2019.06.28 損保ジャパン日本興亜 「移動支援サービス専用自動車保険」発売 サービス提供中の事故補償

 損保ジャパン日本興亜は、高齢者をはじめとする地域住民の移動支援を後押しするため、このほど「移動支援サービス専用自動車保険」を開発し、7月から販売を開始する。同商品では、移動支援サービスを提供する団体を契約者・記名被保険者として、登録ドライバー等が所有する自動車(記名被保険者が事前に承認したもの)を対象に、移動支援サービスのために自宅を出発した時から自宅に帰着した時までの間に発生した事故について補償する。登録ドライバーが自ら所有する自動車を移動支援サービスに使用している間の事故については、「移動支援サービス専用自動車保険」から優先して保険金を支払うことにより、同保険が補償する範囲においては、登録ドライバー自身が契約している自動車保険を使用する必要がなくなる。

 「移動支援サービス」とは、移動支援サービス提供団体の指示により、事前に登録されたボランティアドライバー等が自動車に利用者を同乗させ、出発地から目的地まで利用者を移動させるサービスをいう。
 昨今、地域交通の持続可能性や、運転免許返納後の移動手段の確保といった課題が広く認識されており、公共交通が十分でない中山間地域や過疎地域では、高齢者をはじめ、買い物や通院など、日常の移動に不自由を感じている人たちがいる。
 道路運送法では「自家用有償旅客運送」や「許可・登録を要しない輸送」(注)として、市町村やNPO法人等を運営主体とする自家用車での輸送を認めており、自家用車に依存しなくても生活できる環境づくりのため、今後、公共交通を補完する移動手段を確保していくことは重要性を増すものと考えられる。
 一方、有志のドライバーなどが自らの所有する自家用車を持ち込んで移動支援サービスを提供している場合、万が一事故が発生した際には、ボランティアドライバー自身が契約する自動車保険を使用することとなり、ドライバー確保の上での課題の一つとなっていた。国土交通省の「高齢者の移動手段の確保に関する検討会」においても、高齢者の移動ニーズに対応した輸送環境の整備のため、「移動支援サービス提供団体が、サービス提供中の事故に備えて手配できる保険」の必要性が議論されてきた。
 そこで今回、同社では、地域における移動支援の実現を後押しするため、「移動支援サービス専用自動車保険」を開発。ボランティアドライバー等が自ら所有する自動車で移動支援サービスを提供している間の事故を、事業者側が加入する専用自動車保険で優先して補償する商品は業界初となる(同社調べ)。
 地域交通については、「未来投資会議」においても、自家用有償旅客運送の制度を利用しやすくするための見直しが議論されており、今後さまざまな形態が広がっていくことが見込まれる。同社では、これからも社会課題をいち早く捉えた保険商品やサービスを開発していくとしている。

 (注)「自家用有償旅客運送」「許可・登録を要しない輸送」とは、バス・タクシー以外の地域の移動手段として、市町村やNPO等が提供する輸送形態のこと。「自家用有償旅客運送」は、必要な安全上の措置をとった上で、市町村やNPO法人等が道路運送法に基づく登録を行い、自家用車を用いて提供する運送サービス。安全・安心を確保するための措置として、①安全確保(2種免許または1種免許+講習、運行管理の責任者の選任等)②利用者保護(対価掲示)―が求められる。「道路運送法の許可・登録を要しない輸送」は、地域の移動手段の確保のため、道路運送法の許可または登録を要しない助け合いによる運送。