2016.10.31 伊予銀行がペーパーレス申込みを全店導入へ、事前同意から契約まで完結

 伊予銀行(愛媛県松山市)は来年4月に、「事前同意」から「意向把握確認」を経て「契約」までの保険申し込みの一連の手続きを、電子サインを用いてタブレット端末上で行うペーパーレスの申し込み(注1)を全店でスタートさせる。保険業法に対応しつつ、保険会社や保険商品ごとに異なる保険申し込み手続きの画面を共通化する。同行によると、申込書類の電子化手法を取り入れる金融機関が出てきている中で、保険申し込みの手続き全てをタブレット端末で行うことができる仕組みの採用は地方銀行で初めてだ。
 保険募集人(銀行員)による保険取り扱い業務は、「保険の提案をする前に顧客が同意書面、意向把握書面および募集制限先確認書面に署名」「顧客の意向に沿ったコンサルティングにより保険商品を選定」「顧客が保険会社ごとの申込書・告知書などに記入」「銀行の管理者が取引の適切性を検証」「銀行の担当者が保険会社に書類を送付」「保険会社が申し込みを精査し契約が成立」といった流れだが、今回の仕組みでは、顧客署名までをタブレット端末を用いてペーパーレスで対応するだけでなく、その後の銀行の取引検証などもパソコン端末を用いてペーパーレスで行える。契約後のアフターフォローの活動管理や高齢者などに配慮し、紙で募集した場合の申込書類のイメージ保管もシステム上で行う。
 同行が10月1日時点で取り扱う保険商品は、医療・がん保険、学資保険、個人年金保険、定期保険・収入保障保険、終身保険などと幅広く、合計すると17保険会社の87商品。来年4月に電子化を予定しているのは15社49商品に上る(注2)。
 事務統括部の鴨川哲司課長代理は「当行では法人向けに押印が必須の商品があり、それらの商品を除いて、ほとんどの商品を今回の仕組みで取り扱うことができる。お客さまの申込書などへの記入の負担が半減するとともに、記入ミスなどの不備が大幅に減少することで、契約成立までの期間も短縮する。また、改正保険業法が求める帳簿備付や事業報告にも対応しており、管理機能も万全だ」と話す。
 同行では、保険の取り扱いをいち早く開始しているが、2010年には平準払い商品の販売をメーンとする来店型の保険専用ショップ「いよぎん保険プラザ」を設置。現在6カ所にあるいよぎん保険プラザを今後も増やしていく計画で、鴨川氏は「商品の電子化率が9割を超える営業店だけでなく、いよぎん保険プラザでもこの仕組みを活用する。今後も先進的な取り組みでお客さまのニーズに応えていくため、保険会社には参画と対応商品の拡大をお願いしていきたい」と意欲を見せている。
 (注1)同申し込みは、ニッセイ情報テクノロジーの保険販売支援パッケージ「INPLUS(インプラス)」の導入で実現。インプラスは、金融機関の事務と保険会社の申し込み事務の両方をシームレスにシステム化する。金融機関ごとに異なる法令順守のための検証もシステム化する。
 (注2)参画しない2保険会社の商品の他、販売休止商品や本部渉外専用である事業用保険(法人向け商品)などが対象外。