2017.10.19 共栄火災「業務災害補償保険」 事業者ニーズ捉え販売好調、契約件数5千件超に

 共栄火災は、2015年10月に発売した「業務災害補償保険」の契約件数が、このほど5000件を突破したことを明らかにした。「脳疾患・心疾患・精神障害に係る補償」や「従業員等へのハラスメント・不当解雇等による賠償責任」といった従来の商品では補償されなかったリスクもカバーする。共栄火災では、「安定した経営を行うためにも労務・労災リスクに備えたい」という事業者のニーズを捉えたことが、「業務災害補償保険」の販売好調の要因としている。

 最近、労災事故が発生した際に被災従業員や遺族から訴えられ、高額な損害賠償を請求されるケースが増加しており、高額賠償となった場合、特に中小規模の事業者にとっては事業継続が困難な事態になる恐れもある。
 共栄火災では、15年10月に信用金庫の業界制度商品(窓販商品)「しんきんの傷害保険」シリーズに事業者顧客を対象とする業務災害補償保険「ビジネスプラン」を新設した他、今月からは、農家組合員向けの新たな保障制度として「JA共済労働災害保障制度」の提供を開始するなど、マーケットに応じた業務災害補償保険を提供している。
 「業務災害補償保険」は、業務に従事する人(従業員等)の業務上の災害に関わるさまざまなリスクを補償するもので、労災認定を待たずに速やかに支払いを行う。
 「業務上の災害に関わるリスク」としては、従業員等の業務中のけがや通勤中のけが、過労死の他、企業が従業員等に対して負う賠償責任などがある。
 災害補償規定等に基づく補償金や弔慰金・見舞金の支払い、従業員等の業務上の事故により負担する従業員等への法律上の損害賠償責任・訴訟費用など、「業務上の災害によって、事業主が負担する各種費用の支出や損害賠償リスク」も補償する。
 共栄火災が支払う保険金を、全額従業員に給付するため、従業員の福利厚生の充実が図れる他、保険期間中に従業員等の入れ替わりや増減があっても事務手続きする必要がなく、包括的に補償するため、事務面での手間が省けるというメリットがある。事業主や役員については、「業務に従事していない間」の傷害事故も対象となる。
 うつ病などの「心の病」や過労などによる脳・心疾患、従業員等へのハラスメント・不当解雇等に対する賠償責任も補償する。
 また、保険料は「福利厚生費」として全額損金算入できるため、経費面での効果が図れるとともに、建設業の場合には下請負人もまとめて補償する。
 顧客からは、手間のかからない契約事務、経費面での効果などの他、「業務に従事していない間」の傷害事故も対象になるため、取引先との食事やゴルフなど線引きが困難なケースも補償され、安心できるとの感想が寄せられているという。
 近年、従業員の過重労働や過労死が社会問題化するなど、労働紛争が増加傾向にある。また、精神障害を原因とする労災認定件数の増加等を受け、事業者は、最近の社会情勢の変化や労働災害の動向に対応して、労働者の安全と健康の確保対策を一層充実させることが求められている。
 15年12月からは、従業員50人以上の企業に対して、ストレスチェック制度の導入が義務付けられたこともあり、事業者の労務・労災リスクへの関心はますます高まっている。