2019.05.29 日本生命 19年3月期決算、基礎利益が開示以来の最高益

 日本生命が5月24日に発表した2019年3月期決算によると、グループの連結業績は前期比で増収・増益となった。保険料等収入は日本生命での銀行窓販商品の販売増加や、商品相互供給等を通じた日本生命グループを挙げての保険販売等によって増加した。基礎利益は日本生命での株式配当の増加等による利差益の増加を主因に増益となり、1999年からの開示以来最高益を確保した。18年度からのニッセイ・ウェルス生命の新規連結によって保険料等収入、基礎利益共に増加額が拡大した。18年度は中期経営計画の2年目として計画達成への道筋をつけるため、日本生命での新商品発売、大樹生命との商品相互供給のさらなる推進、ニッセイ・ウェルス生命との経営統合、はなさく生命の設立、RPAや先端ITなどのデジタル活用といった取り組みを進めた結果、業績はおおむね順調な結果となった。

 連結保険料等収入は前期比11.9%増の6兆692億円で、銀行窓販の増加を主因に増収となった。銀行窓販は日本生命での外貨建商品の改定や円建商品の販売再開等によって増加した。また、大樹生命との商品相互供給を通じた日本生命グループを挙げての保険販売への取り組み、ニッセイ・ウェルス生命の連結反映が増収額拡大に寄与した。
 基礎利益の合計は同4.5%増の7551億円で、日本生命の利差益の増加を主因に前年度から増益となり、開示以来最高益を確保した。利差益は国内株式配当金の増加や、外国株式等を保有する投資信託の分配金が増加したことから増加した。さらに、ニッセイ・ウェルス生命の連結反映によって増益額が拡大した。
 連結経常収益は同8.1%増の8兆2271億円で、このうち保険料等収入は同11.9%増の6兆692億円、資産運用収益は同1.5%減の1兆8423億円だった。経常費用は同9.3%増の7兆7986億円で、このうち保険金等支払金は同4.3%増の4兆5974億円、資産運用費用は同3.2%減の3717億円、事業費は同4.6%増の8254億円となった。この結果、経常利益は同9.2%減の4284億円、当期純剰余(利益)は同14.3%増の2787億円となった。
 総資産は前期末比5.9%増の78兆8095億円、責任準備金は同6.6%増の64兆1003億円だった。連結ソルベンシー・マージン比率は諸準備金等の積み増しや、劣後ローン調達を通じて、自己資本を着実に積み増したことから、996.7%と同28.7ポイント上昇した。実質純資産についても、自己資本の積み増しに加え、国内外の金利低下によって有価証券の含み損益が増加したことを主因に同6.4%増の19兆3072億円と前年度末から増加した。
 国内の保険料等収入は前期比12.6%増の5兆8365億円で、個人保険・個人年金保険が同18.4%増の4兆2429億円と増加したことから増収となった。チャネル別では、営業職員等チャネルが日本生命の新商品「ニッセイみらいのカタチ 特定重度疾病保障保険“だい杖ぶ”」の発売に加え、大樹生命との商品相互供給を通じたグループを挙げての保険販売が奏功したことで同3.2%増の3兆4728億円と堅調に推移した。銀行窓販チャネルは同253.6%増の7700億円。日本生命における商品改定に伴う外貨建商品の好調な販売や、円建商品の販売再開、ニッセイ・ウェルス生命の連結反映等によって大幅な伸びを示した。団体保険は18年4月の死亡率改定による保険料引き下げを主因に同4.8%減の2934億円と減収となった。団体年金保険は日本生命での販売拡大によって同0.5%増の1兆2319億円と増収を確保した。
 国内の個人保険・個人年金保険の新契約は、年換算保険料が同38.6%増の5139億円、件数が同36.4%増の518万件、保障額等が同30.8%増の9兆9459億円となった。経営者向け保険の販売減少による影響はあったものの、日本生命の新商品「だい杖ぶ」の販売や銀行窓販が好調だったことに加え、ニッセイ・ウェルス生命の連結反映によって増加した。
 営業職員等チャネルの新契約年換算保険料は同6.9%減の3235億円、件数は同34.7%増の503万件、保障額等は同23.9%増の9兆58億円だった。銀行窓販チャネルの新契約年換算保険料は同713.9%増の1903億円、件数は同139.6%増の14万件、保障額等は同178.4%増の9401億円となった。
 日本生命は、新契約年換算保険料が同3.4%減の3112億円、件数が同38.5%増の490万件、保障額等が同28.0%増の8兆4294億円だった。大樹生命は新契約年換算保険料が同9.3%増の532億円、件数が同2.6%減の25万件、保障額等が同10.8%増の1兆1333億円。ニッセイ・ウェルス生命は新契約年換算保険料が1495億円、件数が2万件、保障額等が3831億円だった。
 国内の個人保険・個人年金保険の保有契約は、年換算保険料が前期末比8.7%増の4兆5346億円、件数が同6.6%増の3479万件、保障額等が同0.1%増の182兆496億円となった。
 日本生命は保障額等が同1.5%減の159兆2699億円となったものの、年換算保険料が同2.2%増の3兆7479億円、件数が同6.0%増の3187万件と前期末実績を上回った。大樹生命も保障額等が同2.8%減の19兆5927億円となったものの、年換算保険料は同3.1%増の5223億円、件数は同1.4%増の260万件と前期末比プラスで推移した。ニッセイ・ウェルス生命の年換算保険料は2643億円、件数は31万件、保障額等は3兆1869億円だった。
 団体保険の保有契約業績(保障額等)は国内計で同0.9%増の109兆6952億円。日本生命は同1.7%増の97兆1022億円、大樹生命は同5.0%減の12兆5930億円となった。団体年金保険(受託資産等)は国内計で同2.4%増の16兆7845億円だった。
 契約者配当については、日本生命は個人保険・個人年金保険で、昨年度に引き続き増配する方針。約1025万件の契約を対象に契約者配当を実施し、このうち約340万件の契約を対象に増配を実施する。大樹生命も個人保険・個人年金保険について、11年ぶりの契約者配当を実施する方針で、約5万件の契約を対象に契約者配当を実施する。
 20年3月期の見通しは、連結保険料等収入で銀行窓販商品のさらなる販売増を見込むものの、団体年金の減少や、経営者向け保険の販売減少等によって減少を見込む。基礎利益は、超低金利環境による利息減少が想定されることに加え、18年度の保険料率改定による危険差益の減少や、金融機関代理店への支払手数料の増加を主因に減少する見通し。