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[2016-11-30]
 明治安田生命 16年度上半期決算、営業職員チャネルが堅調

 明治安田生命は11月24日に2016年度上半期決算を発表し、減収・減益となったことを明らかにした。日銀のマイナス金利政策を背景とする超低金利環境の継続や、英国のEU離脱決定を受けた大幅な円高の進行などの影響によるもの。為替などの運用環境の影響を除く、保険関係収支については計画通り進行していると説明した。営業職員チャネルでは平準払い商品の保険料等収入が増加し、新契約年換算保険料も前年同期を上回る結果となった。
 保険料等収入は前年同期比24.0%減の1兆3763億円となった。超低金利環境を受けて、一時払い商品の予定利率引き下げや一部販売休止、団体年金の引き受け抑制などのコントロールを実施したことによるもので、同社では計画通りの進展としている。特に営業職員チャネルの平準払い商品の保険料等収入は同6.1%増加と順調に伸展した。
 個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は同14.7%減の824億円。営業職員チャネルは、総合保障商品「ベストスタイル」などの保障性商品の販売が好調だったことから、前年同期を0.2%上回り、614億円と引き続き増加した。特に第三分野は同12.1%増の197億円と大きく伸展。
 また、保有契約年換算保険料は前年度末比1.1%増の2兆2198億円。契約クオリティーの向上などにより、上半期ベースで8年連続の純増となった。
 団体保険の保有契約高は前年度末から0.2%減少したものの、111兆7262億円と業界トップシェアを堅持した。
 個人保険・個人年金保険の解約・失効・減額率は、前年同期から0.06ポイント改善し、1.86%。総合継続率は13月目・25月目共に前年同期より改善した。これらのクオリティー指標は、定期点検などを通じた積極的なアフターフォローにより引き続き良好に推移している。
 資産運用収支のうち、利息および配当金等収入は、前年同期比31億円減の3438億円。超低金利かつボラティリティの高い運用環境が継続する中、市場動向に応じた効果的な資産配分や資産運用の高度化・多様化などにより、ほぼ前年通りの水準を確保した。資産運用収支は、円高が進行する中、外国公社債における有価証券償還益の減少と有価証券評価損の増加などに伴って同877億円減の2349億円となった。
 基礎利益は、同329億円減の2098億円。危険差と費差は前年同期から微増したものの、利差の減少により、前年同期を下回った。これについて同社は、前年同期を下回ったものの、計画を上回る水準を確保したと強調した。
 ソルベンシー・マージン比率は前年度末比55.0ポイント減少の883.5%。その他有価証券評価差額金の減少などにより前年度末を下回るが、引き続き高い財務健全性を維持。なお、自己資本充実を目的に、8月には基金1000億円を募集した。内部留保等は同286億円増の2兆3182億円となった。
 一般勘定資産全体の含み損益は円高の進行と株価の下落などにより前年度末比3459億円減の5兆8248億円を計上。国内株式含み損益のゼロ水準は、仮に同社ポートフォリオが日経平均株価にフル連動するとした場合、8200円程度。
 企業価値(EEV)は営業職員チャネルにおける新契約業績の伸展や契約クオリティーの改善などにより、同1730億円増の5兆2329億円。中期経営計画の経営目標達成に向けて順調に推移している。ヨーロピアン・エンベディッド・バリューは、同733億円減の3兆3280億円。「ベストスタイル」などの販売好調により保有契約価値は増加したものの、円高の進行に伴う外貨建て資産の含み益減少により修正純資産が減少したと説明した。
 16年度業績は減収・減益の見通しで、保険料等収入については金利上昇リスクや財務の健全性の観点から、一時払い商品の収入保険料をさらに抑制し、15年度決算報告時に発表した業績見通しから下方修正した。保険料等収入については、2兆4600億円程度(15年度決算報告時2兆6200億円程度)としている。
 グループ業績では、グループ保険料が明治安田単体の影響を受け、前年同期比19.6%減の1兆4678億円。3月に完全子会社化した米国・スタンコープ社の16年3月から6月までの4カ月相当額の数値を合算したグループ基礎利益は、厳しい運用環境ではあったものの、減益幅を10.3%にとどめ、2192億円を確保した。連結ソルベンシー・マージン比率は43.7ポイント減少したものの、940.0%と高い健全性を維持した。

