2018.06.04 東京海上HD 新中期経営計画、将来のグループ像実現へ

東京海上ホールディングスは5月28日、2018―20年度の3年間を対象とした新中期経営計画「To Be a Good Company 2020」を発表した。中長期的に、社会構造の変化やテクノロジー進展による事業環境・競争環境の変化が予想される中、これからも、長期ビジョン「世界のお客様に“あんしん”をお届けし、成長し続けるグローバル保険グループ~100年後もGood Companyを目指して~」をベースに成長を継続するため、グループの強みを生かし、「最適なポートフォリオ」「強力なグループシナジー」「Leanな経営態勢」「グローバル経営基盤」という四つの姿からなる「将来のグループ像」を示した。将来的に「修正純利益5000億円超」「修正ROE12%程度」の実現を目指す。

 東京海上HDグループは、15―17年度の前中期経営計画で、全ての人や社会から信頼される良い会社を目指す「To Be a Good Company」をコア・アイデンティティーとし、持続的利益成長を目標に、取り組んできた。
 新中期経営計画では、将来のグループ像に向けて、収益基盤を構築していく。重要指標として、「修正純利益3~7%CAGR(年平均成長率)」「修正ROE10%以上」を掲げ、併せて株主還元の充実も図っていく。
 新たな計画では、厳しい事業環境下でも成長を続けつつ、「将来のグループ像」の実現に向けた態勢を構築することを目指し、①ポートフォリオのさらなる分散②事業構造改革③グループ一体経営の強化―という三つの重点課題に取り組む。
 このうち①では、内部成長に加えて、アジア等の新興国の他、先進国もターゲットにしたM&Aを活用し、成長を実現。政策株式削減を継続するとともに、金利リスク・自然災害リスクを適切にコントロールし、損保事業での新種保険(スペシャルティ等)、生保事業での保障性商品の拡大など、種目ポートフォリオの変革を目指す。
 ②では、顧客のニーズと環境変化を先取りした革新的な商品・サービスの投入、新たなテクノロジーを活用した顧客との新たな接点の創造など、営業力強化に向けた基盤の拡充の他、新技術の活用や共通業務の集約化等による無駄のない業務プロセスの実現など生産性の向上を図る。
 ③では、グローバルベースでのシナジーのさらなる発揮やベストプラクティスの展開によるローカル経営の一層の強化とともに、グループ横断での育成とグローバル人材の活用を一層推進。また、コアアイデンティティーの浸透によるグループ一体感の向上など、「グループカルチャー」の浸透を目指す。
 事業ごとの取り組み内容として、国内損保事業では、生損一体ビジネスモデルや地方創生・健康経営の取り組み推進等を通じた種目ポートフオリオの変革に加え、R&D機能の強化、テクノロジー活用を軸とした商品・サービスの高度化、代理店の専門性・コンサルティング力向上を通じた営業生産性の向上やチャネルミックスの推進・マーケットホルダーとの提携等による新たな販売ルートの拡大とともに、新たなテクノロジー活用と不断の業務効率化を通じた、シンプルでスピーディーな業務プロセスの構築により生産性を向上させる。
 国内生保事業では、顧客のニーズに応える生存保障商品の開発や、進化するテクノロジーを活用した新たな価値の提供など、環境変化を先取りした革新的な商品開発を進めるとともに、生損一体によるグループ顧客基盤を活用した生保見込み客マーケットの開拓など、顧客に安心を届ける力を進化。また、新たなテクノロジーの活用等による業務プロセスの品質・利便性・効率のさらなる向上など、成長力を創出する業務プロセスを改革する。
 海外保険事業では、グローバルベースのシナジー追求や国内外連携による日系顧客の海外進出対応強化によるグループ会社の持続的な利益成長に取り組み、新たなテクノロジーを活用した変革を推進。買収規律を維持しつつ、グループの持続的成長とリスク分散の観点から、先進国・新興国両マーケットで戦略的な新規事業投資案件を検討する。