2019.05.30 明治安田生命 19年3月期決算、グループ・単体共に2年連続最高益

 明治安田生命が5月24日に発表した2019年3月期決算によると、グループ・単体共に増収増益となった。保険料等収入は外貨建て保険の貢献に加え、16年3月に子会社化した米国のスタンコープ社の業績好調等によって、グループ・単体共に2年連続の増収だった。基礎利益は、効果的な資産配分による利息及び配当金等収入の増加によって、利差益が拡大した他、スタンコープ社の利益貢献等によって、グループ・単体共に2年連続で過去最高益を更新した。財務基盤の強化等を通じて、高い健全性を維持しており、今回の決算を踏まえ、個人保険・個人年金保険の配当率を3年連続で引き上げる。

 グループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は前期比1.9%増の3兆813億円となった。明治安田生命単体で、外貨建て保険が貢献したことに加え、スタンコープ社の業績も好調に推移した。グループ保険料のうち、海外保険事業等は同1.8%増の3105億円だった。このうち、スタンコープ社は同2.0%増の2867億円。グループ保険料に占める海外保険事業等の割合は10.1%だった。
 グループ基礎利益は、6338億円と前期比で8.3%増加し、2年連続で過去最高益を更新した。明治安田生命単体の増益およびスタンコープ社の利益が貢献した。グループ基礎利益のうち、海外保険事業等は同15.2%増の583億円。このうち、スタンコープ社は同18.3%増の425億円だった。グループ基礎利益に占める海外保険事業等の割合は9.2%(前期差+0.5ポイント)となった。
 連結の経常収益は同1.6%増の4兆1825億円、経常費用は同1.2%増の3兆7918億円、経常利益は同5.5%増の3906億円、親会社に帰属する当期純剰余は同13.4%減の2295億円だった。連結ソルベンシー・マージン比率は1040.1%と前期末差49.9ポイント上昇し、引き続き高い健全性を維持している。
 明治安田生命単体の業績では、保険料等収入が前期比1.9%増の2兆7708億円となった。このうち、個人保険・個人年金保険は同7.5%増の1兆8654億円と堅調に推移。営業職員チャネルは同5.1%増の1兆4197億円で、このうち平準払商品は同1.6%増の1兆2326億円、一時払商品は同35.7%増の1870億円だった。銀行窓販チャネルは同17.3%増の4092億円と2桁の伸びを示した。外貨建て保険の貢献等によって、営業職員チャネル、銀行窓販チャネル共に増収した。
 新契約年換算保険料は1413億円と同10.4%増加した。外貨建て保険の貢献に加え、18年6月に発売したベストスタイルの新特約「給与・家計サポート特約」や終身医療保険等の第三分野商品が好調で、同26.9%増の543億円と大幅な伸びを示した。営業職員チャネルは同11.0%増の1195億円、銀行窓販チャネルは同8.9%増の193億円だった。
 保有契約年換算保険料は前期末比で0.6%増の2兆2656億円で、このうち、営業職員チャネルは同1.5%増の1兆6441億円、銀行窓販チャネルは同1.7%減の5752億円となった。
 団体保険の保有契約高は同1.6%増の115兆8156億円で、引き続き業界トップシェアを堅持している。団体年金保険の保有契約高は7兆6913億円と同1.1%増加した。
 基礎利益は5896億円と前期差で429億円増加し、2年連続で過去最高益を更新した。効果的な資産配分による外国公社債の利息収入増加等から、利差益が同507億円増の2732億円と大幅に拡大した。
 資産運用収支(一般勘定)は6808億円と同353億円増加した。利息及び配当金等収入は8072億円と同383億円の増加となった。外国公社債の利息収入が増加した他、企業業績が堅調に推移する中、株式配当が増加したことがプラスに寄与した。
 ソルベンシー・マージン比率は海外劣後債の発行や負債性準備金の積立等によって、983.3%と前期末から45.4ポイント上昇した。オンバランス自己資本は海外劣後債の発行や負債性準備金の積立等によって、2兆9188億円と前期末から2676億円増加した。実質純資産額は10兆1930億円と引き続き高い財務健全性を維持している。
 一般勘定資産全体の含み損益は、株価の下落によって、国内株式の含み益が減少した一方、内外金利の低下や円安の進行によって、公社債・外国証券の含み益が増加し、6兆3749億円と前期末差1923億円増加した。国内株式の含み損益は月中平均価格ベースで2兆3351億円(前期末差3326億円減)だった。
 契約クオリティを示す指標は、対面での「定期点検」等を通じた積極的なアフターフォローを推進した結果、引き続き良好な水準を維持。解約・失効・減額率は3.78%(前期差0.22ポイント上昇)、総合継続率は、13月目が前期差0.6ポイント低下の94.8%、25月目が同0.3ポイント低下の89.5%となった。
 経常収益は前期比1.6%増の3兆7682億円だった。経常費用は同1.6%増の3兆3946億円で、このうち保険金等支払金は同0.3%減の2兆2054億円、責任準備金等繰入額は同11.1%増の4656億円、資産運用費用は同9.6%増の2271億円、事業費は同0.3%増の3574億円。経常利益は同1.4%増の3735億円、当期純剰余は同7.4%減の2225億円だった。
 19年3月期決算における個人保険・個人年金保険の契約者配当は、基礎利益で過去最高益を更新した決算状況や、死亡率および入院発生率の改善等を踏まえ、3年連続で配当率を引き上げる。配当率引き上げの対象となる契約数は340万件、増加額は34億円。
 20年3月期業績については、保険料等収入が19年4月に発売した「ベストスタイル 健康キャッシュバック」や、外貨建て保険の貢献等によって、グループ・単体共に前年度から増加の見通し。基礎利益は団体保険料率引き下げの影響や、超低金利環境の継続による利差の減少等を要因として、グループ・単体共に減少を見込む。