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どんどん変わっていく保険と金融。
今年は新製品も多く、目が離せません!
FPからのアドバイスも注目。新しい保険の時代がはじまります。
                                                  
[2017-01-31]
 日本生命「ChouChou!」好調、セグメント別戦略が奏功

  日本生命が昨年10月に発売したニッセイ出産サポート給付金付3大疾病保障保険「ChouChou!(シュシュ)」が好評だ。被保険者の半数以上が新規顧客で、医療・介護保険などを同時に申し込む例も多い。独身・既婚を問わず加入があり、父親・母親が娘のために契約する例も珍しくない。3カ年経営計画で打ち出しているセグメント別戦略が奏功した形だ。
 シュシュの最も注目されている点は、「出産と特定不妊治療をサポート」する業界初の商品であることだが、満期一時金で最大200万円を受け取れる点に興味を持つ顧客が多い。また、3大疾病に罹患(りかん)した場合に一時金で300万円を受け取れる(上皮内新生物などでは30万円)点も好評だ。
 同社によると、「業界初の商品」「満期時に一時金が受け取れる」など、営業職員の話材も多く活動の機会も広がっている。
 契約に至った営業職員からは、「以前他の商品の提案で一度断られたことがあるが、今回シュシュを満期一時金の話も含めて提案したところ、他の商品とセットで加入いただけた」「医療や介護の保険と並べて説明できるようになり、お客さまの選択肢も広げられた」「親世代に対しても話しやすい」などの声が寄せられている。
 営業職員向けには、隔月刊の社内情報誌『NISSAY号』で商品内容や提案のポイントを説明するとともに、成功事例を基に複数の教材を作成して配布。顧客への提案時には、同商品発売に合わせて制作したパンフレットやさまざまなコミュニケーションツール(開発背景などを記載したチラシ、女性向けの冊子『女性のからだお悩み解決BOOK2―カラダ想いさんのチェックリスト』『女性のための“みらい”に備えるコミュニケーション』)を活用してニーズ喚起が図れる。商品パンフレットでは、ページ順に、話のきっかけづくり(心配事について)、がんや出産・特定不妊治療で掛かる費用の現状、商品の特徴、Q&Aなどを掲載。冊子類も含めて優しい色調で制作している。
 また、契約者向けサービスの一つ、女性の医師や看護師などの専門家に女性特有の体の悩みを無料で電話相談できる「ウェルネスダイヤルエフ」では、シュシュの保障内容に合わせて相談範囲に「妊娠・出産に関する悩み」を追加しており、女性の幅広い悩みに対応可能となった。
 この他、専門家による健康や育児の疑問に対する無料電話相談「育児相談ほっとライン」、セカンドオピニオンの取得に適した専門医を紹介する「ベストドクターズ・サービス」も提供している。
 営業教育部の川瀬摩耶CS主任は「被保険者の半数が新たなお客さまで、従来取り込めなかった層の獲得にも成功している。これをきっかけに多件数販売につなげたい」と話しており、同部はつらつ育成推進室(注)の今酒沙央理CS主任は「職域での反響も大きい。商品内容と成功事例について、紙ベースだけでなく映像による教育も行っており、営業職員のモチベーションもアップしている。今後も着実に取り組んでいきたい」としている。
 (注)はつらつ育成推進室では、日本生命の将来を担う営業職員育成を目的に、各支社で選ばれた入社5年内職員に教育支援をしている。

 
[2017-01-30]
 東京海上日動、FDCと連携し実証実験

  東京海上日動は1月24日、Planetway Corporation(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ、注1)の非常にセキュリティーの高いデータ連携技術を活用することで、医療機関などにおけるブロックチェーン技術の活用に向けた実証事業を福岡地域戦略推進協議会(FDC、注2)と連携して実施すると発表した。
 ブロックチェーンは、決済や取引の自動化などさまざまな領域での活用が見込まれる技術として非常に高い注目を集めているが、ブロックチェーンにおける暗号化技術の利用は偽造・改ざんを防止するためのもので、取り扱うデータそのものは暗号化されていないことから、機密情報や個人情報などを扱う上で課題があるとされている。
 特に、保険業務で取り扱う契約内容や医療情報など、長期にわたって非常に高い秘匿性が求められる領域での活用に向けては、通常の暗号化での対応では不十分であり、新たな技術による課題克服が求められていた。
 東京海上日動では、エストニアの国民番号制度を支える非常に高いセキュリティー技術を適用したデータ連携基盤であるPlanetwayの「avenue―cross」(注3)と従来のブロックチェーン技術を合わせて活用することで、課題を克服し、新たな顧客価値の創出や革新的な業務効率化を実現することを目指す。
 具体的には、FDCの協力を得て福岡市域の医療機関と連携し、傷害保険金請求書に記載の医療機関に対し、ブロックチェーンを通じて入通院期間などの医療情報の提供を要求し、データ連携基盤を通じて医療情報などのデータを受領することで、医療情報に対するセキュリティーを確保しつつ、保険金支払い業務の簡略化、迅速化が可能かを検証する。
 同社では今後、実証事業の結果を踏まえ、保険業務で扱われる秘匿性の高いデータのやりとりへのブロックチェーン技術の活用を進めていくことで、保険に関連する事務プロセスを革新的に効率化するとともに、万が一の際の顧客への迅速な保険金支払いを実現していくという。
 また、将来的には、医療機関・介護事業者間の情報連携や海外とのデータ連携を活用した訪日外国人向け施策、スマートシティをはじめとした地方創生策など、保険分野以外のさまざまな領域での活用を進めていくことを目指す。
 (注1)グローバル通信、IoT、データの三つを事業の柱として、世界規模のビジネス展開を目指すため、2015年7月に設立。現在、世界200カ国で利用可能な通信サービスを提供しながら、IoTの新規事業創出に特化したプラットホームを開発中。
 (注2)福岡の新しい将来像を描き、地域の国際競争力を強化するために、成長戦略の策定から推進までを一貫して行う、産学官民一体のシンク&ドゥタンク。約140の企業・大学・行政などの会員で構成されており、福岡都市圏がビジネス交流・開発・営業拠点として「東アジアのビジネスハブ」となることを目指す。
 (注3)分散型データ連携を可能とするセキュリティーの高いデータインフラで、世界最先端の電子国家であるエストニアの国家インフラを支える技術を世界で初めて民間事業で活用する取り組み。

