2018.11.09 あいおいニッセイ同和損保 約138万時間の余力創出目指す 既存業務のデジタルシフト開始
あいおいニッセイ同和損保は11月2日、東京都港区の日本マイクロソフトの会議室で記者発表会を開催し、11月から「既存業務のデジタルシフト」の実現に向けた業務改革プロジェクトをアビームコンサルティング、シーイーシー、日本マイクロソフト、UiPathといった協力企業と共に開始することを明らかにした。「ADVision2021」における重点戦略の一環として進めるもので、21年度に約138万時間の余力創出と、よりクリエイティブな業務に注力できる環境の構築を目指す。現在年間約1200トン使用しているコピー用紙等についても大幅削減を目指す考えだ。
記者発表会に出席したあいおいニッセイ同和損保の黒田正実副社長は同プロジェクトについて、デジタライゼーションと変革を生む企業文化を融合させ、デジタル革命を起こすための基盤の構築を行うと説明し「デジタル革命により、これまでになかった新たな付加価値を生み出し、選ばれる保険会社になりたい」との考えを示した。
同社では、同プロジェクトで目指すこととして、①抜本的な業務の見直しによる業務効率化②UiPath社のRPA導入による業務の徹底した自動化③日本マイクロソフト社のDynamics365の全社導入による紙業務の大幅削減④OCRやAIの導入・活用の推進―を挙げている。
従来の紙ベースでのやり取りの多さや、申請・承認業務の形態の不統一、現場側と本社側での二重の入力作業、データ・情報の散在といった課題を解決し、単純作業の削減による余力創出と、捺印を必要とする申請・報告書類等の削減によるペーパーレス化を進める方針だ。
同プロジェクトの本格稼働を決めた理由について黒田氏は、「昨年からPOCに取り組み、幾つかの業務のRPA化を行ったところ、うまく使えば相当な効果が出るという手応えを得た。今後は全社規模で3~4年かけて進めていきたい」と語った。本年度の推進体制は、中心的に推進を担う社員約20人と協力企業約50人の計70人ほどの体制を整え、重点部署として選定した10部署で、現場のメンバーと共に新業務設計に取り組むこととしている。
協力企業の役割は次の通り。
▽アビームコンサルティング:豊富なプロジェクト実績に基づくBPR導入の全面支援。既存業務をそのまま自動化するのではなく、BPRにより、業務の標準化やルールの統一を行うことで、業務プロセスの最適化を実現。
▽シーイーシー:Dynamics365のアドオンテンプレートの提供と新規アドオンテンプレートの開発。マイクロソフトクラウドを基盤に、AIやチャットボットなど先進技術との昨日連携を支援する業務支援サービス「Convergent」によるさらなるデジタルシフトを実現する。
▽日本マイクロソフト:Dynamics365を保険業務の次世代プラットフォームとして提供。導入後もアップデートへ対応し、継続的な営業生産性の向上を実現可能とする。
▽UiPath:国内555社の導入実績(18年9月現在)を持つエンタープライズRPAソフトウエア「UiPath」と活用ノウハウの提供、標準機能の拡充。ロボットのステータス監視機能や実行ログ分析機能等を提供する「UiPath Orchestrator」によってRPAの大規模運用を支援。