2019.04.24 損保ジャパン日本興亜 音声ビッグデータ活用 電話応対ガイドAI開発へ AIが最適な顧客応対を示唆

 損保ジャパン日本興亜は4月17日、NTTコミュニケーションズ㈱(NTT Com)と共に、5月から「電話応対ガイドAI」の開発を開始することを発表した。NTTグループのAI関連技術「corevo(R)(コレボ)」を活用して、事故受付から保険金の支払いまでの顧客対応を行う損保ジャパン日本興亜の「保険金サービス拠点」における電話応対を分析し、全ての社員による高品質な電話応対を可能にする「電話応対ガイドAI」の開発を目指す。

 損保ジャパン日本興亜では、電話応対品質が高く、顧客からの評価も高い社員を「クレドマイスター」として認定し、社内表彰を行っている。今回、NTT Comと共にビッグデータとして蓄積した優れた応対者(クレドマイスター)の音声データ・テキストデータを分析し、言語上、音声上の特徴を抽出。これまで暗黙知のため共有が難しかった高品質な電話応対の特徴を可視化する。
 2019年度内には、可視化された特徴を活用し、顧客が電話応対のどの部分に満足したのかを推定する「電話応対分析AI」を開発。AIが顧客の感情(満足度)を、応対の印象(応対好感度)と通話内容評価に分けて指標化。顧客が満足したのは「担当者の応対内容なのか」「応対結果なのか」「満足したのが応対内容であれば、どの言葉や態度に満足したのか」を推定する。これにより、顧客の満足度を左右するキーファクターが何かを把握することが可能となる。
 20年以降、高品質な電話応対の特徴と顧客の満足度を左右するキーファクターを基に、電話応対中の顧客が「満足しているのか」「不満を持っているのか」などの感情を分析し、次にどのような言葉を掛ければよいのかなど、その場面に応じた最適な応対をリアルタイムで示唆する「電話応対ガイドAI」の開発を行う。
 同社では、「電話応対ガイドAI」の実現によって、顧客の感情に寄り添った対応が可能となり、より一層の顧客満足度向上が期待できるとともに、AI開発の過程で得られた高品質な電話応対の特徴や新たな知見を基に、高品質な電話応対を実践する社員の育成に活用する。
 損保ジャパン日本興亜では、2018年3月、全国約300カ所(約1万席)の保険金サービス拠点に「音声認識システム」を導入した。同システムは、NTT Comが構築した、顧客との通話内容をリアルタイムで音声データ化した上で、音声データをテキストデータ化するシステム。これにより、電話応対内容を記録した音声・テキストに関するビッグデータの蓄積と分析が可能となり、同社では、これらのデータを顧客応対品質の向上に活用することを検討してきた。
 同社では今後、NTT Comと共に「デジタル技術」と「人にしかできない業務」が融合したハイブリッドな対応を行うことで、より一層の品質向上と顧客サービスをさらに強化していくとしている。
 (注)「corevo(R)」は、日本電信電話株式会社の登録商標。