 
[2017-01-27]
 東京海上日動あんしん生命、就業不能保障を訴求

  東京海上日動あんしん生命は2016年11月、就業不能に関する保障を刷新した新商品「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」を発売した(注)。同社は、就業不能商品への女性契約の割合を高めようと、新商品発売1年前からプロジェクトチーム(PT)をスタート。12月7日からは、女性向けの新パンフレットを使った女性へのアプローチも開始している。本社メンバー11人による「女性PT」と女性営業担当者メンバー8人による「かがやきPT」による「相互で同じ目標に向かって協力し合う取り組み」が加速中だ。
 新商品開発と同時に拡販の施策を検討した同社では、就業不能系商品の男女別の契約率に着目した。同社商品全体の男女別の契約比率はほぼ半々だが、就業不能保障商品に関しては女性の比率が約20%と低い。そこで、「女性の契約を伸ばすことで拡販につなげられる」との仮説の下で実態の検証に取り組んだ。
 本社の「女性PT」は15年11月に営業企画部のメンバーを中心にスタートし、毎月1、2回の会議を開催してきた。一方、代理店を支援する北関東甲信越営業支援部の女性営業担当者8人で構成される「かがやきPT」は16年4月に発足。女性営業担当者が増えている同社では、「かがやきPT」で女性営業担当者のスキルやナレッジの共有を目的とした会議を実施しており、今回の新商品拡販については、共同で具体的な施策を検討した。
 本社の女性PTを主導する営業企画部企画グループの仲山涼子主任は「各種の調査資料や独自アンケートなどから、最新の状況が次々と浮かび上がった」と話す。例えば、女性の就業率は「M字カーブ」といわれるが、復職者が増加している昨今ではMのカーブが緩やかになっている(厚生労働省「2015年労働力調査」による)。また、生命保険文化センターの「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」からは、「配偶者に対して今後増やしたいと思う生活保障準備項目」として「就業不能時の生活資金の準備」が上位に来ていることが分かった。「収入保障・就業不能分野における女性マーケットの現状」(同社が16年7月に実施したウェブアンケートで、20〜59歳の就業可能年代の男女が回答)では、女性(500人超)のうち収入保障・就業不能保険を知らない人の割合は75%、加入してない理由では「提案されたことがない」が約23%、「保険料が高そう」が約38%だった。
 これらの調査結果に基づいて、PTでは「認知度を高めることで契約の伸展が見込める」と判断。「女性にとっての収入保障・就業不能保険の重要性」を理解してもらうことが必要との考えから、伝えるための方法を検討したメンバーは、「がんと女性の関係」や「女性の雇用形態別の継続就業の実態」にも着目した。
 具体的には、「がん患者のうちの3人に1人は就業可能年代(20〜60歳)」「がん患者全体のうちの就業可能年齢の患者は女性の方が多い」「半数以上を非正規やアルバイトが占める女性の雇用形態では退職を余儀なくされる率が39%、正規雇用者でも20.7%」といった実情が分かり、女性にこそ備えが必要なのではないかと考えるに至った。一方で、今備えが必要と感じていない女性に、どのように伝えていけばよいかをメンバーで考え、ニーズ喚起にもつながる新パンフレット(人生を「旅行」に例えた「人生旅行プランニングBOOK」)を作成した。
 同パンフでは、「安全で楽しい旅のために今考えておきたいこと」として、@鍵が「ライフプラン」にあることA起こり得る「トラブル」をシミュレーションしておくべきBトラブルに「対策」を取り「輝く未来」を手に入れる―ことを推奨している。
 かがやきPTのリーダーで北関東甲信越営業支援部の杉山理恵副主任は「就業不能保険における課題は、顧客自身が就業不能時のことを具体的にイメージできていないこと、さらには女性に対する就業不能保険の提案手法が確立されていないことだと考える」と話す。そのため、募集人から女性の顧客に就業不能保険を提案してもらう切り口として、自身の就業不能時の保障の必要性を理解してもらうためのライフステージ別のトークスクリプトも作成した。
 パンフレットでは、女性に気付きを与えた後で「対策」として保険商品を案内。日常生活でのリスクや共働き世帯の住宅ローンへの対策として「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」を提案している。現在は、募集人向けに「女性の就業不能時の保障の重要性を伝えるための勉強会」を開催しており、今後は女性就労者の多い保育園や病院、企業での女性向けセミナーも展開していく予定。PTでは、「まずは女性の契約率30%以上を目指す」方針だ。
 (注)「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」は「家計保障定期保険NEO」に就業不能に関する特約を付帯した商品の総称。