 
[2016-11-29]
 金融安定理事会がシステム上重要な保険会社を公表

 金融安定理事会(FSB)は11月21日、「グローバルなシステム上重要な保険会社の2016年リスト」を公表した。FSBは、保険監督者国際機構(IAIS)および各国当局と協議の上、年次のグローバルSIFIsの特定プロセスの一環として、15年にG―SIIsに選定された保険会社9社(エイゴン、アリアンツ、AIG、アビバ、アクサ、メットライフ、ピンアン・インシュアランス〈グループ〉・カンパニー・オブ・チャイナ、プルデンシャル・ファイナンシャル、プルーデンシャル、公表リスト順)をあらためて16年のG―SIIsに特定した。16年G―SIIsリストは、15年末時点データを用いたIAISの提案に基づいている。
 11年11月、FSBは、システム上重要な金融機関(SIFIs)に関するシステミックリスクおよびモラルハザードリスクに対処するための一連の政策措置を公表した。13年7月、FSBは、IAISおよび各国当局との協議の上、IAISによって開発された選定手法を用いて、グローバルなシステム上重要な保険会社(G―SIIs)9社の当初リストを特定した他、これら9社のG―SIIsに対して適用されるべき政策措置を特定した。同報告では、G―SIIsリストは、新しいデータに基づき、毎年更新され、毎年11月にFSBにより公表されることとしていた。
 G―SIIsは、以下の国際的に合意された基準の適用を受ける。
 ▽15年10月にIAISより最初の開発が公表された「上乗せ資本要件」(HLA)。HLAは、IAISによるG―SIIs選定手法に関するさらなる作業を反映して改訂され、17年11月に特定されるG―SIIsに対して19年1月から適用される予定である。
 ▽グループ監督者による持ち株会社への直接の監督権限およびシステミックリスク管理計画ならびに流動性管理計画の策定・実施の監視を含む、グループ全体の監督の強化。
 ▽グループ全体の再建・破綻処理計画および破綻処理可能性の定期的評価。各G―SIIの破綻処理可能性は、各社の危機管理グループ内の上級規制当局者によるハイレベルのFSB「破綻処理可能性評価プロセス」(RAP)により検証される。
 IAISは、G―SIIs選定手法に関する作業を継続しており、15年11月に開始した市中協議を経て、16年6月に「グローバルなシステム上重要な保険会社:改訂選定手法」を公表した。FSBは、17年第1四半期に、G―SIIs選定手法に関するさらなる作業についての作業計画および日程を受け取ることを予定しているという。
 また、IAISは、G―SIIのエンティティ・ベースの評価手法を補完し得るものとして、システミックリスクに対処するためのアクティビティ・ベースの手法について検討を進めており、FSBは、この作業に関するさらなる最新情報を受け取ることを期待するとしている。

 
[2016-11-28]
 日本生命 16年度上半期決算、新契約年換算保険料が増加

 日本生命が11月24日に発表した2016年度上半期決算によると、単体・連結業績共に減収・減益だった。保険料等収入は三井生命の業績が連結反映されたものの、日本生命単体で円建て窓販商品の販売停止や前年同期の大型団体年金契約獲得の反動などがあり、減収となった。基礎利益も三井生命の業績が連結反映されたが、日本生命単体で利差益が減少したことなどを主因に減益となった。新契約は保障額等・年換算保険料は増加、件数は減少した。保有契約は件数・年換算保険料は増加、保障額等は微減した。  保険料等収入は、日本生命が前年同期比18.4%減の2兆3627億円、三井生命が同3.3%減の2506億円、海外保険・アセットマネジメント事業等が同3.6%減の159億円で、合計は同9.7%減の2兆6293億円だった。  基礎利益は、日本生命が同17.6%減の3241億円で、これに三井生命、海外保険・アセットマネジメント事業等の持ち分を加えた合計は同13.3%減の3427億円となった。グループ事業純利益は三井生命との経営統合効果などによって、同118.9%増の174億円と大幅な伸びを示した。  日本生命と三井生命を合わせた国内全体の保険料等収入の内訳をみると、営業職員等が60%、団体年金が27%、銀行窓販が7%、団体保険が6%で、営業職員等チャネルが過半を超える割合を占め、グループの基軸となっている。営業職員等チャネルでは、日本生命が主にグランエイジ、逓増定期保険、三井生命がドリームロード、大樹セレクトなどの販売が好調だったことによって、同チャネルがグループ全体のプラスを確保するなど、厳しい環境ながら、一定の業績下支えとなった。引き続き、厳しい外部環境の中にあるものの、今後も顧客ニーズを的確に捉え、魅力的な商品・サービスの提供に努めていく考え。  個人保険・個人年金保険の新契約業績は、件数では日本生命が同9.8%減の206万件、三井生命が同27.6%増の11万件となり、合計は同4.8%減の217万件だった。保障額等は日本生命が同6.2%減の4兆6418億円、三井生命が同22.7%減の4299億円で、合計は同2.5%増の5兆718億円となった。年換算保険料は日本生命が同4.9%増の1434億円、三井生命が同2.3%増の162億円で、合計は同16.7%増の1596億円となった。  個人保険・個人年金保険の保有契約業績は、件数で日本生命が前年度末比3.7%増の2763万件、三井生命が同1%減の257万件となり、合計は同3.3%増の3021万件だった。  保障額等は日本生命が同0.7%減の165兆8396億円、三井生命が同2.3%減の21兆3839億円で、合計は同0.8%減の187兆2235億円となった。年換算保険料は日本生命が同1%増の3兆4652億円、三井生命が同0.5%減の4985億円で、合計は同0.8%増の3兆9638億円となった。  団体保険の保有契約業績は、企業ごとのきめ細やかなコンサルティング活動に継続して取り組んだ結果、日本生命、三井生命共に契約を伸ばし、国内全体では同1%増の108兆1799億円だった。団体年金保険の保有契約業績は、株価や為替の影響による時価減などで特別勘定では受託資産額が減少したものの、日本生命、三井生命、ニッセイアセットマネジメントの受託資産の合計は同0.9%増の15兆3569億円となった。  保険金等支払金は連結ベースで前年同期比11.3%増の2兆825億円、事業費は連結ベースで同17.3%増の3463億円となり、連結経常利益は同0.5%増の2696億円、中間純剰余(利益)は同17.3%減の1184億円となった。  連結ベースの総資産は前年度末比0.3%減の70兆4303億円、責任準備金は同1%増の58兆855億円だった。ソルベンシー・マージン比率は日本生命で劣後債の発行や諸準備金などの積み増し、三井生命で劣後債の発行などを行ったことによって、988.5%と同64.1ポイント上昇した。実質純資産額は同2.5%減の17兆2069億円。  16年度決算については、保険料等収入で日本生命、三井生命共に減少を見込み、連結で減少の見通し。基礎利益は日本生命で減少、三井生命で増加、連結で減少を見込む。

