2016.09.07 SOMPOリスケアがアナリティクス部を新設、ビッグデータ分析 新サービスに

 SOMPOリスケアマネジメントは、8月1日にアナリティクス部を新設した。現代では、これまでにないほどのスピードで大量かつ多種多様な情報が集まる。これらを分析することで顧客のニーズに沿ったサービスの提供や詳細な市場分析、将来予測などが可能になることから、専門性の高いデータサイエンティストの存在が不可欠となってきている。同部には現在、自然災害リスク評価のアナリストの他、4人のデータサイエンティストが配置されている。  新設されたアナリティクス部の役割は、①リスク定量化技術を資本効率向上・商品開発に生かし、損保ジャパン日本興亜グループの収益拡大に貢献②海外損保事業の拡大とリスク管理強化ニーズに応えるため、定量化技術の高度化および評価体制を強化③ビッグデータアナリティクス技術を駆使し、グループのデータサイエンス事業の推進・強化に貢献―の三つ。
 同部の主な業務は、自然災害リスク評価モデルの開発(地震・津波・台風・洪水リスクモデル、風力発電施設評価モデルなど)、自然災害リスク評価体制の整備(自然災害リスクのプライシング、グループ共通の自然災害リスク評価体制・評価手法の構築)、国内外の保険リスク評価(再保険スキームの最適化や個別保険契約の引受前収益性分析・ポートフォリオの最適化)、保険商品の開発支援(国内地震料率テーブル作成、天候・地震デリバティブ商品開発)、ビッグデータアナリティクス(自動車・ヘルスケア・マーケティング分野におけるモデル開発)だ。
 データサイエンティストとは、ビッグデータを活用し、企業内外を取り巻く大量のデータを分析、それをマーケティングなどに生かす専門家。プログラミングなどのITスキルのみならず、ビジネスノウハウや統計学など幅広い分野の知識が必要とされる。
 同社のデータサイエンティストは、蓄積したビッグデータと保険実務で利用している統計分析技術を駆使して、潜在的な顧客ニーズ推定や疾病発症予測、異常検知などさまざまな分野で顧客に新しいソリューションを提供する。
 アナリティクス部データサイエンスグループの久保田真樹主任研究員は「ウエアラブルデバイスなどさまざまな機器からデータが取得できる環境が整いつつあることで、データ分析は保険とより一層結びついていく。現在では保険業界でデータ分析に対するニーズが高まっており、データサイエンティストの活躍フィールドが広がった」と話す。
 同社はこれまで、アナリティクス部の前身である定量評価部で生活習慣病の発症予測モデルの開発や、今年の5月に日本産業衛生学会で発表したストレスチェックデータと休職やストレス関連疾患での受診との相関関係の分析などを行っていた。
 また、今年2月から提供を開始した企業の健康経営を支援する「健康経営推進支援サービス」でも、健康診断やレセプト、労働生産性などのデータを分析することで企業の健康課題の把握や施策の立案、保健指導などのソリューションまで一貫したサービスを行っている。
 同部同グループの髙本和明グループリーダーは「現在、データサイエンティストの採用と育成が大きな課題となっている。常に最新の技術動向を捉えるとともに、ニーズにマッチしたデータ分析サービスを提供できるよう心掛けていきたい」と話している。