 
[2017-01-26]
 朝日生命、女性ブランド戦略進む、「やさしさプラス」浸透へ

  朝日生命では、女性ブランド戦略が進行している。「やさしさプラス」ブランドの確立を目指して、昨年10月1日の同名商品発売に先駆けて推進チームがスタートした。営業企画部の古賀麻耶女性ブランド戦略課長は「今年度はブランドの立ち上げに込める思いや背景を全職員が深く理解することに注力している。来年度は、その思いを全職員が体現し、お客さまに届けることでブランド・コンセプトを浸透させていく」と展望。15年4月からの中計「SHINKA(新化・進化・真価)〜未来に挑む〜(3カ年計画)」の柱としても順調なスタートを切った。
 ブランドのコンセプトは“女性の「私らしく輝いて生きる」を応援する”で、コンセプトに基づいて、女性のための保険「やさしさプラス」や同商品加入者のための健康相談サービス、「女性を支援する社会貢献活動」を一体で提供する。  女性のための保険「やさしさプラス」は、必要な保障を必要なだけ自在に組み合わせることができ、加入後もライフステージの変化に合わせた見直しが可能。女性特定部位に対する手術を重点的に保障する特約「マイメディーナ」も設けている。
 ブランド推進は、古賀課長と構想段階からのメンバーである同部の三谷郁子副長他の計4人で担当。20歳〜49歳の働く女性をコミュニケーションのメーンターゲットに据えている。三谷氏は「女性は、結婚、出産、育児、仕事上の変化、家族の転勤といったライフイベントにより受ける影響が大きい。生き方の選択肢が増えているからこそ、前向きに自分らしくありたいと考える女性の力になることを目指している」と話す。
 また同社では、販売チャネルの主軸である営業職員が日ごろの営業活動の中でブランド・コンセプトに込めた思いを顧客に伝えるとともに、さまざまな声を収集してブランドに反映させるために「やさしさの輪プロジェクト」を開始した。プロジェクトを推進していくための母体として「やさしさの輪会議」を設定。商品発売と同時に発足した同会議は、支社長をトップに、毎月営業所のオフィス・エキスパート(事務処理や、営業所内で可能な営業サポート業務を行う職制)が支社に集合し、ブランド・コンセプトを体現する活動について検討するというもの。また、地域による特性や顧客による違いなどを踏まえた独自案を現場の声として報告している。会議で検討した内容は営業所に持ち帰って営業職員にも伝え、全職員がコンセプトを顧客に届ける活動につなげている。
 一方、営業職員向けの研修は9月から継続的に実施している。「女性をめぐる状況(働く女性の増加、ライフコースの多様化、女性の保障ニーズの高まりなど)」を踏まえた「ブランド立ち上げの背景」を学ぶことからスタートし、さらに、営業職員経由で女性を対象にアンケートを実施するなど、消費者ニーズ把握の取り組みも徐々に広げている。
 また、社会貢献もブランドの思いを伝える活動の一つとの考えから、つらいがん治療を乗り越えるための「がんとつきあう」(リーフレット)、治療と仕事を両立するための「『がんと働く』リワークノート」(冊子)、治療の副作用による外見変化対策を紹介する「がん患者さんのための外見ケアBOOK」(冊子)などを提供している。自治体と連携して、乳がん検診の情報提供も行っている。
 古賀氏は「女性のためのブランドだが、つくり上げるまでには男性も含めて議論してきた。コンセプトに込めた思いをお客さまに届けるには時間がかかると思うが、まずはコンセプトを全職員に理解してもらい、その上で、女性へのアプローチ方法も拡大していきたい。地道に進めていく」と意欲を見せている。

 
[2017-01-25]
 エーオンジャパン、太陽光発電所向けに新スキーム

  エーオンジャパンはこのほど、太陽電池モジュールの第三者認証機関であるテュフ ラインランド ジャパン梶A太陽電池モジュール検査サービスなどを行う潟Gヌ・ピー・シーと共同で、既存の太陽光発電所の評価結果に基づいて、太陽電池モジュールメーカーの出力保証を一部バックアップする保険スキームを開発し、2月からサービスの提供を開始すると発表した。エーオンジャパンによれば、業界初のスキームとなる。保険については、大手日系損保会社が引き受ける。
 同スキームでは、@既存の発電所に使用されている太陽電池モジュールの現時点における性能・安全性評価と発電所全体の簡易評価サービスA評価サービス結果に基づき、モジュールメーカーから保証が得られない場合の、保険によるカバー―の2段構えで太陽光発電事業の安定経営を支える。
 @の現状評価は、試験所における試験と太陽光発電所における現地検査から構成される。前者はテュフ ラインランド ジャパンが担当し、世界最高レベルの測定技術により、太陽電池モジュールの高精度出力測定を行う。後者はエヌ・ピー・シーが担当し、試験所で高精度に測定された出力データを基準に用いて、発電所でストリング単位の出力測定を行う。発電所での評価は、全ストリングを対象とした出力測定を行うとともに、太陽光発電所全体の簡易評価を行う。これらの現状評価結果から太陽電池モジュールのランク付けを行い、保険条件に反映させる。また、オプションで太陽電池モジュールの長期信頼性・安全性試験や、太陽電池モジュールの主要構成部材の分析評価を行うことにより、経年劣化や安全性の将来予測が可能。これらを実施した上で、高ランクの試験結果が得られた場合には、保険条件がより有利となる。また、現状評価後には、太陽電池モジュールの定期診断を試験所で行い、出力性能の変化を高精度に把握する。それにより、想定以上の経年劣化が認められた場合、速やかな対応を行うことにより、太陽電池モジュールの欠陥リスクを最小限に抑えることが可能となる。
 太陽電池モジュールにおいては、国際規格に準拠した認証試験に合格することにより、製品の品質が担保されるものとして認知されている。しかし、規格による認証試験は、製品寿命に関する長期信頼性評価においては必ずしも十分ではないと考えられている。また、昨今の太陽光発電所においては、太陽電池モジュール以外の周辺機器である受変電設備やパワーコンディショナーなどの不具合、不十分な造成による地盤の変形、架台の強度不足などによる損害が顕在化している。今後は、発電事業者が加入している火災保険の引き受け条件も厳しくなることが想定されるため、発電事業者は、地所の発電所における安全・信頼性を客観的に評価し、その情報を基に保険会社との交渉を行うニーズも高まると考えられる。
 一方では、インフラファンドも創設され、太陽光発電所資産の流動化が始まっており、既存の太陽光発電所の売買価格は、将来の売電収入に基づくと考えられる。しかし、収入の根幹である太陽電池モジュールは、経年劣化に伴い出力低下が発生するため、現在までの発電量から将来の発電量を予測することは非常に難しいとされ、厳格な評価基準に基づいた精密な評価の必要性が高まっている。
 出力低下が発生し、モジュールメーカーの出力保証を受けるには、その原因が太陽電池モジュールにあることを事業主が立証しなければならないケースがある。しかし、性能評価を実施していないプロジェクトが多いのが現状であり、しっかりとした評価を実施できなかった発電所は、現時点で、太陽電池モジュールを含め、太陽光発電所全体の性能を評価し、把握することが重要となる。
 エーオンジャパンでは、これらを背景に同スキームを開発したとしている。

