2017.09.28 拡大する保険会社の代理店 異業種との連携広がる、代理店による施策も加速
保険会社による代理店チャネル強化や、異業種代理店開拓が加速している。8月22日には第一生命が、ホロスホールディングス(注1)への約2億円の出資と業務提携締結を、7月24日には住友生命が、関西エリアに20店の保険ショップを展開する㈱保険デザインの子会社化をそれぞれ発表。日本生命は、一昨年度来複数の代理店の子会社化や業務提携を進めている。ソニー生命による婚活支援大手との代理店設立、第一生命グループによる薬局との連携、生損保9社(注2)とNTTドコモの提携などの他、保険のビュッフェとヤマダ電機、ほけんの窓口グループと銀行の連携といった代理店による施策も急激に拡大している。
日本生命は、2015年にライフサロンを子会社化して同年10月からニトリ店舗での「ニトリのほけん+ライフサロン」の展開をスタートし、店舗を徐々に増やしている。同年11月に、訪問型代理店のライフプラザパートナーズを子会社化し、昨年10月には、NTTドコモと事業提携。今年3月には九州を中心に89店舗(17年3月末時点)展開する㈱ほけんの110番を子会社化した。同社では「こうした取り組みで顧客接点拡大に向けたチャネル体制の構築に努めたい」としている。
ソニー生命は、今年3月に結婚相談所事業など婚活支援サービスを提供する㈱IBJとの共同出資で、保険代理店事業を営む合弁会社㈱IBJライフデザインサポートを設立し、ホームページでの情報提供も開始している。「結婚」をチャンスとする代理店では、10年4月にスタートしたゼクシィ保険ショップが最近保険取り扱い店舗を大幅に増やしており、今年中にさらに複数店追加するという。
第一生命グループのネオファースト生命の商品は、今年5月から日本調剤㈱での販売が始まっており、日本調剤は、アフラックや三井住友海上とも提携している。
また、NTTドコモは従来のネット完結保険に加えて、対面での保険相談に着手しているが、同じく通信業者であるKDDIは、11年5月にあいおいニッセイ同和損保との共同出資のau損保を開業し、15年5月にはライフネット生命の主要株主となった。16年度からはライフデザイン事業をスタートさせ、一部のauショップ店頭での保険案内も行う。ライフネット生命はアパレル企業との連携も開始している。
一方、保険のビュッフェは、今年3月以降、首都圏のヤマダ電機での保険カウンター設置を増やしており、関東圏内で160余店への展開を目指す。
ほけんの窓口グループでは、10年ごろに本格化させた銀行アライアンス事業が最近急速に拡大。昨年度以降、提携先銀行を約10行増やし現在は21行に上る。提携先銀行が設置する保険相談専門店舗に同社スタッフを派遣する形から徐々に進化し、現在では銀行全体の保険募集をサポートする形の提携も始まっている。
保険会社も代理店も、「顧客接点」を強化したい考えで、取り組みはさらに広がる見込みだ。
(注1)ホロスホールディングスは、約200人の将来設計士を擁する㈱ホロスプランニング、コンサルやシステムを提供する㈱エルティヴィー、教育研修事業を行う㈱HOLOS―BRAINSを傘下に持つ。
(注2)オリックス生命、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命、東京海上日動あんしん生命、日本生命、ネオファースト生命、三井住友海上あいおい生命、三井生命、メディケア生命の生保8社(50音順)と東京海上日動の計9社。