2018.11.22 第一生命 大手生保初、認知症保険発売 ニューロトラック社とパートナー合意

 第一生命は12月18日より、大手生保では初となる“かんたん告知「認知症保険」”を発売する。併せて、第一生命ホールディングスは米国のスタートアップ企業であるニューロトラック社(エリー・カプランCEO)と、日本におけるアルツハイマー病と認知症の急速な拡大に対して共同で取り組む戦略的パートナーシップについて合意した。その第1弾として、ニューロトラック社が開発した「ニューロトラック認知機能テスト」を、第一生命が12月18日より提供開始する「健康第一」認知症予防アプリに搭載する。商品発売とサービス提供に先立ち、11月20日にDai―ichi Life Innovation Lab(東京都渋谷区)で発表式が開催された。

 「認知症保険」は、認知症と診断され、かつ、公的介護保険制度において要介護1以上の認定が有効期間中である時に保険金を支払う。保険期間は終身または定期から選択でき、契約年齢は終身の場合40~85歳、定期の場合40~70歳。保険金額は200万~1000万円まで。
 認知症に特化したことにより、手頃な保険料で加入が可能で、例えば保険期間と保険料払込期間が終身で、保険金額が300万円の場合、月払保険料は65歳男性で6054円、同女性で7530円。健康状態に不安がある人でも簡単な告知で加入できるよう、認知症に関連する持病がないなど、四つの告知項目が全て“いいえ”であれば申し込みが可能だ。
 同商品は、認知症になった顧客の経済的負担をカバーするだけでなく、顧客本人やその家族が安心できるよう、認知症の「予防・早期発見」「心のケア」「保険金請求サポート」の三つの観点から、契約者向けサービスを提供する。
 具体的には、ニューロトラック社の技術を採用した、目の動きを分析することで認知機能をチェックする生保業界初(注1)の「認知機能テスト」などを搭載した「健康第一」認知症予防アプリを提供する。また、家族からの電話連絡を受け、無料でALSOKのガードマンが自宅の様子を確認し、結果を報告する生保業界初(注2)の「代わりに訪問サービス」、365日無料で利用できる認知症相談ダイヤル、診断書取得代行、指定代理請求特約、SOMPOケア介護相談サービス(提供:SOMPOケア㈱)なども提供する。
 高齢化を背景に、要介護認定者は年々増え続けており、そのうち最も多い原因は認知症によるものであるため、認知症への備えは予防・早期発見に取り組むことが有効法になる。また、遠方に住む家族に認知症の症状が出始めた場合や連絡がつかない場合など様子が心配になること、認知症の病状によっては保険金の請求が困難なケースなども多くある。こうしたことを踏まえ、同社は認知症保険を発売するとともに、顧客本人やその家族により安心して認知症保険に加入してもらうために各サービスを提供する。
 発表式で第一生命ホールディングスの寺本秀雄取締役は、「当社グループでは、人生100年時代における社会課題の解決や健康寿命の延伸に取り組んでおり、人々のQOL(Quality of Life、注3)の向上を図ることを目指している。この成果の一つとして、認知症保険の発売とニューロトラック社とのパートナーシップ合意ができたことをうれしく思う」と述べた。また、「QOLの向上に向けた新たな価値提供においては、さまざまなパートナーとの協業が不可欠であり、この合意は、当社グループのグローバル展開を象徴する事例と意義深く感じている。今後も積極的にさまざまなパートナー企業と協業し、QOLの向上に向けた新たな価値創造にチャレンジしていきたい」と強調した。
 ニューロトラック社のカプランCEOは、同社の会社概要や認知症ソリューションについて紹介した上で、「アルツハイマーはグローバルな問題だ。第一生命とのパートナーシップをさらに深められることを期待している」と語った。
 (注1)特定の動画視聴の際の眼球の動きを分析し、認知症進行度の把握ができるスマートフォンアプリの提供として生保業界初(2018年10月時点同社調べ)。
 (注2)利用者が(サービス用)機器を携帯または自宅などに設置することなく、利用者・家族などからの電話依頼で警備員が訪問するサービスの提供として生保業界初(18年10月時点同社調べ)。
 (注3)物理的な豊かさや個々の身辺自立のみでなく、精神面を含めた生活全体の豊かさと自己実現を含めた概念。