 
[2017-01-24]
 au損保、東京都と自転車安全利用啓発で協定、国内初“ヘルメット着用”保険

  au損保は1月17日、東京都と東京都自転車商防犯協力会と「自転車安全利用啓発の促進に関する協定」を締結した。自転車事故の削減・安全利用の促進を目指す都の「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」の改正(2月1日施行)に伴い、3者が協力するもの。au損保は、自転車の交通ルールなどを記したチェックシートを作成。自転車販売店などに配布し、利用者に注意を呼び掛ける。同社は、16年7月に都と「自転車の安全で適正な利用の促進に関する協定」を締結しており、同日「ヘルメット着用中死亡特別保険金補償」付き自転車向け保険を発売した。同社の亀田修造社長は、「都の要請で開発したもの。自転車保険への加入者に無料で付帯する」とし、自転車事故防止に永続的に協力していく意向を示した。締結式には小池百合子都知事、亀田社長、防犯協力会の小澤豊会長が出席し、ヘルメットを着用してPRに努めた。
 都は自転車事故減少の取り組みとして条例を改正し、小売業者に自転車を販売する際の交通ルールなど自転車の安全利用啓発を義務付けた。今回の協定はこの条例に基づき締結されたもので、au損保は都と協議の上、交通ルールやマナーを記載した「自転車ルール・マナー確認書」を作成。確認書はチェックシートになっており、防犯協力会が防犯登録証と共に都内の全ての自転車販売店に配布し、防犯登録と合わせたチェックシートの活用を働き掛ける。
 また、「ヘルメット着用中死亡特別保険金補償特約」はau損保とKDDIが発売する全ての自転車向け保険に無料で付帯(保険始期2月16日以降)する。ヘルメットを着用して自転車搭乗中に死亡した場合、死亡保険金とは別に死亡特別保険金100万円を支払うもので、同社によると国内で初めての商品だという。亀田社長は「追加保険料をゼロとすることで、多くの方に加入してもらえる。ヘルメット着用率アップを掲げる都の取り組みに協力できるのではないかと考えている」と損保会社としての支援の在り方を示した。
 小池知事は2者の協力に感謝の意を示すとともに、1件でも自転車死亡事故を減らしたいと強調。販売店での啓発が実施され効果が上がるようにサポートしていくことが重要と条例改正の背景を説明し、利用者があらためて交通ルールを確認することが自転車の安全性向上につながるとの見解を示した。その上で「これこそがかねて申し上げている“セーフシティ”の確立につながっていくと考えている」と述べ、引き続き協力を求めた。
 この他、会場には、都が自転車用ヘルメット着用啓発隊に任命したさくら学院の2人もヘルメットを着用して登場した。

 
[2017-01-20]
 損保ジャパン日本興亜、大阪府内企業向けに限定プラン

  損保ジャパン日本興亜は大阪府と連携し、大阪府内に所在する企業を対象とした保険プランである「BCP地震補償保険 おおさかサポートプラン」「おおさかLite☆きょうだい」を開発し、1月6日から保険の案内を開始した。同社は2016年7月14日に大阪府と包括連携協定を締結しており、同商品はこれに基づいて開発したもの。  
 「BCP地震補償保険 おおさかサポートプラン」は、契約時に契約者が指定した震度計が「震度6強」または「震度6弱」以上を記録する地震が発生し、自社施設の損壊による営業停止の他、取引先の罹災(りさい)または電気・水道・ガスなどのインフラ停止により、営業が休止または阻害されたために生じる損失に対して保険金を支払う。
 その他の特長として、大規模地震の発生後、損失額を証明する資料が提出される前でも、その他の保険金請求書類の提出から30日以内に保険金を仮払いする。この仕組みにより、保険金を当座の運転資金として活用することが可能となり、キャッシュフローの悪化を防ぎ、事業継続をサポートする。
 さらに、建物の建築年月や構造級別に関係なく、全ての建物、設備・什器(じゅうき)、商品が保険の対象となる他、1口100万円から加入口数を選択できることで、予算に合わせた分かりやすい保険商品となっている。また、保険期間は5年間となるので、コストを確定させた上で、長期間にわたり補償を受けることができる。
 また、簡単なアンケートに回答することで、地震リスクに対する現状の取り組み状況を診断するサービス(地震BCM対応度診断)を提供し、BCPに取り組む上でのポイントおよび適切な対策などについて、リポートを行う。同サービスの提供はSOMPOリスケアマネジメントが担当する。
 「おおさかLite☆きょうだい」は、サイバー保険、生産物回収費用保険、国内知財訴訟費用保険の三つのニューリスクに対する新種保険に関して、それぞれ商品内容・引き受けを簡素化した商品。「Lite☆きょうだい」は既に2016年10月から発売しており、同商品は大阪向けにカスタマイズしたもの。
 同社では、同保険の販売開始と同時に、ニーズ喚起のためのサービスとして、契約の有無にかかわらず先着100企業に対して、標的型攻撃メール対応訓練サービスを無料で提供する。同訓練では、申し込み企業の従業員のメールアドレスに対して実際にメール送信を行い、メールに添付されたファイルを開封した訓練者の割合などをリポートにまとめてフィードバックを行う。
 募集パンフレットには南海トラフ巨大地震をはじめとする地震への備えとして大阪府が作成した「新・大阪府地震防災アクションプラン」や中小企業向け政策を記載しており、同社では、代理店などを通じて広く企業向けに保険を案内するとともに大阪府政のPRを行い、大阪府内企業の支援および地域産業の活性化に貢献していくとしている。

 
[2016-01-19]
 京海上日動とコラントッテ、保険付身元照会サービスで提携

  医療機器メーカーの潟Rラントッテ(大阪府大阪市、小松克已社長)は東京海上日動と提携し、1月11日から、不測の災害、急病などによる救急搬送や、認知症による徘徊(はいかい)などが起こった際に身元照会が容易になるシステム「CSS(コラントッテ・セーフティ・システム)」と保険をセットにしたサービスを開始した。同日、東京海上日動本社で行われた新サービス発表会には、コラントッテの小松社長と東京海上日動の高野耕一常務が出席し、サービスの概要や提携の背景などを説明した。
 同サービスでは、加入者にコラントッテが製造した磁気ネックレスとペンダントトップを提供。ネックレスを身に着けた加入者が事故や急病などに遭った場合、発見者や駆け付けた警察、消防などは、ペンダントトップに刻印されたフリーダイヤル(CSS管理センター)に身元照会できる。24時間、365日体制のCSS管理センターは通報を受けるとすぐに、緊急連絡番号や勤務先、個人宅など最大5件の登録先に連絡する仕組みになっている。  ネックレスのシリコンループ内には、希土類永久磁石が首回りに沿うように内蔵されており、血行改善やコリを緩和する効果がある。ペンダントトップは、キーリングタイプに付け替えて使うことができる。 同サービスには、東京海上日動が引き受ける交通事故傷害保険(死亡・後遺障害のみ最大100万円)と個人賠償責任保険(支払限度額3億円)が付帯される。サービス料金は、年額1万8000円(税別)、分割払いだと月額1500円(税別)になる。今後、9月までに10万件の加入を目指す。
   説明会で小松社長は、システム発案の経緯について説明。2014年5月に、行方不明になった認知症の老人が7年後に発見されたというニュースを見て「いたたまれなくなり、認知症による徘徊という社会問題の解決に協力できないかと考えた」と述べた。磁気ネックレスは健康器具であることから、認知症の老人でも身体から離さないことが期待できるとし、GPS機能や携帯電話といった電子技術を使わず、ペンダントトップにフリーダイヤルだけを記すことについては、「使いやすさ」「故障の心配がない」「個人情報の保護」などの利点を挙げた。また、今回の説明会の開催については「一人でも多くの人に知ってもらい、協力していただきたいと思った」と理由を明かした。 一方、高野常務は、今回の提携の経緯について「社会的課題を解決するためにCSSの開発・商品化に取り組むコラントッテの挑戦を保険商品の提供を通じてバックアップすることは、当社の経営理念に合致する」と説明。また、大阪に本社を置くコラントッテを支援することで、地方企業の東京進出や全国展開、関西経済の活性化にも貢献できるとの考えを示した。

