2019.11.12 日本生命 2019年度下半期運用方針説明会開催 機動的な配分調整を実施

 日本生命は10月29日、東京都千代田区の同社丸の内ビルで「2019年度下半期運用方針説明会」を開催した。理事財務企画部長の岡本慎一氏が19年度上半期末の運用実績と19年度下半期の運用方針について説明し、分散投資の推進や中長期的な観点での収益向上といった基本的なスタンスは継続し、負債特性に留意しながら比較優位に基づき、機動的な配分の調整を実施する方針を示した。

 岡本氏は、まず19年度上半期末の一般勘定ポートフォリオの状況(速報値)について説明した。19年度上半期の一般勘定の増加資金は、7600億円程度となる見込みで、各資産の状況については、円金利資産の一般貸付が400億円の減少。国内債券等が8900億円の増加、ヘッジ外債が3900億円の減少となった。
 円金利以外の運用資産では、国内株式等が500億円の増加、オープン外債が4200億円の増加、外国株式等が800億円の増加、国内不動産が200億円の増加となった。以上の結果、19年度上半期ポートフォリオは、円金利資産が約68%、円金利以外の資産が約30%となった。
 有価証券含み損益の状況、19年度の経済環境やマーケット環境の見通しに続いて、19年度下半期の運用方針を説明した。円金利資産では、一般貸付の残高は、資金需要の動向を見ながら、スプレッド水準等に留意して優良な貸付を積み上げるため、横ばいの計画とした。
 国内債券等については国内の低金利環境の継続を踏まえ、通貨スワップを使い、円金利化した外国債券や円建社債で利回りを確保し、金利水準を勘案しながら、一部国債への投資を計画しており、増加の計画とした。
 ヘッジ外債については、ドルのヘッジコストの高止まりが見込まれる中、国債を売却し、スプレッド収益を獲得できる社債やプロジェクトファイナンスへの入れ替えを実施することから減少の計画とした。
 円金利以外の運用資産では、オープン外債については増加とし、為替リスク量に留意し、為替・金利水準に応じて、機動的に為替リスクをコントロールしながら配分を調整するとした。
 内外株式等は、国内外の企業の成長性に着目した投資を実施し、利回りの向上や分散投資の推進の観点から引き続きオルタナティブ資産への投資を指向し、増加していくとした。国内不動産では、物件のリニューアルを中心に投資する他、新規優良物件の取得等にも柔軟に対応する考えを示した。
 後半は、中期経営計画における資産運用戦略や、ESG投資などの成長・新規領域への投融資およびクレジット投資の推進、海外不動産・インフラ関連投資の取り組みの強化、スチュワードシップ・コードに関わる取り組みについて説明した。
 中計における資産運用戦略については、米中対立などによって、相場の不透明感が高まり、米欧の緩和政策による金利の低下が進む極めて厳しい運用環境の中で、顧客への長期・安定的な保障責任の全うと、利益還元を実現するために、資産運用の強化を推進していると報告した。
 具体的には、グローバルな分散投資による長期・安定的な利回り確保に向けた海外クレジットや海外プロジェクトファイナンスなどの「成長・新規領域」への投融資を推進する他、内外不動産やインフラファンドへの投資の拡大を進めているとした。
 こうした利回り確保に向けた取り組みと同時に急激な相場変動に対応するため、複数のシナリオをあらかじめ準備して、フォワードルッキングなリスク管理を徹底しており、さらに、これらの取り組みを支える人材、組織、システム基盤の構築に取り組んでいるとした。
 成長・新規領域への取り組みは、中計期間中に約2兆円、そのうちESG債等へ7000億円の投融資を計画しており、17年4月~19年9月までの実績は、成長・新規領域が約1兆8465億円で、そのうちESG等は、約5810億円となり、中計は順調に進捗していると報告した。
 また、海外プロジェクトファイナンスへの取り組み状況は、17年度に「ストラクチャードファイナンス営業部」を新設し、現在、11人体制(海外投資現法配置含む)で投資を行っているとし、残高は、約3000億円の水準となり、融資先国数も13カ国となった。
 また、19年度上半期の実績として、豪州の陸上風力発電等の案件に取り組み、約1030億円の融資を実施したとし、引き続き案件を丁寧に精査しながら、残高を積み増すとともに、利回り向上を図っていく考えを示した。