2020.02.03 ■損保ジャパン日本興亜 アドフラウド(広告詐欺)保険を提供、アドフラウド(広告詐欺)保険を提供[2020年]

 損保ジャパン日本興亜は、日本のデジタル広告業界の健全化への取り組みをけん引するアドベリフィケーションカンパニーであるMomentum㈱(高頭博志社長、以下、モメンタム)とアドフラウド(広告詐欺)保険を共同で開発し、2月から提供を開始する。同社によると、こうした保険の提供は業界初。両社は連携し、同保険の提供を通じて、広告代理店・広告主にとってより安心・安全な広告配信を実現するとしている。
 「アドベリフィケーション」とは、アドフラウド(広告詐欺)、ブランドセーフティー(ブランドイメージを毀損するリスクへの対応)、ビューアビリティ(広告の可視性)に配慮した、不適切な広告配信を防ぐための広告価値毀損測定の仕組みのこと。
 広告業界におけるインターネット広告の取引はインターネットサービスの発展とともに年々増加している。昨今のインターネット広告取引は、アドテクノロジーという機械による自動配信で実施されており、その技術が発展する中で、広告費用を不正にだまし取る行為=広告詐欺(アドフラウド)をする悪意のある第三者が出現し、効果が見込まれない広告出稿のリスクが増加している。
 アドフラウドの手口は多岐にわたり、例えば、不適切なサイトの運営者が広告掲載先のドメインを操作し、健全なサイトに成り済まして不正に広告収益を得ようとする「ドメインスプーフィング」の手口は、昨年ニュースなどでも話題となった〝海賊版サイト〟でも確認された。また、広告枠に何らかのプログラムを仕込み(ボット)、その広告のインプレッション(広告の表示回数)やクリックを大量に発生させ、閲覧数を水増しすることで広告費をだまし取るものもある。
 そのような中、2019年11月26日には公益社団法人日本アドバタイザーズ協会から「デジタル広告の課題に対するアドバタイザー宣言」が発表され、「広告代理店等は、アドフラウドを検出した場合に広告主に対して広告費用の払い戻しをする必要がある」旨が明記された。
 同保険では、広告代理店が広告主に対するアドフラウド指数(注1)を保証(アドフラウド指数が当初定めた閾値を超過した場合に一定額を払い戻し)し、その払い戻しにより広告代理店が被る損害を損保ジャパン日本興亜が補償する。ただし、同保険契約を締結した後の広告費用が対象となる。また、同保険に加入するためには、広告代理店がアドフラウドを抑制し継続的にリスクを可視化・分析していく必要があるため、モメンタムのサービス「HYTRA DASHBOARD(注2)」を活用することが前提となる。
 損保ジャパン日本興亜とモメンタムでは、「健全なデジタル広告市場形成の一助とするため、広告代理店が被る可能性のある『払い戻し』のリスクに備える手段として、同保険を開発した」としており、引き続きより多くのデジタル広告取引への適用が可能となるよう、同保険の適用条件の拡張などを進め、今後も健全なデジタル広告市場の形成に貢献していくとしている。
 (注1)効果が見込まれない広告出稿の割合。
 (注2)モメンタム独自の審査基準により、ブランドリスクにつながるウェブサイト、アドフラウドが頻出するドメイン・URLをブラックリスト化し、リアルタイムに更新・提供するダッシュボード。機械判定に加え、専任のオペレーターによるダブルチェックを行った高精度で豊富なリストが特徴。