 
[2016-11-25]
 日本生命「グランエイジ」、7カ月で2万5000件、ニーズが高い長寿リスク対策

 日本生命が今年4月に販売を開始したニッセイ長寿生存保険(低解約払戻金型)「Gran Age(グランエイジ)」の販売が順調だ。10月末時点の販売件数は2万5000件超で、営業教育部の小松隆宏担当課長は「想定よりも好調なペース」と話しており、本紙の取材により女性の占率が高いなどの契約傾向も判明した。「人生100年時代」の長生きリスクへの対策ニーズが高いことも明確になった。
 同保険の契約の性別による占率は、女性が約60%。契約者の年齢は男女共に50〜59歳がメーンで、女性の場合は平均寿命が男性よりも長いということもあり60〜69歳のゾーンもボリュームがある。パンフレットに記載しているモデルプランでの年金年額は60万円だが、平均すると50〜55万円くらい。また、毎月の保険料は4万5000円〜5万円が中心だ。
 同商品は、「一生涯受け取れる『終身年金』を選択できる」「トンチン性(注)を高めるとともに解約払戻金を低く設定することで年金額(年金原資)を大きくしている」「契約できる年齢範囲が50〜87歳で、無告知で加入可能」といった特徴がある。さらに、関連の取り組みとして昨年10月開始の、高齢の契約者・被保険者による手続きの問い合わせが困難になった場合、サポートを行う家族を事前に登録し、契約情報を知らせる「ご契約情報家族連絡サービス」や、今年4月開始の、被保険者が死亡した際に必要となる広範な手続きについて、死亡保険金受取人(または遺族)をサポートする「ニッセイご遺族あんしんサポート」があり、契約者・被保険者や家族の安心感を高めている。
 また、これまでにない全く新しいタイプの商品ということで、営業職員向けの教育や研修にも注力。2カ月に1度営業職員に配布する情報誌『NISSAY号』の新年度特集号(今年3月発行)では、同商品の開発コンセプト、商品の特徴、提案ポイント、アプローチの方法、事務手続きなどについて24ページにわたり詳細に解説した。拠点(営業部など)の管理者や営業職員向けには、同冊子と連動した映像教材を3本作成し、現地教育の推進を図った。また、発売直後には全国の成功事例を紹介するワンポイント番組を作成し、全営業職員で共有した。
 コンサルティングに当たっては、パンフレットを用いて説明していけばニーズ喚起できる仕組み。最初のページでは、50年の間に平均寿命が10歳以上伸びている(1964年は男性67.6歳/女性72.8歳が、2014年には80.5歳/86.8歳になっている)ことや、2050年には83.5歳/90.2歳になると見込まれることなどを説明。平均寿命以上の長生きも珍しくないと言及し、そこで必要となる「経済的な備え」のために開発した商品であることを訴求している。
 小松氏は「パンフレットさえあれば商品性を踏まえたニーズ喚起がすべて説明できる。営業職員チャネルに加えて、代理店や一部の保険ショップでも販売しており、同様の教育を行っている。今後さらに認知度を高めていきたい」と話している。同商品の発売は、同社が推進している「Gran Age(グランエイジ)プロジェクト」の一環でもあり、同プロジェクトでは、「人生100年時代」を生きる一人一人が「安心して・自分らしく」過ごすことができる社会づくりをサポートするため取り組みを展開している。
 (注)死亡した人の持ち分が生きている人に移ることで、より多くの給付が与えられる割合のこと。イタリア人のロレンツォ・トンティが考案した保険制度に由来する。

 
[2016-11-24]
 生保協会、高齢者対応高度化に向けて提言

 生命保険協会の根岸秋男会長は、11月18日の日銀記者クラブ定例会見で、来年1月に高齢者対応の高度化を推進する「番号制度の民間利活用」への提言に向けたシンポジウムを開催すると発表した。シンポジウムでは業界がこれまで取り組んできた高齢者対応をPRするとともに、保険への番号制度利活用実現に向けた意見交換やメリットを訴求。シンポジウムでの有識者の意見を踏まえ、提言書をまとめる予定だ。会見ではこの他、日銀の実施した指し値オペに関して意見を求められると、生保業界では超長期ゾーンでのオペが重要とした上で、「超長期ゾーンの買い入れ減額を期待している」との見解を示した。
 生保協会では、2017年1月19日に「生命保険業界における高齢者に配慮した取り組みの推進『番号制度の民間利活用』への提言」をテーマにシンポジウムを開催する。根岸協会長は、シンポジウムでのパネルディスカッションのテーマとして提言書(骨子)を作成したとし、その内容を説明。番号制度利活用による高齢者への一層のサービス向上として、行政が保有する生存・死亡情報による高齢者の安否把握の高度化、住所情報による所在把握の高度化、契約者の確実・迅速な保険金の受け取りや請求手続きの負担軽減などにつながるという。このシンポジウムを踏まえ、4月には最終提言書をまとめ、公表する予定。
 記者から次期米国大統領のトランプ氏と安倍晋三首相の会談、現状のマーケット水準の見解と生保各社にとっての販売・運用面での影響を問われると、両氏の会談については「緊密な日米関係を体現するものになってほしい」と期待を示した。マーケット水準については、選挙開票前よりも5円程度ドル買いが進んでいるとしながら、その理由としてトランプ次期大統領の政策から「所得税、法人税の減税とインフラ投資支出拡大を通じた財政政策が経済成長を高めると市場が判断したためだろう」と分析。米国金利の上昇にも言及し、「国内金利が日銀の金融政策で低く抑えられている中、日米金利差が拡大していることも為替に影響を与えている」と示唆した。
 また、現在の市況が生保会社の販売や運用に与える影響について、10年金利がプラス圏まで上昇したとはいえ生保業界を取り巻く環境は変わっていないとし、販売面では「金利影響が大きい一時払い商品や短期の平準払い貯蓄性商品の予定利率引き下げ、販売停止などの動きは変わらない」と大きな変化はないと明言。運用面についても、ALM運用を基本に、海外公社債やクレジット投資拡大による収益力向上につなげる傾向に変わりはないとの見解を示した。
 さらに、日銀が実施した指し値オペの評価を記者から問われると、現在の水準での指し値オペ実施は意外とし、「10年金利上限をプラス0.1%程度まで容認してくるのではないかと想定していた。タイミングが少し早かったというのが正直な感想」と回答。今回の指し値オペは、日銀が重視する短・中期ゾーンの金利に対してであり、生保業界は超長期ゾーンのオペが重要とした上で、「買い入れ平均残存期間の定めを廃止したこともあり、超長期ゾーンの買い入れ減額を期待している」との考えを示した。
 この他、金融機関窓販における手数料開示による収益・決算への影響について「現時点での見通しは難しい」、また、国内生保市場については「10年から20年のスパンで成長する余地は大きい」との見解を示した。「会員各社が創意工夫の下、最終的に顧客ニーズに応えるための商品開発、販売チャネルの多様化を進めていくことになる」と協会長としての考えを述べた。