 
[2017-01-18]
 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命、「フェミニーヌ」が好調

  損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「フェミニーヌ」の販売が累計14万件を超えている。同社は、1993年に女性向けの医療保険を発売。現在も販売が続いている「フェミニーヌ」は、幅広い世代から人気があり息が長く認知度も高い。「3年ごとの生存給付金」(入院給付金日額1万円の場合には毎回15万円)が入院や手術をした場合でも支払われることも人気のポイントで、保障内容についても、発売以来、見直しを重ね、最新の医療事情に即したものにしている。営業企画部の草地圭太課長代理は「生存給付金にスポットを当てられがちだが、保障の内容も充実しておりバランスの良い商品だ」と話す。
 「フェミニーヌ」は、販売に携わる代理店からの声を基に開発された商品で、当初から顧客のニーズを最大限に反映してきた。  現在のプランは1〜3の3種類があり、プラン1の場合、入院給付金は1日につき1万円、女性特有の病気・女性にも多い病気・すべてのがんでの入院にはさらに5000円を上乗せし、3年ごとの生存給付金は15万円。プラン2では、入院給付金は7000円と上乗せ保障が3000円、生存給付金は10万5000円。プラン3では、入院給付金は5000円と上乗せ保障は5000円、生存給付金は7万5000円。  このようにプランによる保障金額と保険料の違いはあるが、入院ではすべてのがん(悪性新生物)、女性特有の病気である子宮筋腫、卵巣機能障害等だけでなく、女性が罹患(りかん)しやすい甲状腺腫、クッシング症候群、鉄欠乏性貧血などの入院を特に手厚く保障する。手術は、約1000種類に対応しており、手術内容に応じた手術給付倍率を設けている。
 その他、退院祝金や、死亡保険金・高度障害保険金(死亡時に500万円、不慮の事故での死亡はさらに500万円を上乗せ)も付加されている。さらに、オプションで「医療用新先進医療特約」を付加すれば、先進医療の技術料が通算2000万円まで保障される。
 幅広い病気・けがによる入院を保障し、海外での入院も対象になる。また、切迫早産などの入院も保障する(正常分娩〈ぶんべん〉を除く)。  同商品は、代理店およびライフカウンセラーを通じた対面販売に加え、ネットなどを通じた非対面での販売も行っている。同社のホームページでは、分かりやすい商品説明と共に、既契約者の口コミ(顧客の声)を読むことができることも特徴だ。
 営業企画部ダイレクトマーケティング室の鈴木紀明課長は「もともとはカタログ販売会社とのタイアップやマネー雑誌への広告といった通販で販売していた。2003年から一般の代理店での販売も始まり、認知度アップについては、『チラシ』『PC向けの広告』『ガラケー(旧タイプの携帯電話)向けの広告』などと、その時代の最新の方法を取り入れてきた」と振り返る。例えば、バナー広告に関しては複数のパターンをつくって反響を確認するなどの検証にも注力してきた。
 契約は、顧客がネットや電話などで資料を請求すると、同社から申し込みキットを郵送、顧客が申込書を返送することで申し込みが完了するという流れ。現在では、スマホからの資料請求がメーンになっているという。ウェブでの商品広告に興味を持った顧客が画面をタッチすると、同商品専用のランディングページに遷移する仕組みで、顧客が資料請求をしやすい画面を構築している。
 また、口コミサイトには、「ボーナスは、5年ごとだと長く感じるが3年ごとだとうれしい」「出産して生活スタイルが変わったので保険を見直した」「同年齢の友達が乳がんになったことをきっかけに加入した」「貯金が苦手な私には向いている」「死亡時の保障も充実しているため、この商品に決めた」などの経験談やアドバイスが多数載っていることも安心感の提供につながっている。
 同社では「地道な広告掲載やお客さまとの接点強化を続けていきたい」としており、16年9月に立ち上げた、顧客に心地よく、楽しく、健康を維持してもらうことをコンセプトとした健康サービスブランド「Linkx(リンククロス)」では、女性向けの健康関連サービスの提供も検討している。

