2018.06.01 三井住友海上、五大銀行系 交銀人寿に37.5%出資、中国生保市場に参入

三井住友海上は5月23日、中国大手銀行の交通銀行傘下の交銀康聯人寿保険有限公司(こうぎんこうれんじんじゅほけん、交銀人寿)の株式持分37.5%を、オーストラリアの大手銀行コモンウェルス銀行の生保子会社CMLAから取得することに合意したと発表した。取得金額は43.25億元(約747億円、1元=17.27円換算)で、交銀人寿が30億元の増資を既存出資者に対して実施した後に、三井住友海上が43.25億元で37.5%の持分を取得する。中国政府は、外資系金融企業の出資比率上限を段階的に緩和し、数年後には撤廃する方針を発表。三井住友海上は、中国生保市場への参入について、収益性向上とリスク分散の他、「中国五大銀行の一つである交通銀行との合弁事業」「成長性の高い銀行窓販チャネルの獲得」という戦略的目的を挙げている。

 取得資金は、同社が保有する手元資金を充てる。関係当局の承認を得られ次第、速やかに取得する予定。
 中国は米国、日本に次ぐ世界第3位の生命保険市場であり、今後さらなる成長が見込まれている。同社では、中国市場への参入を果たすことで、収益性の向上に加えて、既存事業とのリスク分散による事業の安定化が期待できるとしている。
 交通銀行は、傘下に保険、アセット・マネジメント、証券、リース、信託等の子会社を有する総合金融サービスグループで、2018年4月末時点の時価総額は約7.3兆円。交通銀行を合弁パートナーとすることで、中国生保市場で、強力な事業基盤を確保することを目指す。
 また、中国の生命保険料収入に占める銀行窓販チャネルの割合は、13年の36.7%から16年は44.1%に上昇しており、他のアジア各国同様、銀行窓販チャネルの重要性が高まっている。交銀人寿は、強固な顧客基盤を持つ交通銀行の窓販を主要な販売チャネルとしており、今後も安定的な成長が見込まれるという。
 交通銀行は1908年に設立された100年を超える歴史を持つ銀行で、香港証券取引所と上海証券取引所に上場。中国国内の支店数は3270で、全土を網羅している。海外では東京、香港、シンガポール、ソウル、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、フランクフルト、シドニーに支店等を置いて16カ国で事業を展開し、グループ従業員は9万人を超える。
 交銀人寿は2000年に設立。中国での17年の保険料収入順位は全体で85社中28位、28社ある外資系では4位に位置する。交通銀行での銀行窓販を中心に、シェアを伸ばしている。