 
[2016-11-22]
 SOMPOリスケアとエルテス、ネット炎上対策商品を開発

 SOMPOリスケアマネジメントと、リスク検知に特化したビッグデータ解析によるソリューションを手掛ける潟Gルテスは12月1日から、ネット監視サービスに緊急対応機能をセットした「ネット炎上対策パッケージ」の提供を開始する。同パッケージでは、損保ジャパン日本興亜の損害保険を活用し、エルテスの緊急対応費用を補償する。SOMPOリスケア、エルテス、損保ジャパン日本興亜の3社は、同パッケージ拡販に向けた共同セミナーの開催など、営業面で連携していくとしている。
 同パッケージでは、エルテスが提供する24時間365日体制の「Webリスクモニタリング」サービスの利用を基本に、ネット炎上などが発生した場合の緊急対応機能として、炎上分析リポートや緊急時情報発信コンサルティング、ウェブ危機対応コンサルティングなどを行う「ネット炎上対応サービス」(エルテス提供)と、緊急時メディア対応コンサルティングや緊急記者会見支援などを行う「緊急時マスコミ対応支援サービス」(SOMPOリスケア提供)をセットにして提供する。
 甚大なリカバリー費用が発生するような大規模な炎上の場合、緊急対応のサービス費用の90%を補償することで、費用を大幅に圧縮できる。サービスの提供価格は月額35万円(税抜き)から。
 昨今、ネット炎上の件数が増え続けている。企業や各種団体にとって炎上対策は大きな課題となっており、ネット監視体制を整備・強化する企業などが増加している。一方で、一部の大規模な炎上では、ネガティブな投稿を察知しても適切な緊急対応が取れずに被害が拡大し続け、株価にまで影響を与えている。
 このような場合、炎上がどの程度拡大するか予測することは困難を極め、長期間にわたって多額のリカバリー費用が掛かる可能性がある。SOMPOリスケアとエルテスでは、このような状況を背景に同パッケージを開発したとしている。

 
[2016-11-21]
 AIGがAIG富士生命の全株式譲渡、損保市場に経営資源集中

 アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は11月15日、パシフィック・センチュリー・グループの保険事業部門であるFWDグループと、日本での生命保険事業を担うAIG富士生命の全株式の譲渡について合意したと発表した。同取引の完了は関係当局の認可などが前提となっており、取引条件については開示していない。AIGは、国内の外資系損保会社の中で最大規模の保険会社だが、今回の取引が同社の日本での損保事業に与える影響はないとしている。
 AIGは富士火災とAIU、アメリカンホームを通じて、引き続き日本の損保市場に経営資源を集中していく。同社はこれらの会社を通して、企業向けの保険商品やサービスだけでなく、医療・傷害保険、自動車保険、火災保険、旅行保険などの個人向けの補償を提供している。AIGは1946年から日本で保険事業を行なっており、同社のグローバルでの損保事業の国別の正味収入保険料を見ると、日本市場は企業向けで世界第3位、個人向けで世界最大の規模になっている。
 AIGのピーター・ハンコック社長兼CEOは「AIG富士生命の譲渡は、今年当社が取り組んできた戦略の一環であり、AIGが顧客に多大な価値を提供し得る一定の事業規模と高い専門性を有している地域・事業領域への集中化を図ることで、より効率性の高い保険会社へと変容させていくことにつながる。AIGにとって日本は極めて重要な市場であり、企業および個人向け損害保険分野の発展にコミットしている。また同様に、FWDが日本の生保事業の成長に向け尽力していくことは、AIG富士生命の顧客ならびに社員にとっても利することになると考える。譲渡完了後は、AIGはFWDのパートナーとして、今後、同社による生保事業の発展に向けた取り組みをサポートし、また、さらなる将来の事業機会の創出に向けて共に取り組んでいく」とコメントしている。
 同取引の完了後、FWDは、現在AIG富士生命が日本のAIGグループ各社と締結している生命保険の販売についての契約をそのまま引き継ぐ。また、同取引が、既にAIG富士生命で加入している保険契約の内容に影響を与えることはない。
 FWDは2013年の設立以降、香港とマカオに強固な基盤を持ち、シンガポール、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムといったアジア全域にわたって事業を展開する保険会社に成長した。同社では、世界第2位の生保市場である日本に参入することで、FWDのアジア地域での拠点をさらに拡大し、アジアでトップクラスの保険会社になるというビジョンの実現を目指すとしている。
 FWDグループのフン・タン・フォンCEOは「AIG富士生命はFWDによる日本市場参入の強固な礎になると確信している。同時に、AIGとのパートナーシップを通じ、すでに確立した顧客基盤を持つAIGグループの幅広い販売ネットワークを活用することができるようになる。FWDの長期的視野に基づいた投資、顧客目線でのアプローチ、および最先端のテクノロジーの活用により、AIG富士生命を成長させていくことを目指す」とコメントしている。

