2017.01.16 みずほ銀行、一時払い商品の販売ペース維持、タブレット活用が奏功
みずほ銀行は、マイナス金利の影響下でも一時払い商品の販売ペースを維持している。今年度上半期の保険料は2000億円強で前年とほぼ同水準を確保。今年度から、「増やす」以外に、「遺す」「受け取る」「渡す」などの保険本来の機能を訴求した販売(保険の機能売り)に注力した結果、変額保険中心から「定期受取り」「即時年金」などのさまざまなタイプの商品がまんべんなく売れるようになったという。リーフレットやタブレットの活用も安定的な拡販をけん引。今後は、同行のメーン顧客である富裕層シニア向けに「介護」を打ち出す方針だ。
同行では、外貨建ての一時払い商品を分かりやすく説明するためのリーフレットを作成。一時払い保険料の運用イメージを分かりやすく図で示している。従来の商品タイプを「ふやしてつかう」と表現し、定期収入を受け取って計画的に使うタイプは「つかいながらつなげる」、終身タイプで増えた分を毎年受け取れるタイプは「受け取りながらのこす」、一般的な定額終身保険を「しっかりのこす」として分類。安心感の提供とニーズ喚起に成功した。
またタブレットでは、保険相談に対応するシステム「i―Chart」で、顧客の意向に合わせて順番に質問していくことで、最適な商品の絞り込みができる仕組みを構築。具体的には、画面ごとに表示される「月払いか一括払いか」「希望するのは、けがや病気への備えか、運用か」などを選択していき、さらに、年齢、資金、投資経験、現在の金融資産、金融知識、保有スタンス、リスク・リターンの希望などの質問に回答し、希望する運用スタイルを選べば推奨商品が出てくる。
個人コンサルティング推進部営業開発チームの清水健人調査役は「新しいのは、顧客のリスク許容度の診断もできる点だ。グループ内のみずほ第一フィナンシャルテクノロジーが開発した国内初の仕組みで、この仕組みを活用することで、リスク許容度に応じた商品を勧めることができる」と話す。
一方、同行では「ローンコンサルティングスクエア」を全国12カ所に設置しており住宅ローンの相談などに対応している。従来は、そこで出てきた保険の相談は近隣の営業店につないでいたが、今年からはローンセンター内で保険の相談ができるように保険担当の配置を開始した。今後は、保険担当者を常駐させるとともに、ローン担当者による保険販売の体制も検討するという。
清水氏は「引き続き保険の機能を訴求した販売を推進したい。保険窓販では、貯蓄と親和性の高い商品から始まって、今ではさまざま商品をカバーするようになった。平準払い商品では、11月に販売を開始した当行初の外貨建て年金への反響が出てきたが、今後は、承継や介護に力を入れる。メーン顧客である富裕層シニアの承継・介護の潜在ニーズを顕在化させてコンサルできるのは銀行の強み」としており、この分野のラインアップを増やすとともに、行員のスキルアップも図る計画。特に、従来の富裕層向け運用商品にプラスして承継・介護商品を提案することになる渉外担当の教育にも注力する方針だ。