2019.07.01 東京海上HD 欧州のグループ事業再編 強み発揮できる領域に注力

 東京海上ホールディングスは6月20日、現在、Tokio Marine Kilnグループ(TMKグループ)とTokio Marine HCCグループ(TMHCCグループ)で展開している欧州事業について、両グループがそれぞれの強みを最大限発揮できる領域に経営資源を集中させるため、戦略的に事業を見直し、欧州事業全体を再編することを発表した。再編を通じて、収益性の向上と効率性の追求を図り、日系企業・現地ローカル企業の顧客への商品・サービス提供を一層強化することで、重要市場である欧州での事業のさらなる発展を図る。

 今回の欧州事業の再編は、東京海上HDグループの欧州事業を展開するTMKグループとTMHCCグループが、それぞれの強みを発揮できるロイズ事業とロイズ以外の保険会社事業(カンパニー事業)に経営資源を集中させることで、より一層の収益性の向上と効率性の追求を図り、日系企業・現地ローカル企業の顧客への商品・サービス提供を強化するもの。
 ロイズ事業とは、ロイズの仕組みの中でシンジケートと呼ばれる引受主体を通じて保険を引き受ける事業。これと対比して、ロイズの仕組みによることなく保険会社が企業等から各種保険を一般的に引き受けている事業をカンパニー事業(ロイズ以外の保険会社事業)と称している。
 再編により、TMKグループは、強みを持つロイズ事業に原点回帰し、米国・英国・アジア等において、財物・サイバー保険といったロイズのスペシャルティ種目の引き受けに一層注力するとともに、ロイズが強みを持つイノベーション創出力を活用した新たなリスクの引き受けや、新商品の開発に積極的に取り組む。
 一方で、TMKグループ傘下の保険会社であるTokio Marine Kiln Insurance Limited(TMKI)が、カンパニー事業として保険引き受けを行っている英国日系事業および英国非日系事業については、次の通り変更を行う。
 ▽英国日系事業
 2020年1月1日から、現行のTMKIによる引き受けから、TMHCCグループ傘下の在英国保険会社であるHCC International Insurance Co plc(TMHCCI)での引き受けに変更する。19年12月31日までは、引き続きTMKIが保険の引き受け、保険金の支払い等のサービスを継続する。
 TMHCCIで英国日系事業の引き受けを開始するに当たっては、現在、TMKIで日系事業に従事する多くの要員がTMHCCIに移籍することにより、サービス品質の維持・向上を図る。
 ▽英国非日系事業
 19年7月1日をもって、新規の引き受けを停止する。その時点で有効な保険契約の終了まで、TMKIが保険契約の異動、保険金の支払い等のサービスを継続する。
 TMHCCグループでは、強みを有するD&O保険等のスペシャルティ種目に注力しつつ、20年1月1日から、TMHCCIで英国日系事業の引き受けを開始する。なお、欧州大陸の日系・非日系事業については、19年1月1日から、ルクセンブルクに本社を置くTMHCCグループ傘下のTokio Marine Europe S.A.と、その大陸各国支店ですでに引き受けを開始しており、今回の再編による影響はない。
 TMHCCグループは、英国および欧州大陸において、日系・非日系事業の両方で、より規模が大きく効率的なカンパニー事業の事業基盤を構築し、着実な成長を目指すとともに、ロイズ事業についてもこれまで通り営業を継続していく。