 
[2016-11-18]
 東京海上日動が不妊治療費用等補償保険を販売、企業の福利厚生に活用

東京海上日動は11月1日、企業や健康保険組合を対象に、従業員の特定不妊治療(体外受精や顕微授精など)にかかる費用負担の軽減を目的として「不妊治療費用等補償保険」の販売を開始した。
 同商品は、企業や健康保険組合などが契約者となり、契約者が社内規定などに基づき従業員に給付する費用を保険金として支払う内容で、企業の福利厚生制度などに活用できるよう企業・健康保険組合の構成員全員を補償の対象とする。従業員本人に加えその配偶者も対象となり、男性不妊治療についても補償対象となる。公的助成制度と同様に「特定不妊治療」を補償対象の治療範囲とし、企業の社内規定などに応じて所得・年齢の制限なく、公的助成制度を補完する形で、治療により実際に生じた自己負担額を補償することが可能。
 加えて、「特定不妊治療」を行った人が切迫早産などの妊娠に関連する特定疾病で30日以上の入院をした場合には、一時金を支払う。2017年4月1日以降の治療が対象となる。
 結婚年齢、妊娠・出産年齢の上昇や医療技術の進歩に伴い、近年不妊治療の受診者数が増加している。一方で、特定不妊治療は健康保険制度の対象外で治療費は全額自己負担となっており、不妊治療を受ける人の経済的負担が大きい。
 不妊に悩む人の経済的負担の軽減を目的として、高額な特定不妊治療の一部を助成する公的助成制度が2004年に創設されている。しかし、定額の給付であることや年齢、回数の制限などから、助成金だけでは治療費を賄うことができず、経済的な理由により不妊治療をためらったり延期するケースも生じている。
 6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」においても、不妊治療に関する支援の検討が盛り込まれるなど、今後、出産・育児世代を社会全体で支援していくことが必要になっていくものと考えられる。
 同社では、こうした社会的背景も踏まえ、同商品を開発したとしている。
 
[2016-11-17]
 第一生命HD、17年3月期第2四半期決算報告

 第一生命ホールディングスは11月15日、東京都千代田区のDNタワー21で第一生命グループの2017年3月期第2四半期決算報告のプレス説明会を開いた。国内低金利環境を踏まえた一時払い円建て貯蓄性商品の販売抑制の影響などで連結経常収益が減少した。一方、海外生保事業の着実な成長が金融市場関係の減収要因をカバーし、連結純利益については通期予想に対して50%超を確保した。
 決算の概況については、川島貴志専務が説明した。グループの連結経常収益は前年同期比13%減の3兆1901億円、連結経常利益は同9%減の2203億円、連結純利益は同22%減の1060億円とそれぞれ実績を落とした。また、保険料等収入は、前年同期比19%減の2兆2706億円だった。
 グループでの新契約年換算保険料は前年同期比10.5%増(為替変動要因を除くと13.1%増)の1953億円、保有契約年換算保険料は3兆3722億円と前期末比で0.7%減少した。為替変動要因を除くと、同2.4%増とプラス成長を維持した。調整後の基礎利益については、第一生命の順ざやの減少などにより、前年同期の2780億円から2338億円に減った。
 グループ各社については、第一生命の経常収益は前年同期比4%減の2兆277億円、保険料等収入は同7%減の1兆3142億円、経常利益は同1%減の1826億円といずれもほぼ横ばいだった。解約失効高は、前年同期比で12.4%改善、営業職員数は、減少した前年同期の4万2298人から反転し、4万4174人に増えた。また、一人当たりの新契約件数も同13.0件から13.7件に伸びた。
 第一フロンティア生命は、円建て商品の販売停止や、不安定な金融市場の影響による外貨建て商品の販売減少を主因として、経常収益が前年同期の1兆406億円から39%減の6355億円になった。経常費用については、市場価格調整(MVA)に係る責任準備金が戻し入れから繰り入れに転じたことなどにより、同1兆82億円から37%減の6357億円。その結果、経常収支は2億円の損失となった。一方、保有契約高は前年同期の5兆4276億円から6兆2332億円と着実に増加した。
 海外生保事業では、米プロテクティブ社は、今年1月にジェンワース社から買収した定期保険ブロックが当期から利益貢献したことなどにより、保険料等収入が26億9300万米ドルと好調に推移。豪TAL社は、昨年度下期に獲得した大型の団体保険契約の影響により、保険料等収入が前年同期比15%増の16億6200万豪ドル。また、純利益では、金利低下の影響が約900万豪ドル押し上げ、同40%増の7800万豪ドルになった。
 川島専務は通期の連結業績予想について、第2四半期累計の業績がおおむね計画に沿って推移したものの、第一フロンティア生命の保険販売の進捗(しんちょく)や、円高の影響による有価証券からの利息配当金の減少などを踏まえ、経常収益と基礎利益を下方修正するとした。一方、経常利益と純利益については、堅調な海外生保事業などでカバーされる見通しから据え置くとし、「国内外の金融経済環境の変化によるグループ損益への影響は、今後もかなりのボラティリティーを伴うことから、引き続き慎重に見極めていきたい」との考えを示した。

