2018.08.24 三井住友海上 「企業品質の月」の取り組み “お客さま第一”意識付け

三井住友海上は、毎年7月を「企業品質の月」と位置付けて、同社の行動指針で掲げる“お客さま第一”を全社員に意識付ける取り組みを行っている。本年度は新たに、品質向上に向けた自社の取り組みについての展示ブースや社員による“お客さま第一”の活動宣言を集めたパネルを本社内に設置し、社員だけでなく社外の人にも広く紹介している。
 金融庁が昨年度に、「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表して以降、各金融事業者は「原則」に沿った取り組み方針を策定し、実践を図っているが、とりわけ、取り組みが形式的なものにとどまらず、企業文化として定着していくことが重要となる。同社でも昨年7月に、「お客さま第一の業務運営に関する方針」を公表したが、これまでも、MS&ADインシュアランスグループが掲げる「経営理念(ミッション)」「経営ビジョン」「行動指針(バリュー)」の下、品質向上に向けた取り組みを長年にわたって進めてきており、今回、同社の姿勢や従来の取り組みを社内外に広く発信することで、あらためて品質向上を同社の企業文化として醸成し、一層進化させることを品質向上月間の目的に位置付けた。
 本年度は、「社外の声をしっかり聞く」をコンセプトにいくつかの取り組みを行った。一つは2007年度に取り組みを始めてから継続している「職場ミーティング」で、全国の各拠点で社員全員が品質向上について話し合う機会を設けている。テーマは毎年変えており、今年は主に、①「お客さま第一の業務運営に関する方針」の確認②前年度の取り組み状況の振り返り③社員それぞれが組織の中でどのような取り組みを行っているかの確認―について議論した。
 本年度の新たな試みとしては、「過去」「現在」「未来」に分けて同社の品質向上の取り組みを紹介する専用の展示ブースを、本社駿河台ビルの2階にある社員食堂の一角に設置した。「過去」では、この取り組みのきっかけとなったいわゆる「保険金不払い問題」に関する資料を掲示。05年に発覚し、社会問題にもなった保険業界の不払い問題を報じた新聞記事や年表などを通じて、同社や保険業界が世間からどう見られていたか、また、問題発生後にどのような取り組みを行ったかなどを紹介している。同社が06年7月に行政処分(業務停止)を受けたことから、「企業品質の月」は7月に定められた。
 「現在」では、同社が品質向上に向けて現在までにどのような取り組みをし、どう改善してきたかに焦点を当てた。消費者団体の理事長が同社の取り組みについて語ったインタビュー動画やコールセンターに寄せられた顧客の生音声、契約者からの直筆の手紙などを紹介しており、社員は世間の同社に対する印象や意見を体感できる。
 また、「未来」では、新中期経営計画「Vision 2021」に盛り込まれた品質向上の取り組みに関する資料の他、社員が「お客さま第一」に基づいて職場の中でどのように活動していくかの宣言を掲示。大きな木が描かれたパネルに、職場単位で記した「私たちの『お客さま第一』宣言」シールを貼っている。また、各役員による宣言もある。全国から集められたシールでいっぱいになって、満開の花が咲いたパネルは、8月から駿河台ビルの正面ロビーに移されて、より多くの訪問客の目に留まっている。
 同社では今後も、「企業品質の月」の実施内容をブラッシュアップしながら、より実効的な取り組みを行っていくという。取り組みを推進する企業品質管理部企画チーム長の高橋京子課長は「お客さま第一で品質向上に取り組むことが結果として、当社の持続的成長にもつながるということを社員全員が理解し行動できるように、活動を続けていきたい」として、今後の進展に意欲を見せている。