 
[2017-01-16]
 みずほ銀行、一時払い商品の販売ペース維持、タブレット活用が奏功

 みずほ銀行は、マイナス金利の影響下でも一時払い商品の販売ペースを維持している。今年度上半期の保険料は2000億円強で前年とほぼ同水準を確保。今年度から、「増やす」以外に、「遺す」「受け取る」「渡す」などの保険本来の機能を訴求した販売(保険の機能売り)に注力した結果、変額保険中心から「定期受取り」「即時年金」などのさまざまなタイプの商品がまんべんなく売れるようになったという。リーフレットやタブレットの活用も安定的な拡販をけん引。今後は、同行のメーン顧客である富裕層シニア向けに「介護」を打ち出す方針だ。
 同行では、外貨建ての一時払い商品を分かりやすく説明するためのリーフレットを作成。一時払い保険料の運用イメージを分かりやすく図で示している。従来の商品タイプを「ふやしてつかう」と表現し、定期収入を受け取って計画的に使うタイプは「つかいながらつなげる」、終身タイプで増えた分を毎年受け取れるタイプは「受け取りながらのこす」、一般的な定額終身保険を「しっかりのこす」として分類。安心感の提供とニーズ喚起に成功した。
 またタブレットでは、保険相談に対応するシステム「i―Chart」で、顧客の意向に合わせて順番に質問していくことで、最適な商品の絞り込みができる仕組みを構築。具体的には、画面ごとに表示される「月払いか一括払いか」「希望するのは、けがや病気への備えか、運用か」などを選択していき、さらに、年齢、資金、投資経験、現在の金融資産、金融知識、保有スタンス、リスク・リターンの希望などの質問に回答し、希望する運用スタイルを選べば推奨商品が出てくる。
 個人コンサルティング推進部営業開発チームの清水健人調査役は「新しいのは、顧客のリスク許容度の診断もできる点だ。グループ内のみずほ第一フィナンシャルテクノロジーが開発した国内初の仕組みで、この仕組みを活用することで、リスク許容度に応じた商品を勧めることができる」と話す。
 一方、同行では「ローンコンサルティングスクエア」を全国12カ所に設置しており住宅ローンの相談などに対応している。従来は、そこで出てきた保険の相談は近隣の営業店につないでいたが、今年からはローンセンター内で保険の相談ができるように保険担当の配置を開始した。今後は、保険担当者を常駐させるとともに、ローン担当者による保険販売の体制も検討するという。
 清水氏は「引き続き保険の機能を訴求した販売を推進したい。保険窓販では、貯蓄と親和性の高い商品から始まって、今ではさまざま商品をカバーするようになった。平準払い商品では、11月に販売を開始した当行初の外貨建て年金への反響が出てきたが、今後は、承継や介護に力を入れる。メーン顧客である富裕層シニアの承継・介護の潜在ニーズを顕在化させてコンサルできるのは銀行の強み」としており、この分野のラインアップを増やすとともに、行員のスキルアップも図る計画。特に、従来の富裕層向け運用商品にプラスして承継・介護商品を提案することになる渉外担当の教育にも注力する方針だ。

 
[201-01-13]
 エーオンベンフィールドジャパン、ディープラーニング活用

  エーオンベンフィールドジャパンは、ディープラーニング(深層学習)を用いた風災リスク評価の手法を開発した。今年の台風シーズンまでには運用が開始される予定で、現在、実用化に向けて最終調整を行っている段階だという。ディープラーニングを航空写真に適用することで屋根情報をデータベース化し、風災による被害を建物ごとに評価するというもの。開発に当たった同社の岡崎豪氏は「台風の損害査定業務が大きく変わる」と述べるとともに、建物ごとの評価・個別料率への適応を示唆する。
 屋根は台風による被害を最も受けやすく、1事故当たりに占める損害額も大きい。岡崎氏の研究において、屋根に関する情報データベースの構築は長年の課題だったが、近年のディープラーニング技術の発達によってそれが可能になったという。具体的には、ディープラーニングにより屋根の形状を学習し、学習したアルゴリズムを航空写真に適用することで、個々の建物の屋根形状を判別していく。ディープラーニングによる屋根形状の判定誤差は6%程度と正答率は高い。分析対象の建物数は約6500万に上り、小さな建物や工場内の建屋も個別に分析。全ての建物に固有コードを付与しており、国内の屋根画像は網羅した。
 実際の活用に当たっては、台風通過後、各地点で観測される観測風速と建物データべースを組み合わせ、建物ごとに被害の有無を判定していく。同氏は「台風による被害を発災直後に把握できれば、損害査定の応援要員を急派すべきかの意思決定を素早く行うことができ、被災者への迅速な支援が可能となる」と活用法を示す。現状、被災件数の把握は電話での確認が主な手段だ。しかし、これでは早くても数日を要するため、発災直後に被災の全容が把握できない。同システムは、被災直後の航空写真から被災建物を特定するのではなく、平常時の屋根の状態と観測風速から被災した家屋を推定するため、ほぼリアルタイムで分析結果が得られる利点がある。
 また同氏は、現行の火災保険の料率を整理する必要性を唱える。火災保険の支払保険金において最も大きな割合を占めるのは風災リスクだが、料率の区分は火災リスクに基づいて設計されているためだ。「風災に関しては同システムを活用して、建物ごとに評価し、個別料率を算出できる」という。料率の分類は最もリスクの低いAから最高のGに分割し、それをさらに細分化した。G評価は土地利用規制に近い効果をもたらすことになる。保険業界として、料率にこうしたメッセージ性を持たせることは社会的にも意義があると強調する。
 課題もある。航空写真が古く、解像度が低いためにディープラーニングによる判定精度が落ちてしまう地域がある。また都市部においては、数年に1回程度の撮影画像では街並みの変化に追い付かない。「最終的には毎年アップデートしていきたい」と言い、ドローンの活用に期待を寄せる。
 今後については、屋根以外の情報として建物階数や再調達価額などあらゆる情報をデータベースに追加し、火災・水災・盗難リスクなどの評価に取り組みたいという。「ディープラーニングの発展は著しいが、その技術の採用に固執はしていない。従来の機械学習の手法や外部データベースとの連携も含めて、それぞれのリスクごとにベストなものを採用していきたい」と展望する。

