2018.11.26 東京海上HD 自然災害の影響で純利益等減益、正味収保は国内外で引受拡大

 東京海上ホールディングスが11月19日に発表した2019年3月期第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比1.3%増の2兆7675億円となった。正味収入保険料は国内外での引受拡大により、同1.7%増の1兆8364億円だった。生命保険料は国内・海外共に増収し、同6.5%増の4854億円となった。連結経常利益は同37.3%減の751億円。親会社株主に帰属する中間純利益は国内での自然災害の影響を大きく受けたものの、前年の北米ハリケーン等の反動や各事業における利益成長によって、同29.8%減の538億円にとどまった。グループ全体の利益指標である修正純利益は同37.4%減の899億円となった。

 東京海上日動の保険引受利益は前年同期比1248億円減益の▲1139億円だった。正味収入保険料が新種保険を中心に自賠責を除く全ての種目で増収したものの、自然災害に係る発生保険金の増加、期初からの円安進行に伴う外貨建支払備金積増負担の増加、増収に伴う代理店手数料の増加などがマイナス要因となった。
 正味収入保険料は同0.9%増の1兆944億円。種目別に見ると、火災は同4.7%増の1357億円で、家計分野における契約件数の増加を主因に増収した。海上は物流量の増加を主因に貨物保険で増収し、同9.6%増の324億円となった。傷害は同2.5%増の995億円で、17年12月の料率改定や加入者数の増加によって増収した。自動車は18年1月の料率引き下げの一方、補償拡充や契約台数の増加により、同0.1%増の5315億円となった。その他は超ビジネス保険・業務災害総合保険の販売拡大に加え、前年度の保証保険における解約の反動等で、同7.7%増の1602億円と増収した。自賠責は同9.4%減の1347億円で、17年4月の料率引き下げを主因に減収した。家計地震・自賠責を除いた民保合計は同2.5%増の9591億円だった。
 発生保険金は同1692億円増加し、7423億円となった。自然災害に係る発生保険金は同1580億円増の1998億円だった。民保E/Iベースの正味損害率は同16.8ポイント上昇の78.7%、正味事業費率(民保ベース)は同0.3ポイント低下の31.9%、コンバインド・レシオ(民保ベース)は同16.5ポイント上昇して110.5%だった。
 資産運用等損益は同388億円減益の939億円。このうち、ネット利息及び配当金収入は外国株式配当金で海外子会社からの配当金収入が減少したことを主因に同368億円減益の530億円、売却損益等計(キャピタル)は同8億円増益の578億円だった。なお、政策株式売却に伴う売却益は630億円(売却額810億円)で同110億円増加した。
 経常利益は同1624億円減の▲181億円、中間純利益は同1227億円減益の▲103億円となった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比17.6ポイント上昇し、844.9%となった。
 日新火災の保険引受利益は前年同期比102億円減益の▲69億円。正味収入保険料が火災・新種保険の販売拡大で増収した一方、自然災害に係る発生保険金の増加や自動車・新種保険における事故の増加が響いた。
 資産運用等損益は、有価証券売却損益の増加等により、同1億円増益の10億円となった。
 経常利益は同100億円減の▲62億円、中間純利益は同70億円減益の▲43億円だった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比74.9ポイント低下し、1246.3%となった。
 東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は前年8月の法人向け商品の料率改定に伴う契約増加の反動等により、前年同期比17.3%減の393億円となった。保有契約年換算保険料は新契約の積み上がりにより、同1.5%増の8538億円だった。
 中間純利益は標準利率引き下げに伴う料率改定前の契約増加で、責任準備金の積み増しが前期に一部発生した反動等により、同76億円増益の138億円、基礎利益は経常利益から外債の売却に係るマイナス影響や、危険準備金の積み増しの反動等を控除した結果、同86億円増益の229億円となった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比275.5ポイント低下したが、2072.6%と高い水準を維持している。
 海外保険会社の保険料(正味収入保険料と生命保険料の合算)は、各事業における成長施策の実行等により、前年同期比5%増の9134億円となった。北米は同8%増の5556億円。フィラデルフィアが更新契約のレートアップや新規契約の拡大等により増収した他、デルファイが損保の新規契約拡大を主因として増収した。TMHCCは前年度に買収したメディカルストップロス事業の貢献や更新契約のレートアップ等により増収となった。
 事業別利益は、デルファイの資産運用収益の拡大やブラジルにおける収益改善に加え、米国減税効果や前年の北米ハリケーン等の反動等により同572億円増の932億円となった。北米は同118億円増の785億円。フィラデルフィアが増収効果や減税効果があった一方で大口事故の影響等により減益となったものの、デルファイが増収効果や資産運用収益の増加に加え、減税効果等で増益、TMHCCが増収効果や為替換算損益の改善に加え、減税効果等により増益となった。
 連結業績予想については、正味収入保険料は通期では増収基調は変わらないものの、国内での出再保険料の増加等により、前年度対比0.7%の増収、年初予想対比600億円の上方修正を行い、3兆5900億円を見込む。生命保険料は通期では増収基調は変わらないものの、上期に変額年金の解約が少なかったこともあり、前年度対比3.9%増収、年初予想対比400億円上方修正し、9900億円の見通し。
 連結純利益は国内の自然災害の影響を異常危険準備金や海外保険の利益拡大でカバーし、年初予想の3200億円を据え置く。修正純利益は異常危険準備金の影響等を控除するため、国内の自然災害の影響により年初予想を980億円下方修正し、2980億円を見込む。