 
[2016-11-16]
 SCSK、AI技術活用で実証実験、深層学習技術を損害調査業務に

 SCSK鰍ヘこのほど、同社が開発・運用する企業の業務システムへのAI技術活用の推進を目的に、機械学習技術・深層学習(ディープラーニング)技術・映像解析技術などを持つ鰍oreferred Networks(PFN)と、AI技術を活用したソリューションを提供する鰍`sian Frontier(AF)およびAFグループの鰍qidge―iと業務提携する方針を発表した。提携に先立ち、同社では損保会社の損害調査システムへのAI活用実証実験を9月から開始している。
 SCSKは、金融機関、製造業、流通業、通信業向けなど、すべての業種・業界向けにさまざまな業務システム・サービスを提供している。特に昨今、金融機関においては、既存業務の効率化や知見の有効活用を目的に、FinTech・AIへの積極投資が進み始め、機械学習・深層学習技術の業務システム・サービスへの適応が求められている。
 このような要請の下、SCSKでは深層学習を中心にした機械学習のプラットフォーム「DIMo」(注)を提供するPFNの先進技術に注目し、実用検討を行っていた。併せて、「DIMo」の販売と深層学習技術の業務適応コンサルティングを提供するAFとAI領域に特化した技術提供を行うRidge―iとの協業を検討した結果、今回の業務提携に合意した。
 SCSKでは今後、金融機関をはじめ、他の業種・業界向けの業務システム・サービスへのAI技術の活用を推進していくとしているが、その第1弾として、保険損害調査の効率化を目的に、あいおいニッセイ同和損保から損害調査ノウハウの提供を受け、9月からAIの深層学習技術を活用した共同研究プロジェクト(損保会社の損害調査システムへのAI活用実証実験)を開始した。
 損保会社では、事故の発生時に損害調査部門による事故現場の検分や現物調査を行っている。しかし、従来の損害調査業務では、膨大な調査項目の確認や解析に時間を要しており、被害状況把握の自動化などによる業務の効率化が課題となっていた。共同研究プロジェクトでは、従来は人間が視認で実施している損害規模や適正な修理範囲の判定業務を、「DIMo」の画像認識技術と人間の脳の働きを模したニューラルネットワーク技術の活用で代替をできるか、実現性の検証を行う。
 SCSKでは、共同研究プロジェクトを通じて、損害調査業務を効率化させる知見を組み込んだ業務システムの開発を目指すとともに、AFグループの持つAI技術を活用したコンサルティングノウハウと自社のシステム実装技術を組み合わせ、損害保険以外の業務システムへの適応も推進していくとしている。
 (注)Deep Intelligence in―Motion。PFNの持つ深層学習や強化学習などの機械学習技術をライブラリー化し、汎用的に各業界で利用できるようにしたソフトウエアフレームワーク。

 
[2016-11-15]
 タイムズ24鰍ェカーシェアリング拡大、5年で拠点4倍、車両数6倍

 タイムズ24梶iパーク24グループ、本社:東京都千代田区)のカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」の拠点・車両台数が大幅に拡大している。過去5年間で拠点数は約4倍、車両台数は約6倍に増加(注1)。保険会社を含む法人による利用が増加していることから同社では、出張などへの対応を強化するため全国の新幹線停車駅への展開を拡充。今年7月時点で全国63駅253カ所627台と、新幹線駅設置率は約60%を占める。今後、すでに開始している「タイムズ駐車場以外への設置」も増やして、まずは新幹線駅設置率を100%にし、2020年10月末には全国で3万台までに増やしたい考えだ。
 同社のカーシェアリングサービスは、会員登録してインターネットで予約する仕組みで、料金は15分206円から。料金にはガソリン代や保険料などがすべて含まれている。今年9月末時点の拠点は8476カ所、1万5942台。会員数は70万4407人で、法人と個人の割合は約4対6。法人の比率が徐々に高まってきた。
 法人では「社有車の代わりに利用」「全国の支店や支社、関連会社、工場への出張時に最寄り駅からカーシェアを使う」などの目的で利用されている。同社は「現地での滞在が2、3時間の場合は最低単位が6時間のレンタカーよりも効率的。レンタカーでは、店舗が閉まっている時間帯があるが、カーシェアでは時間を気にせず利用できる。遠方の場合は、会社から車で出発するのではなく、最寄りの駅までは電車で行き、そこから車を短時間で借りるというのは効率的でしかも安全だ」と話す。
 同社では14年4月に、カーシェアリングの優待サービス「TCPプログラム」を導入。会員は、車内美化や急加速や急減速のないエコドライブの実施、一定金額以上の利用などでポイントがたまり、3段階あるステージに応じて先行予約やパック料金の割引などが受けられる。
 同プログラムにおいて、検知した急加速や急減速の実態は利用者(会員)にメールで報告しているが、今年9月からは法人会員が社内で社員の利用実態を把握できるサービスも開始した。名称は「クルマの運転見える化サービス」で、管理者は運転者の運転傾向や危険運転を確認できる(注2)。タイムズカープラス法人会員全体の運転傾向をグラフ形式などで比較できるため、運転者の危険運転回避や社内の安全運転の啓発にもつなげられる。
 また、今春には「タイムズカープラス」に入会すると自動車保険のノンフリート等級に応じた入会特典をプレゼントする「セーフティードライバー応援キャンペーン」や「エコドライブ選手権」を実施するなど、カーシェアリングの認知度向上や安全運転の推進を図っている。
 会員にはカードを発行するが、ビジネスカードの場合はカーシェア、駐車場、レンタカーを一枚のカードで利用でき精算もスムーズなど利便性が高いため法人向けのPRも強化。設置拠点は、商業施設(イオンやイケアなど)やオフィスビルへも拡大しており、自社ビルや入居するビルへの設置を希望する企業も多いという。
 同社では、「利用料金にはガソリン代はもちろん、万が一の補償も含まれていることから安心・お得に利用いただくことができ、自動車保険の加入・更新手続きの手間も掛からない」とアピールしており、「タイムズカープラス」をさらに拡充していく方針だ。
 (注1)11年10月時点は、2145カ所、2727台。
 (注2)「クルマの運転見える化サービス」で確認できる項目は、急加速回数、急減速回数、急加減速総数、時速105q超過率、時速105q超過回数、時速105q超過人数、最高速度。

