2018.10.01 生保協会定例会見 5月28日を「自助の日」に、金融リテラシー教育推進
生保協会の稲垣精二協会長は9月19日に行われた日銀記者クラブの定例会見で、同日付けで開催された理事会で承認された2018年度の生保協会の取り組みについて報告し、本年度「自助の日」を創設することを発表した。また、今年は12月7日に同協会が110周年を迎えることから、19年2月25日に「生命保険協会創立110周年記念式典」を開催することを明らかにした。
稲垣協会長は会見の冒頭、台風21号と北海道胆振東部地震による被害に触れ、犠牲者への深い哀悼の意を表し、被災者へのお見舞いの言葉を述べた。その上で、災害救助法が適用された地域の契約については、生保各社が保険料の払い込み猶予期間の延長および手続きの際の必要書類の一部省略など、簡易・迅速な支払いといった特別措置を講じていることを説明。同協会としても災害地域保険契約照会センターで、罹災(りさい)した顧客やその家族からの生保契約の有無に関する照会に応じていることなどを紹介し、「引き続き協会および会員各社において被災された方々にしっかりと寄り添い、一日も早く安心して生活できる環境に戻れるよう取り組んでいく」と語った。
続いて理事会で承認された18年度の取り組みについて、18年度生命保険文化センターの全国実態調査速報版の内容に触れながら報告した。
生命保険文化センターの調査によると、15年の前回調査と18年の調査結果を比較すると、生命保険全体の世帯加入率はほぼ変わらなかったものの、29歳以下の世帯加入率では63.8%から72.2%と上昇傾向が見られた。一方で、別の調査では、必要と考える保障金額と生命保険の平均加入金額には乖離(かいり)が見られ、特に介護・老後保障については多くの人が保障が足りていないと感じている。
こうした状況に対して同協会では、生保業界として、ライフプランや資産形成、健康増進、保険といった人生を歩んでいく上で必要となる幅広いリテラシー教育の推進を図ることで適切な準備を後押ししていきたいとの思いから、5月28日を「自助の日」とすることを決定した。
5月28日とした理由については、入学や就職といった人生の転機が相対的に多い春先の時期に自らの夢や希望をかなえるための準備を始めるきっかけとしてほしいという考えに加えて、五つの葉それぞれに希望、知恵、財運、健康、愛という意味が込められているという言い伝えのある「五つ葉(イツツバ)」の語呂からの着想もある。
稲垣協会長は会見で「この記念日を契機に生保業界が一丸となって金融リテラシーなどの教育推進を図っていきたい」と述べ、多様な生き方・ニーズがある中で、より多くの主体が国民を支える各種リテラシーの向上に資するセミナーを開催するなど、幅広く活用されていくことに期待を示した。
また、12月7日に同協会が創立110周年を迎えることから、19年2月25日にイイノホール&カンファレンスセンター(東京都千代田区)で「生命保険協会110周年記念式典」を開催することを報告。式典の詳細は今後検討していくとした上で、「この節目を契機に、次の10年、そしてその先の未来を見据えて社会課題の解決や業界のさらなる役割発揮に向けてさまざまなことを検討していくためのキックオフの年にしていきたい」と思いを込めた。
この他、スチュワードシップ活動WGとESG投融資推進WGの取り組み方針についても紹介し、スチュワードシップ活動として、本年度は株式市場活性化に加えて、社会の持続的発展をテーマに提言するとともに、企業のESG取り組みを後押しする対話を実施していく意向を示した。同協会では、生保業界のESG投融資の促進に向けて、さらなるESG投融資ガイドラインの策定にも取り組む考えだ。
また、昨年の生保協会調査によると企業・投資家の双方がESG要素の企業戦略への取り組み、情報開示が重要と回答している一方で、開示に至っている企業は少ない。こうした状況を踏まえ、スチュワードシップ活動推進WGにおける活動とも連動してESG投融資の推進を図っていく。
最後に、11月17日と18日の2日間にわたり開催される「第20回記念大会城下町小田原ツーデーマーチ」に協賛することを報告。健康増進の後押しにつながるイベントを支援すると同時に、自治体と連携し、「歩婚(あるこん)」というウオーキングと地域密着型婚活のコラボ企画にも協賛することを明らかにした。