2019.11.27 東京海上HD 19年度第2四半期決算、正味収保は全種目で増収

東京海上ホールディングスが11月19日に発表した2020年3月期第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比0・9%減の2兆7430億円となった。正味収入保険料は国内では全種目で増収(4・7%増)となり、海外は北米の好調やSafetyの新規連結を主因に増収(1・5%増)した結果、前年同期比3・7%増(再保険子会社売却の影響を除いた数値)の1兆8073億円を示した。一方、生命保険料は国内での法人向け商品の一部販売停止、北米での引受規律の強化、円高の影響により、同6・1%減(注)の4849億円となった。連結経常利益は同96・4%増の1474億円。親会社株主に帰属する中間純利益は、国内における自然災害の減少を主因に同116・4%増の1166億円と大幅増となった。グループ全体の利益指標である修正純利益は同95・1%増の1754億円。

東京海上日動の保険引受利益は前年同期比733億円増益の▲405億円だった。正味収入保険料が火災保険・新種保険を中心に全ての種目で増収した一方、自然災害にかかる発生保険金の減少、円高進行に伴う外貨建支払備金の積増負担の減少が寄与した。
正味収入保険料は同4・7増の1兆1454億円。種目別に見ると、火災は同21・1%増の1644億円で、補償拡充や件数増加、今年10月の商品改定前の契約見直し等により増収した。海上は同2・7%増の333億円。傷害は同2・3%増の1018億円で、加入者数の増加を主因に増収した。自動車は今年1月の商品改定による保険料単価増を主因に、同0・9%増の5363億円となった。自賠責は満期到来台数の増加を主因に同6・2%増の1431億円。その他は超ビジネス保険の販売拡大等により同3・8%増の1663億円と増収した。家計地震・自賠責を除いた民保合計では同4・5%増の1兆19億円だった。
発生保険金は同1071億円減少し、6351億円となった。民保E/Iベースの正味損害率は同12・3ポイント改善し66・4%。正味事業費率(民保ベース)は同0・5ポイント低下の31・3%、コンバインド・レシオ(民保ベース)は同12・8ポイント低下して97・7%に改善した。
資産運用等損益は同104億円減益の835億円。このうち、ネット利息及び配当金収入は内国保有株式の配当金の増加、海外子会社からの配当金収入の増加により同47億円増益の578億円、売却損益等計(キャピタル)は政策株式の売却益の減少、円高進行に伴うドル預金等の為替差損により同132億円減益の445億円だった。なお、政策株式売却に伴う売却益は80億円減少の550億円(売却額690億円)。
経常利益は同635億円増益の454億円、中間純利益は同519億円増益の415億円となった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比56・3ポイント上昇し、881・7%。
日新火災の保険引受利益は前年同期比30億円増益の▲38億円。正味収入保険料が火災保険・新種保険を中心に増収した一方、自然災害にかかる発生保険金の減少が寄与した。
資産運用等損益は、有価証券評価損の発生を主因として、前年同期比4億円減益の6億円となった。
経常利益は同23億円増の▲38億円、中間純利益は価格変動準備金の戻入増加等により特別損益が増加したこともあり、同18億円増益の▲25億円だった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比50・6ポイント低下し、1169・3%となった。
東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、法人向け定期保険の一部販売停止(以下、販売停止)を主因として、前年同期比53・2%減の184億円となった。保有契約年換算保険料は、販売停止に伴い新契約による増加が解約等による減少を下回ったため、前年同期比1・0%減の8449億円だった。
中間純利益は販売停止に伴う代理店手数料や責任準備金の積増負担の減少があるもののシステム開発費や死亡保険金の増加等により、同5億円減の132億円となった。基礎利益は同16億円減益の213億円。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比179・7ポイント低下したが、1883・9%と高い水準を維持している。
海外保険会社の保険料(正味収入保険料と生命保険料の合算)は、前年同期比5・7%減の8611億円だった。ただし再保険子会社売却の影響を除くと4・9%増の数値となり、各事業の基調は良好。北米は同0・9%減の5507億円。フィラデルフィアは更新契約のレートアップ等により増収したものの、円高の影響により減収。デルファイは損保の新規契約拡大等により増収。TMHCCはメディカルストップロス事業での収益性を重視した引受コントロールの影響等により減収となった。
事業別利益は、同94億円増益(再保険子会社売却の影響を除くと同129億円)の1026億円となった。デルファイにおける資産運用収益の拡大やアジア・ブラジルにおける収益改善に加え、生保での増益等による。北米は同23億円増の808億円。各社別には、フィラデルフィアが資産運用収益の増加等により増益、デルファイが保険引受利益の改善に加え、資産運用収益の増加等により増益、TMHCCがメディカルストップロス事業の損害率悪化等により減益となった。
連結業績予想については、正味収入保険料は通期では増収基調は変わらないものの、円高の影響(約▲460億円)により、年初予想対比▲200億円の下方修正を行い、3兆5400億円を見込む。生命保険料は円高、北米での引受規律の強化の影響を織り込み、年初予想対比▲200億円の下方修正を行い、1兆100億円と予想。
連結純利益の通期予想は国内での自然災害の増加、北米での損害率悪化の影響を異常危険準備金の取崩や海外での自然災害の減少などで相殺し、年初予想3250億円を据え置く。修正純利益については、異常危険準備金の影響などを控除するため、▲950億円の下方修正をし、3050億円の予想としている。
(注)デルファイが扱う年金商品の解約返戻金に係る計上方法の変更の影響を除いた場合の数値。