 
[2016-11-14]
 東京海上日動、「被害者救済費用等補償特約」開発、自動運転の事故に対応

 東京海上日動は、自動車の自動走行システム(自動運転)による事故に対応する保険商品として「被害者救済費用等補償特約」を開発し、2017年4月以降に始まる自動車保険契約に無料で自動付帯する。原因が不明確な自動車事故に対する保険金支払いができるようにし、迅速な被害者救済を図る。自動運転車の事故をカバーする商品としては業界初で、現在、官民で進める自動運転の取り組みを後押ししそうだ。
 同特約は、運転者が操作する自動運転中の事故に際して、賠償責任の有無にかかわらず同社が保険金を支払い、その後、損害賠償請求権の移転に伴い賠償義務者に直接求償する。事故発生当初で責任の所在が不明確なケースや、自動運転システムの欠陥などが公的機関による調査によって判明し、被保険者に賠償責任義務がないことが認められた場合でも補償する。例えば、システムの誤作動による事故の他、駐車場に止めてあった自動車がハッカーにより操作され、隣の車両に接触して破損させたケースなど、賠償義務がない場合は現行の自動車保険では保険金が支払われない。そうした場合、事故の被害者は直接メーカーなどの関係者に損害賠償請求する可能性が想定されるが、個人で原因を追究し、賠償請求手続きを行うことは実際には難しいことから、同特約によってそうした被害者を救済する。
 自動走行システムの進展は、交通事故の削減や交通渋滞の緩和、環境負荷の低減といった大きな付加価値を社会全体にもたらすと期待されており、現在、政府や自動車メーカーなどが一体となって取り組みを加速させている。
 警察庁が3月に取りまとめた「自動走行の制度的課題等に関する調査委員会」報告書では、加速・操舵・制動をシステムが全て自動的に行い、システムからの要請があった場合にドライバーが対応する「レベル3」までは現行法が適用されると示されたものの、交通事故が発生した場合、「責任関係が複雑になることで交通事故被害者に対する補償が遅れることは避ける必要がある」と指摘されている。
 自動走行システムが普及する中で、自動車事故が発生した場合、従来のドライバー(加害者)・被害者といった事故の当事者に加え、製造業者やソフトウエア事業者など賠償義務者が多岐にわたるケースや、事故発生当初に原因が不明確なケースの発生が想定されており、事故原因や各関係者への責任の有無などの究明に一定の時間を要して、結果として被害者救済に遅れが生じる可能性がある。こうした課題を踏まえ、同社では、自動車事故の被害者への救済の重要性は不変との考えの下、同特約を開発した。同社では「自動走行システムが進展する中、あらかじめセーフティーネットとして迅速な被害者救済を担保する商品を提供することで、安心・安全なクルマ社会の実現に貢献するとともに、今後も社会環境の変化に即した商品開発を行っていく」としている。

