2018.02.23 第一生命HD 17年度第3四半期決算、純利益想定上回る進捗
第一生命ホールディングスが2月14日に発表した2017年度第3四半期決算によると、連結業績は増収増益となった。第一生命は好調な国内外株式市場等を背景に利息配当金収入を中心とした運用収益の増加等により利益が改善した。また、第一フロンティア生命、海外生保各社が順調に進捗(しんちょく)した結果、グループ修正利益、連結純利益は想定を上回る進捗となった。金融経済環境が大きく悪化しなければ通期業績は予想に対してさらなる改善が見込まれることから、グループ修正利益の予想を2000億円程度から2300億円程度へと上方修正した。連結純利益は米国の法人税減税に伴うプロテクティブの一時的利益(グループ修正利益からは控除)もあり、大幅に上方修正した。
第一生命グループの連結主要業績は、連結経常収益が前年同期比10%増の5兆2057億円となった。第一生命では貯蓄性商品の販売を抑制した結果、保険料収入が減少したものの、その他グループ会社の保険料収入は好調な営業業績を反映して増加した。なお、経常収益の増加の要因として各社における特別勘定資産運用益の増加があるが、責任準備金の繰入で相殺されるため、経常利益には影響を与えないという。
連結経常利益は同6%増の3451億円となった。第一生命は順ざやの改善等がキャピタル損益の減少等を上回り、前年同期比で増益に転じた。第一フロンティア生命も販売増や経済環境の改善により増益となった。反面、海外生保事業では、前年同期に発生した特殊要因による利益押し上げ効果のはく落等によって、プロテクティブが減益だった。
親会社株主に帰属する当期純利益(連結純利益)は、同9%増の1992億円となった。第一生命の増益に加え、ジャナス・キャピタルとヘンダーソン・グループの合併に係る株式交換益が233億円となり、前年同期に計上したアセットマネジメントOneの再編に係る持分変動益125億円を上回ったことが、増益となった主な要因。第一フロンティア生命の純利益は法人税負担の増加により減益だった。第3四半期累計のグループ修正利益は1683億円だった。
新契約年換算保険料はグループ全体で同1.7%減(為替変動要因を除くと3.4%減)の2927億円と前年同期実績を下回った。第一生命は一時払終身保険の販売停止や平準払個人年金の販売減少によって、同33.4%減の829億円と2桁の減少となったが、17年4月の料率改定に併せて実施した商品性の改定や営業職の評価基準の調整の効果が現れ、保障性主力商品の好調な販売が継続。第三分野は同28.9%増の546億円となった。
第一フロンティア生命は同9.6%増の1397億円で、外貨建年金に係る商品改定や新商品の導入効果に加え、第一生命の営業職による好調な販売を背景に着実に実績を伸ばしている。ネオファースト生命も新商品の導入効果等により好調な販売を続けており、同146%増の22億円となった。
海外生保事業では、プロテクティブが変額年金の販売は伸び悩んでいるものの、料率改定により定額年金の販売が拡大し、同18.3%増の273億円となった。TALは同88.9%増の289億円で、個人保険事業では競合他社の保険料率引き下げ等を背景として、一部商品の販売が減速しているが、第1四半期に団体保険事業で複数の契約を獲得したため、新契約は高い伸びを見せている。第一生命ベトナムも個人代理人の販売好調に加え、提携チャネルの貢献も高まり、同87.2%増の115億円と好調が続いている。
グループ全体の保有契約年換算保険料は前期末比1.4%増(為替変動要因を除くと1.7%増)の3兆6856億円だった。第一生命は前期末と同水準の2兆1463億円で、このうち第三分野は同5.2%増の6377億円となった。第一フロンティア生命は、前期末比4.9%増の7476億円だった。
グループ各社の業績を見ると、第一生命は経常収益が前年同期比6%減の2兆7783億円で、このうち保険料等収入が同10%減の1兆6986億円、資産運用収益が同9%増の8764億円だった。経常費用は同7%減の2兆5288億円で、このうち保険金等支払金は同5%減の1兆6294億円となった。経常利益は同7%増の2495億円、純利益は同15%増の1169億円。貯蓄性商品の販売を抑制した結果、保険料収入が減少したものの、相場環境改善を受けた利息配当金収入の増加等や環境に応じた投資行動等により運用収支が改善し、増益に転じた。商品ポートフォリオを保障性にシフトする戦略を継続し、主力商品の販売が順調に推移。第3四半期累計の新契約年換算保険料のうち、保障性商品の占率は約8割となっている。
第一フロンティア生命は経常収益が同63%増の1兆4152億円で、このうち保険料等収入は同49%増の1兆769億円、資産運用収益は同137%増の3383億円だった。経常費用は同65%増の1兆3654億円で、このうち保険金等支払金は同22%増の5141億円となった。経常利益は同24%増の498億円、純利益は同11%減の300億円となった。商品改定・新商品投入に加え、グループ内外で販売チャネルを拡充し、保険料収入の増収ペースが加速した。純利益は外貨建商品の販売増加に伴う危険準備金の繰入増加と、前年度の期中から税法上の繰越欠損金を解消し、法人税負担が増加したこと等から減益となったが、業績予想を上回る高い進捗となっている。
第一生命のソルベンシー・マージン比率は、898.7%となった。株価上昇等を背景に含み益が増加し、前期末の850.5%から上昇。十分な財務基盤と健全性を確保している。第一生命ホールディングスの連結ソルベンシー・マージン比率は、831.1%。