2017.10.17 来年1月「AIG損保」が誕生 業界のイノベーターに、経営理念と役員体制発表

 AIU損保(AIU)と富士火災は10月12日、合併により来年1月に誕生する予定の新会社「AIG損害保険」について、経営理念と中核戦略を発表した。併せて新会社での提案型営業の強化に向けた商品展開として、AIG損保の提供する主な保険商品を示すとともに、代表取締役社長兼CEOの就任が決定している現AIU代表取締役社長兼CEOのケネス・ライリー氏をはじめ、新会社の執行体制を明らかにした。

 「AIG損保の経営理念」としては、①ビジョン(目指す姿)②ミッション(使命)③バリュー(価値観)を掲げる。
 ①として、優れた人材、テクノロジー、グローバルネットワークを原動力に顧客に高い価値を提供し、「日本の保険業界のイノベーターとして進化し続ける」と宣言。②については、リスクに関するグローバルな知見とノウハウを通じて、顧客の将来への不安を減らし、未来に向かってサポートするとしている。また③では、独自の道を歩むことを恐れずに、顧客の問題解決を通じて価値を提供し、常に「ACTIVE CARE」(注)の意識を持って臨むとして、「イノベーションと企業成長の原動力である人材の多様性を大切にする」との方針を示した。
 「中核となる戦略」としては、①Segmentation(フォーカスする顧客のセグメントでナンバーワンを目指し、差別化した価値を提供)②ACTIVE CARE(「ACTIVE CARE」のコンセプトに基づく新たな保険の在り方を提唱)③Risk Consulting(グローバルな知見とノウハウに基づく最先端のリスク・コンサルティング・サービスを提供)④Data Analytics(高度なデータ分析を潜在的なリスクの発見と対策に活用して、新たな価値を提供)―の4項目を事業戦略上の重点要素に位置付け、顧客にとっての価値の最大化を図る考えだ。
 AIG損保では、リスク・コンサルティングを基に、顧客に適切な商品を提供する提案型営業をより強化していくため、これまでAIUと富士火災がそれぞれ提供してきた特長ある補償の優れた点を融合させた新商品を開発。個人、中小企業、大企業・中堅企業という三つの顧客セグメントで、それぞれのニーズやリスクを総合的に分析することで、幅広い補償内容から適切な補償プランを設計するリスク・コンサルティングを営業の基本姿勢とする。
 同社はまた、「ACTIVE CARE」に基づき、経済的補償を重視した従来の保険商品の役割に加え、事前に顧客のリスク認識を整理し、回避・軽減するための革新的かつ能動的なアプローチによって、顧客の不安を少しでも和らげるようなサービスを提供していくとしている。
 新会社の提供する主な保険商品として、個人向けの「家庭用総合自動車保険(AAP)」「海外旅行保険」「火災保険 ホームプロテクト総合保険」「医療保険実費補償型(みんなの健保)」、法人向けの「業務災害総合保険(ハイパー任意労災)」「事業総合賠償責任保険(STARs)」「マネジメントリスクプロテクション保険」「企業財物保険(プロパティーガード)」「CyberEdge」「総合事業者保険(スマートプロテクト)」などを公表した。
 一方、ケネス・ライリー氏をはじめ、新会社の役員体制を発表。富士火災の現代表取締役社長兼CEO横山隆美氏とAIUの現副会長小関誠氏は、12月31日付でAIGグループにおける役職から退任する。
 その他の新取締役は次の通り(敬称略)。
 ▽取締役会長(非常勤)ラリック・ホール▽取締役(非常勤)クリスチャン・サンドリック▽取締役(非常勤)首藤透▽取締役(非常勤)スティーブ・スネル▽取締役(非常勤)ウェンデル・デーブ・ダウリッチ▽取締役(非常勤)ロバート・ノディン▽取締役(非常勤)松岡直美
 (注)日本におけるAIGグループの固有かつ統一の事業戦略コンセプト。「シンプルで分かりやすい」「リスク情報を事前に」「AIGならではの先進性」の三つの要素で構成されている。