 
[2017-01-12]
 りそな銀行、平準払い商品の販売が過去最高

  りそな銀行は、平準払い商品の販売が好調だ。今年度上期の販売件数は1万4600件で、過去、一過性の理由で販売が増加した時期はあるものの、通常の販売では過去最高の実績を挙げている(15年上期8900件、同下期1万100件)。同社では「市場環境が厳しい中で、『保障ニーズ』の取り込みを図り、店頭や渉外でしっかり提案し結果が出た」としている。
 同社は、平準払い商品では、年金や介護保障(米ドル建て終身)に注力。医療・がん保険も約6000件(前年同期は3800件)と、リスクアプローチが奏功した。コンシューマービジネス部の吉岡史博グループリーダーは「備えるべき保障を提案する力がアップしてきた」と分析している。
 また、2016年3月に導入したタブレットによる「ペーパーレス保険申込システム」も販売をけん引する。入力画面は、保険会社ごとに異なる保険商品の申し込み手続きを共有化しており、保険申し込みの受け付け、金融機関側での承認、保険会社への申し込みデータ送付までの一連のプロセスを完結できる。同部の大賀智之担当マネージャーは「銀行で初めてタブレット申し込みを導入した。それによって、申し込み完了までにかかる平均時間が従来の45分から約20分になり、時間の短縮、コスト削減、不備の大幅削減が実現した」と話す。7月には全商品での利用が可能となり、新商品には随時対応する。
 一時払い商品については、円建て商品の販売停止や市場のリスクオフ傾向によって、外貨建て商品についても様子見する消費者が増加。そのため、上期の保険料は510億円と減少(15年上期1081億円、同下期870億円)した。今後は、本来の年金機能を重視した商品(16年7月に発売した第一フロンティア生命の通貨指定型個人年金保険「安心ながつづき」、同年9月に発売した通貨選択型特別終身保険「やさしさ、つなぐ」)などで、拡販に結び付けたい考えだ。
 また同社では、販売体制も強化している。ライフプランや資産背景、家族状況などをしっかり聞いて総合的な提案を行う「セールス革命」を打ち出しており、各店に1人のコンサルティング型営業推進リーダー(CL)を配置し、本部のサポート部隊であるコンサルティングアドバイザー(CA)10人が推進リーダーをサポートする。
 年中無休で金融商品の相談ができる「セブンデイズプラザ」などの拠点は、当初の想定通りに現役世代(資産形成層)の来店が約9割と、狙い通りの成果を出しており、今後ともターミナルを中心に拠点を拡充する予定だ。
 吉岡氏は、さらに「12月1日には、当社とネオファースト生命による『女性プロジェクト』が商品開発に関わった、健康なら保険料が下がるという新商品『健康革命』を発売し、業界内外から注目されている。これからは、顧客の細かなニーズに応じた商品のラインアップを増やしていきたい。また、本来の保険の機能である『保障』を軸にした提案も一層強化していく」としている。

 
[2017-01-11]
 大手生損保、地域連携を強化、政府戦略背景に協定増加

  政府の総合戦略「まち・ひと・しごと創生」(2015〜19年の5カ年)を背景に、大手生損保が地域との連携を強化している。営業職員や代理店は地域に密着した活動を行っており、グループ全体でサービスを提供できるのも大手社の強みだ。特に16年度からは、「それまでの支社ごと取り組みを本社主導に変更」「本社から支社を支援する仕組みを構築」「自治体(都道府県および市町村)や企業・団体などとの包括的連携を拡大」などの動きが目立っている。
 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、人口減少克服・地方創生のためには、三つの基本的視点@「東京一極集中」の是正A若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現B地域の特性に則した地域課題の解決―から取り組むことが重要として具体的な施策を示した。「地方を主体とした枠組みの構築」を目指していることもあり、企業からのアプローチを歓迎する自治体が増えており、民間からの提案を公募する自治体も出てきている。
 保険会社内の組織変更としては、16年4月に、日本生命が法人職域業務部内に重点市場開発担当として専任人材を配し、あいおいニッセイ同和損保は全社的な取り組みとして「地方創生プロジェクト」をスタートさせた。7月に「地方創生室」を設置した東京海上日動は、それまでの取り組みをさらに加速させるとともに具体的な施策も増やす計画だ。
 損保では、BCP、農業支援、海外進出企業支援、経営支援、地域産業活性化のための物産展などを行っており、自治体とのコミュニケーションの中から保険商品の誕生につながる事例(損保ジャパン日本興亜が「予防的避難勧告」の推進をサポートする自治体向け保険を開発し今春の発売を予定するなど)も出てきた。三井住友海上では、自治体のニーズに合わせた多様な協定を結んでおり、経営革新等支援機関の立場を生かした経営支援や、「三井住友海上経営サポートセンター」「インターリスク総研」などグループ力も生かしている。
 生保では、全ての自治体の課題でもあるがん対策や健康増進に関わる連携を中心に、独自性の高い取り組みが見られる。住友生命では15年から、自治体とのがんを含む健康増進への事業連携協定や包括協定を拡大しており、がん検診の受診勧奨、セミナーの開催、啓発冊子の作成などを行っている。日本生命は、健康分野で貢献するとともに産業振興(ビジネスマッチングイベントの開催など)や教育・文化・スポーツ振興、障がい者の社会参加などの幅広い連携を打ち出す。
 明治安田生命では、営業職員が取り組む子どもや高齢者を見守る「地域を見守る社会貢献活動」で140以上の自治体と協定を締結しており、また、全国78支社などでJリーグの全53クラブなどとスポンサー契約を結び、各地職員の参加による試合応援や子どもサッカー教室の開催などで地域の活性化や子どもの健全育成を図る。
 第一生命の包括連携協定を締結している3ナショナルセンター(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立長寿医療研究センター)との合同セミナー(全国で開催)も特徴ある取り組みだ。
 各社は「地域を支援することが保険事業にもつながる。WIN―WINの関係を構築したい」としており、さらに地域支援を拡充させていく考えだ。

