の親族であれば共済金等を代理で請求することを可能とし、また、被共済者と同居し、または生計を一にしている被共済者の「内縁関係者」「同性パートナー」等に該当する人や被共済者の財産管理を行っている人も、共済金等を代理で請求することを可能とした。
火災共済の仕組改訂
JA共済では、2019年4月の建物更生共済の改訂により、水道管凍結修理費用共済金の新設および失火見舞費用共済金の拡充等の改訂を行ったが、火災共済についても水道管凍結修理費用共済金の新設および失火見舞費用共済金の拡充を実施するもの。
共済の対象が建物の場合で、専用水道管の凍結によって損害が発生した場合、修理にかかった費用を水道管凍結修理費用共済金として保障する。1事故につき10万円限度で、パッキングのみに損害が生じた場合や火災共済金の支払事由に該当した場合は除く。
失火見舞費用共済金の拡充は、火災、破裂または爆発により、他人の所有物に損害を生じさせてしまったときに、見舞費用として支払う失火見舞費用共済金について、1被災世帯あたりの支払額を、現行の20万円から50万円に引き上げるもの。1事故について、共済金額の20%が限度となる。
改正民法(債権法)への対応
4月1日に施行される改正民法(債権法)に対応するため、共済約款の改訂を行う。①錯誤の効果の変更(民法第95条)【生命共済、傷害共済】②時効の起算点の明確化への対応(民法第166条、保険法第95条)【共済種類共通】③債務不履行による損害賠償責任の明文化への対応(民法第415条)【損害系共済】④定型約款に関する規定への対応(民法第548条の2~民法第548条の4)【共済種類共通】―の4点になる。
① ~③については、共済期間の初日を3月31日以前とする共済契約には遡及適用しないが、④については、共済期間の初日を3月31日以前とする共済契約にも、4月1日から適用する規定に準じて取り扱う。