2018.05.16 住友生命 ブロックチェーンで実証実験、保険管理の自動化検証

住友生命は、システムコンサルティングとシステム開発を行う株式会社電縁(加藤俊男社長)と、ブロックチェーン技術を活用した保険管理業務に関する実証実験を5月から開始すると発表した。顧客の多様なニーズにタイムリーに対応するため、より機動的な商品提供や顧客利便性の向上を可能にするインフラ構築を目指す。実験により、①保険管理プロセスの自動化とオペレーションコストの削減の他、②保険加入者の利便性の向上③高いセキュリティーの確保④安価なシステム構築―などの効果が期待できるとしている。住友生命では、今回の実験が、国内生保会社として画期的な仕組みを構築し、自動化オペレーションの実現可否を検証するものになると期待を示す。

 実証実験には、ブロックチェーン導入による事業変革の第一人者である株式会社Scalarの深津航氏がアドバイザーとして参画。保険契約の引き受けや契約管理、保険金の給付等の保険管理業務をブロックチェーン上で行う仕組みを実証することで、情報セキュリティーや業務効率化などを含めて、ブロックチェーン技術の保険管理業務への適用可否や導入効果を検証し、有用なシステムの開発につなげることを目指す。
 実験におけるオペレーションはスマートフォンでの完結を前提に行い、保険加入者の利便性向上と業務の効率化を図る。
 検証オペレーションは約3カ月間の予定。
 住友生命では、ブロックチェーン技術の活用により、保険契約の引き受けから保険金支払いまでの一連の保険管理プロセスを自動化することによるオペレーションの迅速化と人件費や書類送付等のコスト削減が期待できるとしている。また、ネットワーク上の複数サーバーで同一データを分散管理する同技術を利用することで、全ての取引記録を透明性を保って共有できるとともに、改ざん等の不正が困難となることで保険契約情報の安全な管理が図れる他、従来の中央認証やデータ管理等、ハードウエアに依存したセキュリティー構築が不要となるため、安価なシステム構築ができるという。また、保険契約関連手続きをスマートフォン上の最小限の操作で行うことによる顧客利便性の向上も期待できるとしている。
 近年、民泊やカーシェアリングなど「必要なものを購入するのではなく、必要なときに共有する」シェアリングエコノミーの利用者増加を背景とした消費行動の変化に伴い、消費者ニーズの細分化や新たなニーズの創出が進んでいるという背景がある。
 住友生命と電縁では、実験結果を踏まえ、ブロックチェーン技術を活用した革新的な保険管理プロセスを整備することにより、多様なニーズに機動的に応える保険商品提供や顧客利便性の向上を可能にするインフラ構築を検討していく。
 電縁は、日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」をはじめとしたインターネットサービスを運営する株式会社クラウドワークスの100%子会社。