2019.11.08 住友生命 2019年下半期運用方針説明会 ALMとバランス運用促進

 住友生命は10月23日、東京都中央区の同社東京本社ビルで、2019年度下半期の運用方針説明会を開いた。ALM運用ポートフォリオは、日米欧の緩和的な金融政策スタンスが継続することで、低金利環境が長期化する見通しの下、低金利環境下でも高い収益性が期待される資産への投入を継続・拡大する。バランス運用ポートフォリオは、米中通商交渉などの動向に左右されるボラティリティの高い相場変動を想定し、オープン外債や国内外株式等の機動的な売買を行う他、中期的に割安と判断される水準では、追加投入を検討する方針を示した。
 説明会では、同社運用企画部の藤村俊雄部長が、上半期のマーケット動向や、ポートフォリオ状況、資産運用の取り組み、下半期の運用方針、ESG投融資について説明した。
 19年度9月末のポートフォリオの状況(速報値)の前年度末比簿価増減額については、公社債が2900億円増加、株式等が500億円増加、外国証券が2400億円増加で、そのうち公社債は1900億円増加、株式等は500億円増加となった。企業貸付が横ばいとなった結果、一般勘定資産計は、5300億円の増加となった。
 19年度9月末の有価証券含み損益の状況(速報値)では、国内外で金利が大きく低下したことから、公社債および外国債券の含み益は増加、全体では、前年度末から4600億円増加し、4兆2400億円となった。
 19年度上半期の資産運用の取り組みについて、米中通商交渉の激化により、世界景気の減速懸念拡大と日米欧の金融政策が緩和方向に修正されたため、相場見直しを行ったとした。
 それを踏まえ、円金利資産を中心に投資を行い、利息等の安定的な収益獲得を目的としているALM運用ポートフォリオは、低金利環境の下で、収益性の高い外貨建クレジット資産などへの投資を前倒しで進めたとした。
 また、流動性の高い有価証券中心としたバランス運用ポートフォリオは、中期的に割安と判断されるオープン外債や国内外株式等への追加投資を行ったとした。
 19年下半期の資産運用方針については、景気の底割れは回避できたが、日米欧の緩和的な金融政策スタンスが継続することで、低金利環境が長期化する見通しであり、低金利環境でも高い収益性が期待される資産への投入を継続・拡大することを上半期に引き続き、進めていくと説明した。
 具体的には、外貨建クレジット資産の一層の投資推進や、インフラエクイティファンド、プライベートエクイティファンド投資のさらなる残高の積み上げだとした。また、運用収益力の向上と同社米国子会社のシメトラ社の知見活用を目的として、シメトラ社の投資顧問子会社を通じた投資適格社債の資産運用委託を開始する予定とした。
 バランス運用ポートフォリオについては、米中通商交渉の状況によって、ボラティリティの高い相場変動が想定されることから、オープン外債や国内外株式の機動的な売買を行う他、中期的に割安と判断される水準では、追加投入を進めて、残高を積み上げていく方針を示した。
 19年度下半期の資産運用計画(資産別の取り組み方針)について、国内債券では、国内金利は低位での推移が見込まれるため、引き続き超長期債への投資を抑制する考えを示し、上半期と同様に、円貨建保険販売見合いでの投資を行い、増加の見通しとした。
 為替ヘッジ付外債は、横ばいの計画とし、外貨建事業債は、ドル円ヘッジコストの低下により、投資妙味が高まることから、北欧を中心とする信用力が高い銘柄を中心に投資を進める考えを示した。オープン外債は、外貨建保険販売見合いで投資を行う他、中長期的に割安と考えられる水準で買入を検討しており、増加の見込みとなった。
 国内株式投信等と外国株式投信等は、相場的に高い利回りが期待でき、外貨建事業債やインフラエクイティファンド、プライベートエクイティファンドに投資を検討しているため、増加の見込みとなった。
 19年度のESG投融資に関する取り組みは、19年4月にPRI(国連責任投資原則)に署名したことを報告した。また、ESG投融資の観点を組み込んだ投融資は、持続可能な社会の実現や、中長期の投融資を行う生命保険会社などの機関投資家にとって運用収益の向上に資するとの考えから、国内外の動向や進展に注視し、ESG投融資のレベルアップを図るとした。
 主な取り組み内容について、株式投資において本年度から業種ごとに重要課題を特定・評価し、企業の持続的成長性という観点から、銘柄評価の材料として活用しているとした。またエンゲージメント(対話)においては、マテリアリティに沿ってESGの課題を分析し、企業価値の向上への影響に焦点を当てた対話を行う考えを示した。