2018.05.17 かんぽ生命 18年3月期決算、純利益通期予想比121%達成

かんぽ生命は5月15日、2018年3月期決算を発表した。当期純利益は前期比17.9%増の1044億円で増益となり、通期業績予想に対して121.5%を達成した。個人保険の新契約年換算保険料は保険料改定の影響等により、同25.9%減の3762億円となったものの、第三分野の新契約年換算保険料は、同6.2%増の592億円で17年10月の特約改定の効果が現れ、過去最高の水準となった。個人保険の保有契約年換算保険料は前期末比2.4%減の4兆8595億円で、第三分野の保有契約年換算保険料は同2.0%増の7509億円だった。収益追求資産(外国証券・国内株式等)への投資は低金利環境の継続を受け、9兆4504億円(総資産の12.3%)まで拡大した。エンベディッド・バリュー(EV)は、前期末から3876億円増加し3兆7433億円。新契約価値は前期比1898億円増の2267億円となった。

 個人保険の新契約件数は前期比28.8%減の173万件となった。商品別では、保険料改定の影響で、貯蓄性の強い商品の占率が減少し、普通養老保険は49万件(占率:28.7%、前期実績88万件)、特別終身保険が12万件(占率:7.1%、前期実績31万件)、学資保険が13万件(占率:7.9%、前期実績34万件)だった。
 一方、保障ニーズを捉えた営業推進により、特別養老保険が33万件(占率:19.1%、前期実績28万件)、普通終身保険(定額型)が28万件(占率:16.3%、前期実績33万件)、普通終身保険(倍型)が36万件(占率:20.9%、前期実績27万件)となった。
 個人保険の保有契約件数は新旧区分合算で前期末比3.7%減の3040万件だった。商品別に見ると、養老保険は1257万件(占率:41.4%、前年度末実績1349万件)、終身保険は1296万件(占率:42.6%、前年度末実績1279万件)、学資保険は472万件(占率:15.5%、前年度末実績512万件)、その他は13万件(占率:0.5%、前年度末実績14万件)となった。終身保険は増加傾向にあり、占率が養老保険を上回った。
 連結経常収益は前期比7064億円減の7兆9529億円で、業績予想比103.4%だった。このうち、保険料等収入は前期比8054億円減の4兆2364億円、資産運用収益は同834億円減の1兆2845億円、責任準備金戻入額は同2106億円増の2兆3979億円だった。
 経常費用は同7359億円減の7兆6437億円で、このうち、保険金等支払金は同6603億円減の6兆8900億円、資産運用費用は同543億円減の1060億円、事業費は同269億円減の5334億円。事業費の約7割を占める日本郵便へ支払う委託手数料は新契約の減少により、同205億円減の3722億円となった。委託手数料のうち、契約獲得実績に応じて支払う新契約手数料は同246億円減の1657億円、保全・支払業務等に応じて支払う維持・集金手数料は同40億円増の2064億円だった。
 経常利益は同294億円増の3092億円で業績予想比123.7%、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比158億円増の1044億円で業績予想比121.5%と増益を確保した。総資産は前期末比4.4%減の76兆8312億円、純資産は同8.1%増の2兆31億円となった。
 資産運用については、低金利環境を受け、運用資産の多様化を進めてきた結果、株式・外国債券など収益追求資産の残高は9兆4504億円となり、総資産比で12.3%まで拡大。平均予定利率・利子利回りは低下したが、658億円の順ざやを確保した。キャピタル損益は191億円の損失となったが、マーケット変動の影響を受けた前期から改善している。
 有価証券の時価及び含み損益は、総資産の減少に伴い、満期保有目的及び責任準備金対応で保有する債券の含み益の合計は、前期末比減少し、7兆2119億円となった。その他有価証券の含み益は、期末にかけて株式相場が下降傾向であったものの、国内株式の含み益が増加したことから、前期末比増加し、5584億円となった。有価証券全体の含み益は、7兆7703億円と前期末から増加した。
 健全性の状況については、経営環境の変化に伴うリスクに備え、将来にわたり健全で安定的な経営を確保するため、危険準備金2兆1143億円、価格変動準備金9167億円を積み立てている。追加責任準備金は5兆9304億円。必要な責任準備金の水準を見直した結果、同社が引き受けた一時払年金保険契約を対象に、追加で170億円を積み立てた。連結ソルベンシー・マージン比率は1131.8%と高い健全性を維持している。
 19年3月期の連結業績予想は、経常収益7兆5800億円、経常利益2200億円、当期純利益は880億円を見込む。
 18年3月期の期末配当は、1株当たり64円の普通配当に加え、18年3月期の業績を踏まえ、1株当たり4円の特別配当を実施。これにより、1株当たり配当金は68円となる。19年3月期の期末配当は、普通配当を1株につき4円増配し、1株当たり68円とする予定。
 株主配当については、今後の利益見通し、財務の健全性を考慮しつつ、21年3月期の1株当たり配当金76円を目指して、1株当たり配当金の安定的な増加を目指す。