2019.06.17 生保各社の19年3月期決算 営業業績、順調な結果に 基礎利益も堅調に推移

 生保各社がこのほど発表した2019年3月期決算によると、外貨建保険や保障性商品の販売が順調に伸びている他、商品相互供給を通じたグループを挙げての保険販売が効果を挙げたことなどによって、営業業績は順調な結果となった。基礎利益も、効果的な資産配分、利息及び配当金等収入の増加等を主因に堅調に推移した。

 かんぽ生命の当期純利益は前期比15.3%増の1204億円で増益となり、通期業績予想(修正後)に対する進捗(しんちょく)率は108.5%となった。個人保険の新契約年換算保険料は主に保障性商品へのシフトと若年層の開拓の影響により、同6.6%減の3513億円となったものの、第三分野の新契約年換算保険料は同4.1%増の616億円で、過去最高の水準となった。個人保険の保有契約年換算保険料は前期末比3.8%減の4兆6771億円で、第三分野の保有契約年換算保険料は同0.3%増の7531億円だった。
 日本生命グループの連結保険料等収入は前期比11.9%増の6兆692億円で、銀行窓販の増加を主因に増収となった。銀行窓販は日本生命での外貨建商品の改定や円建商品の販売再開等によって増加した。また、大樹生命との商品相互供給を通じたグループを挙げての保険販売への取り組み、ニッセイ・ウェルス生命の連結反映が増収額拡大に寄与した。基礎利益の合計は同4.5%増の7551億円で、日本生命の利差益の増加を主因に前年度から増益となり、開示以来最高益を確保した。利差益は国内株式配当金の増加や、外国株式等を保有する投資信託の分配金が増加したことから増加した。さらに、ニッセイ・ウェルス生命の連結反映によって増益額が拡大した。国内の個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は同38.6%増の5139億円、保有契約年換算保険料は前期末比8.7%増の4兆5346億円だった。
 明治安田生命のグループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は前期比1.9%増の3兆813億円となった。明治安田生命単体で外貨建保険が貢献したことに加え、スタンコープ社の業績も好調に推移した。明治安田生命単体の保険料等収入は同1.9%増の2兆7708億円。グループ基礎利益は6338億円と前期比で8.3%増加、明治安田生命単体の基礎利益は5896億円と前期差で429億円増加し、グループ・単体共に2年連続で過去最高益を更新した。明治安田生命単体の新契約年換算保険料は1413億円と同10.4%増加した。保有契約年換算保険料は前期末比0.6%増の2兆2656億円だった。
 第一生命HDの連結保険料等収入は前期比9.4%増の5兆3440億円、グループ基礎利益は同5.6%増の6058億円となった。新契約年換算保険料はグループ全体で同25.2%増の5087億円、国内3社計で同31.1%増の4189億円と大幅な伸びを示した。第一生命の新契約年換算保険料は同14.2%減の954億円で、前期比で減少。要因は第一生命の営業職や代理店が第一フロンティア生命やネオファースト生命など3ブランド商品の販売を強化したことなどで、営業職チャネル経由で販売されたグループの商品は同10.6%増加した。第一フロンティア生命の新契約年換算保険料は同6.7%増の2063億円、ネオファースト生命の新契約年換算保険料は同694.5%増の1170億円と拡大している。グループ全体の保有契約年換算保険料は前期末比7.8%増の3兆9558億円だった。
 住友生命の連結保険料等収入は前期比3.1%減の2兆6056億円と前期実績を下回った。連結基礎利益は同9.3%増の3976億円と堅調に推移した。グループの新契約年換算保険料は同2.4%減の2099億円で、住友生命単体は同3.7%減の1265億円、メディケア生命は同18.4%減の63億円、海外事業(シメトラ)は同1.4%増の770億円だった。グループの保有契約年換算保険料は前期末比横ばいの2兆7824億円となった。
 アフラックは保険料等収入が1兆4310億円で前期比0.9%減少した。基礎利益は同12.1%増の3087億円となった。経常収益は同0.4%増の1兆7418億円、経常利益は同11.6%増の2885億円、当期純利益は同12.1%増の2037億円だった。個人保険分野の新契約年換算保険料は同5.7%増の855億円で、このうち第三分野は同5.2%増の797億円だった。保有契約年換算保険料は前期末比0.2%増の1兆4166億円で、このうち第三分野は同0.5%増の1兆707億円となった。
 メットライフ生命の保険料等収入は2兆1221億円で、前期比18.8%増加した。基礎利益は同7.4%増の1421億円だった。経常収益は前期から3560億円増加し、2兆5632億円、経常利益は同8.1%増の1192億円、当期純利益は同9.9%増の783億円となった。新契約年換算保険料は同26.5%増の1333億円で、このうち医療保障・生前給付保障等は同32.4%増の373億円と大幅な伸びを示した。保有契約年換算保険料は前期末比4.8%増の1兆886億円で、このうち医療保障・生前給付保障等は同3.6%増の3815億円だった。
 ジブラルタ生命の保険料等収入は前期比4.9%増の1兆1727億円、基礎利益は同9.3%減の1349億円、当期純利益は同66.0%増の1366億円だった。個人保険新契約年換算保険料は同0.2%増の717億円、個人保険保有契約年換算保険料は前期末比1.2%増の9391億円となった。
 ソニー生命は新契約年換算保険料が前期比20.3%増の879億円、保有契約年換算保険料が前期末比4.8%増の8893億円となった。保険料等収入は1兆1361億円で、前期比7.3%増加した。当期純利益は同9.9%増の496億円、基礎利益は同19.5%増の972億円だった。
 T&D保険グループは太陽生命・大同生命・T&Dフィナンシャル生命3社の新契約年換算保険料が個人定期保険や介護保障商品の販売増加により、前期比32.0%増の1588億円と大幅な伸びを示した。このうち第三分野の新契約年換算保険料も、同53.7%増の589億円と大幅に伸展した。連結経常収益は保険料等収入が増加したことにより2兆1401億円と同11.0%増加した。親会社株主に帰属する当期純利益は利息及び配当金等収入の増加等があったものの、為替ヘッジコスト上昇等による金融派生商品費用の増加等により、同6.1%減の728億円となった。
 アクサ生命の保険料等収入は主に死亡保障分野の販売が好調だったことから、同1.9%増の6079億円となった。基礎利益は主に新契約増加に伴う事業費の増加によって同2.6%減の523億円となった。純利益は同118.9%増の626億円だった。
 フコク生命グループの保険料等収入は、富国生命、フコクしんらい生命合算で同3.3%減の5774億円となった。基礎利益は過去最高であった前期からは7.3%減少したものの、912億円と6年連続で900億円台を確保した。
 朝日生命は保険料等収入が同3.1%増の3967億円だった。基礎利益は242億円となり、前期から58億円減少した。