2018.11.08 東京海上日動 ブロックチェーン実証実験完了 外航貨物保険請求への有効性確認 19年度中に一部実用化目指す

 東京海上日動は11月1日、外航貨物海上保険の保険金請求へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験が完了したことを発表した。同実証実験は、2017年11月~18年8月の期間、NTTデータと共同で実施したもの。両社は、今回の実証実験を通じて、業務の削減や保険金支払いの迅速化、作業の品質向上など、外航貨物保険の保険金請求プロセスにブロックチェーン技術を適用することの有効性が確認できたとしている。今後、両社では、得られた課題への対応を継続して検討し、19年度中に一部を実用化することを目指して取り組んでいく。

 今回の実証実験では、事故報告書や貨物の損傷写真、Invoice(商業送り状)等、実際の保険金支払い業務で利用したデータをブロックチェーン上に流通させて、欧州(ドイツ、オランダ)、米州(米国、チリ)、アジア(中国、台湾、韓国、タイ)の計8拠点の海外クレーム代理店と鑑定会社へ速やかに共有され、保険金の支払いプロセスに利用できるかを検証した。
 技術面では、貨物の損傷写真やサーベイレポート(鑑定結果の報告書)などの大容量データを、ブロックチェーン上で円滑に参加者間で共有できることが確認できている。また、適切なアクセス性能や業務効率性の観点からの検証も行った。
 同実証実験の結果から確認できた期待効果の例は表の通り。
 海外で貨物事故が発生した際に、主に事故対応を行う拠点(海外クレーム代理店)が保険金を支払う際には、紙やPDFファイル等で存在している事故報告書や貨物の損傷写真、Invoice等の貿易関連書類や保険証券を収集する必要があり、さらに保険会社へ補償内容をメール等で確認する必要がある。また、海外クレーム代理店と鑑定会社との間で、事故の内容等に関して情報共有も必要となる。
 このため、海外クレーム代理店が、世界中に点在する貿易関連書類と最新の保険証券の収集、関係者との情報共有をいかに迅速かつ正確に実施できるかが、迅速な保険金支払い手続きを実現する上での課題となっている。
 「ブロックチェーン」は、データの耐改ざん性を確保した状態でネットワーク参加者間での情報共有が可能な分散ネットワーク技術であり、東京海上日動とNTTデータは、17年11月から、外航貨物海上保険における保険金請求プロセスへの同技術適用に向けた共同実証実験を開始した。
 両社では、外航貨物の保険金請求プロセスへのブロックチェーン技術適用を世界8拠点で完了したのは国内で初めてであり、国際的にも先駆的な取り組みだとしている。