 
[2017-01-10]
 フィッチが17年保険業界を展望、海外でのM&Aが継続

  フィッチ・レーティングス(フィッチ)は昨年12月に、2017年の保険業界の展望についてリポートを発表した。それによると、日本の大手保険会社による海外事業拡大が続くと同時に、収益性は医療保険分野と自動車保険に支えられて安定的に推移するとの見解を示している。
 フィッチは、多額の日本国債保有による集中リスクと国際的な分散が十分でないことを反映して、日本の保険セクターの格付けアウトルックを「安定的」から「弱含み」に変更した。日本の保険セクターの格付けは、日本の外貨建ておよび円建て長期発行体デフォルト格付け(IDR)に制約されている。
 金利リスクについては、日本の生保の経済価値ベースの資本が、16年1月の日本銀行によるマイナス金利導入の決定とそれに伴うイールドカーブのフラット化によって圧迫されているとみており、こうした状況は17年もおおむね続くと予想する。もっとも、日銀はイールドカーブのスティープ化(急な右上がり)を容認する様子を見せており、長期債の利回りは底を打った模様である。
 外国債券保有については、日本の債券市場の利回りが依然として低いことから、日本の生保は引き続き増加させるとみている。為替リスクをヘッジしている保険会社については、ヘッジコストの上昇も追加的な利差益の創出を困難にしている。保険会社は海外クレジット商品へのエクスポージャーを増加させる可能性が高い。
 フィッチは、生損保各社が、資金調達に有利な足元の低金利環境下で規制資本を強化できるように積極的に劣後債を発行すると考えており、保険セクターは、海外M&Aの機会が生じた際に対応できるようにするためにも、十分かそれ以上の水準の資本を維持する可能性が高いとみている。各社の資本基盤は、内部留保や準備金の蓄積だけでなく、ハイブリッド証券の発行にも支えられている。
 大手生損保による海外事業拡大は、人口の減少と高齢化の進展のために国内市場が飽和状態にあることを踏まえ、今後も続くとみている。大手生損保はすでに米国や英国、オーストラリアで大規模な保険会社の買収に着手している。これらの市場は、買収後、直ちに多額の保険料収入と利益をもたらす他、人口が増加しているため、日本の保険会社に緩やかな成長をもたらすとみている。また、米国での事業拡大の資金を調達するためにも、日本の投資家のみに依拠せず、資金調達源の分散を図ろうとしている生損保もあることから、最近見られる米ドル建てハイブリッド証券の発行は17年も続くと予想している。
 生保の17年の利益は安定的に推移するとみている。大幅な円高が進行しない限り、保有外国債券の拡大により、利差益は維持される可能性が高い。フィッチは、保険各社が緩やかな成長の続く比較的収益性の高い第三分野商品の販売に重点を置いていることから、疾病率・死亡率関連の商品に対する需要は底堅く、今後数年間は第三分野商品の成長傾向が続く可能性が高いとみている。日本の生保は日本の高齢化社会のニーズを満たすために、業界で最も収益性の高い医療・介護保険商品を引き続き拡大している。16年度上期の第三分野の保有契約年換算保険料は前年同期比1.5%増となり、ほとんどの生保で収益性の維持に寄与した。
 損保各社は保険引き受けリスクに応じて保険料を引き上げるかまたは維持しているため、堅調な保険引受利益を維持する可能性が高いとみている。各社の予想によれば、コンバインド・レシオは平均で92%にとどまると見込まれる(15年度は92%)。

 
[2017-01-06]
 地震保険制度が改定、保険料を3段階で引き上げ

  東京海上日動あんしん生命は2016年11月、就業不能に関する保障を刷新した新商品「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」を発売した(注)。同社は、就業不能商品への女性契約の割合を高めようと、新商品発売1年前からプロジェクトチーム(PT)をスタート。12月7日からは、女性向けの新パンフレットを使った女性へのアプローチも開始している。本社メンバー11人による「女性PT」と女性営業担当者メンバー8人による「かがやきPT」による「相互で同じ目標に向かって協力し合う取り組み」が加速中だ。  新商品開発と同時に拡販の施策を検討した同社では、就業不能系商品の男女別の契約率に着目した。同社商品全体の男女別の契約比率はほぼ半々だが、就業不能保障商品に関しては女性の比率が約20%と低い。そこで、「女性の契約を伸ばすことで拡販につなげられる」との仮説の下で実態の検証に取り組んだ。  本社の「女性PT」は15年11月に営業企画部のメンバーを中心にスタートし、毎月1、2回の会議を開催してきた。一方、代理店を支援する北関東甲信越営業支援部の女性営業担当者8人で構成される「かがやきPT」は16年4月に発足。女性営業担当者が増えている同社では、「かがやきPT」で女性営業担当者のスキルやナレッジの共有を目的とした会議を実施しており、今回の新商品拡販については、共同で具体的な施策を検討した。  本社の女性PTを主導する営業企画部企画グループの仲山涼子主任は「各種の調査資料や独自アンケートなどから、最新の状況が次々と浮かび上がった」と話す。例えば、女性の就業率は「M字カーブ」といわれるが、復職者が増加している昨今ではMのカーブが緩やかになっている(厚生労働省「2015年労働力調査」による)。また、生命保険文化センターの「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」からは、「配偶者に対して今後増やしたいと思う生活保障準備項目」として「就業不能時の生活資金の準備」が上位に来ていることが分かった。「収入保障・就業不能分野における女性マーケットの現状」(同社が16年7月に実施したウェブアンケートで、20〜59歳の就業可能年代の男女が回答)では、女性(500人超)のうち収入保障・就業不能保険を知らない人の割合は75%、加入してない理由では「提案されたことがない」が約23%、「保険料が高そう」が約38%だった。  これらの調査結果に基づいて、PTでは「認知度を高めることで契約の伸展が見込める」と判断。「女性にとっての収入保障・就業不能保険の重要性」を理解してもらうことが必要との考えから、伝えるための方法を検討したメンバーは、「がんと女性の関係」や「女性の雇用形態別の継続就業の実態」にも着目した。  具体的には、「がん患者のうちの3人に1人は就業可能年代(20〜60歳)」「がん患者全体のうちの就業可能年齢の患者は女性の方が多い」「半数以上を非正規やアルバイトが占める女性の雇用形態では退職を余儀なくされる率が39%、正規雇用者でも20.7%」といった実情が分かり、女性にこそ備えが必要なのではないかと考えるに至った。一方で、今備えが必要と感じていない女性に、どのように伝えていけばよいかをメンバーで考え、ニーズ喚起にもつながる新パンフレット(人生を「旅行」に例えた「人生旅行プランニングBOOK」)を作成した。  同パンフでは、「安全で楽しい旅のために今考えておきたいこと」として、@鍵が「ライフプラン」にあることA起こり得る「トラブル」をシミュレーションしておくべきBトラブルに「対策」を取り「輝く未来」を手に入れる―ことを推奨している。  かがやきPTのリーダーで北関東甲信越営業支援部の杉山理恵副主任は「就業不能保険における課題は、顧客自身が就業不能時のことを具体的にイメージできていないこと、さらには女性に対する就業不能保険の提案手法が確立されていないことだと考える」と話す。そのため、募集人から女性の顧客に就業不能保険を提案してもらう切り口として、自身の就業不能時の保障の必要性を理解してもらうためのライフステージ別のトークスクリプトも作成した。  パンフレットでは、女性に気付きを与えた後で「対策」として保険商品を案内。日常生活でのリスクや共働き世帯の住宅ローンへの対策として「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」を提案している。現在は、募集人向けに「女性の就業不能時の保障の重要性を伝えるための勉強会」を開催しており、今後は女性就労者の多い保育園や病院、企業での女性向けセミナーも展開していく予定。PTでは、「まずは女性の契約率30%以上を目指す」方針だ。  (注)「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」は「家計保障定期保険NEO」に就業不能に関する特約を付帯した商品の総称。

 

 (保険毎日新聞から抜粋)