 
[2016-11-11]
 損保協会、学習指導要領改訂へのパブコメに金融・防災で11の意見提出

 損保協会は、文部科学省が9月9日から10月7日までの間に行った「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」に関するパブリックコメントに、金融(保険)教育および防災教育の観点で9科目に対する11意見を提出した。高等学校を対象に公民科の共通必履修科目として新設される「公共(仮称)」に関しては、公助・共助・自助の役割分担あるいは社会保険を補完する民間保険の意義・役割や、災害に備える重要性とその一端を担う地震保険制度の意義について、学習指導要領およびその解説書等への明記などを要望した。年度内に中教審の答申があり、答申を踏まえ「学習指導要領案」がパブリックコメントに付される予定。
 損保協会は第7次中期基本計画の重点課題として金融経済教育(損害保険教育)の推進を掲げており、損害保険・防災リテラシーの向上を図るために、小・中学校、高等学校の年齢層別に各種啓発ツールを作成している。この他、金融庁や金融広報委員会、金融業界団体が参画する「金融経済教育推進会議」に参加しており、他団体との情報連携も実施している。
 本年度は、損害保険に関するリテラシーツールを、小学生向け、中学・高校生向け、大学・若年社会人向けなど、年齢層別に作成し、啓発・教育プログラムの充実を図っている。
 また、中学・高校向け防災教育副教材も8月に完成。これは、さまざまな自然災害が発生している状況を踏まえ、子どもたちとその家族、地域の安全・安心に役立ててもらうことを目的として、現場の教諭のアドバイスを得ながら、「家庭科」での活用を意識して編集した。
 学習指導要領は約10年度ごとに改訂されており、損保協会は今年3月28日に文部科学省に社会保険を補完する民間保険の役割など金融(保険)教育および防災教育等の必要性を訴える意見書「学習指導要領の改訂にかかる要望について」を提出した。
 今回の「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」への意見書で、高等学校公民科の新科目「公共(仮称)」に関しては、公助・共助・自助の役割分担、社会保険を補完する民間保険の意義・役割、地震保険の他、自立した主体として社会に参画し、他者と協働することの意義について考える力の養成に当たって消費者の権利や責任、多様な契約を取り扱う際の対応について学校教育段階から金融経済教育を取り入れることなどを求めた。
 小・中学校の「社会科」については、自然災害時における地方公共団体の働きや地域の人々の工夫・努力等に関する指導、防災情報の発信・活用に関する指導を行う際に、損害保険の補償機能あるいは生命保険の保障機能の学習指導要領およびその解説書等への明記を要望した。
 さらに小学校の「社会科」、高等学校の「地理総合(仮称)」「地理探求(仮称)」に関しては、防災マップ作りが地域の自然環境と自然災害との関わりや、そこでの防災対策について考察させるとともに、生活圏の課題を観察、調査、見学するアクティブ・ラーニングとして持続可能な社会づくりのための改善、解決策の探求につながる活動と考え、防災マップ作りを学習指導要領と解説書等に明記することを求めた。
 小・中学校、高等学校の「道徳」では、自転車による加害事故が社会問題化している中、児童生徒の発達の段階等を考慮し、興味や問題意識を持つことができるような身近な社会的課題の具体例として「賠償概念」を取り上げることを学習指導要領と解説書等へ明記することを要望した。
 小・中学校、高等学校の「特別活動」に関しては、防災を含む安全教育で自立した生活を営むことや、共に助け合う力について取り上げる際には、自ら備えることの重要性を発達段階に応じて教育できるよう、学習指導要領およびその解説書等に明記することを求めた。
 高等学校で「公共」を発展的に学習する選択履修科目として位置付けられる「政治・経済(仮称)」、小学校第1・2学年の「生活」、中学校の技術・家庭科の「家庭分野」、高等学校の「家庭科」、中学校と高等学校の「保健体育」に対しても要望を提出している。
 損保協会では今後も安全で安心な社会づくりに向けて損害保険・防災教育の必要性を発信していく方針だ。


[2016-11-10]
 チャブ損保、「ウェブからの旅行・保険同時加入」推進

 チャブ損保は、ウェブからの旅行申し込みと同時に旅行保険(海外・国内)の契約ができるシステムを2011年から提供しているが、今年に入って提携する代理店(旅行会社など)が急増している。10月までに旅行会社6社、航空会社が1社増え、合計13社になった。同社は現在、ネット向けの新商品開発に着手しており、来夏を目標に新たな商品をスタートさせる予定だ。
 旅行商品や航空券の購買導線上で旅行保険に加入してもらうシステムは、09年にエース保険(当時)のアジアパシフィックのヘッドオフィス(シンガポール)で開発。日本では、11年3月に提供を開始した。同システムでは、例えば、ツアーや航空券の予約時に入力する名前、性別、生年月日、行き先、出発日・帰国日などの情報をそのまま保険申し込みにも利用できるため、旅行者の保険加入手続きの利便性が高い。
 旅行保険本部の服部哲弥本部長は「インターネットによる旅行保険加入は、旅行などの申し込みの完了後に、新たに『保険申込』をクリックして再度必要事項を入れていくのが一般的。これを『バナー方式』と呼ぶが、2段階方式のため加入率は低めだ。当社の仕組みは旅行商品や航空券購入の流れの中で旅行保険を勧めることができるため、お客さまは時間をかけずに保険加入手続きを完了させることが可能。代理店にとっては、手数料、保険加入率の向上、顧客への安心感提供というメリットがあり、保険加入の勧奨忘れも防止できる」と話す。
 現在、同社と提携しているのは中規模の旅行会社が多く、直近で加わった会社には、国内・海外の各種パッケージツアーの企画やインターネット販売を手掛けるホワイト・ベアーファミリー、格安航空券を24時間オンライン予約できるスカイチケットなどがある。旅行保険本部の東野宗弘旅行保険企画推進部長は「一般社団法人日本旅行業協会も旅行保険の加入を推進しているが、当システムを使用していただくことで、旅行会社や航空会社は効率よく旅行保険を勧めることができるため、旅行業界からの関心も高まっている」としている。
 一方、顧客側のリスクに対する意識も向上している。LCC(格安航空会社)の台頭が目立つことから、「遅延」や「悪天候などによるフライトキャンセル」などのリスク対策としての国内旅行保険加入が伸びているという。
 現在は特に、旅行会社ごとの旅行保険の加入率を高めるための工夫に力を入れている。具体的には、個々の旅行会社の利用者の属性や行き先(欧州、アジアなど)などで最適な補償の提案を目指す。また、システム上で旅行保険を提案するタイミングについては旅行会社ごとの考えがあり、「早めに保険を案内する」「ウェブから離脱されないように、保険については旅行申し込みの後で提示する」など、個々の代理店の要望に応じた方法をアドバイスしている。
 10月1日に新会社「Chubb損害保険」として新規スタートした同社は、キャンペーンも開始している。ウェブサイト(PCまたはスマホ)から海外旅行保険を申し込むだけで、キャンペーンに応募完了となる。キャンペーンはスーツケースに付けられるタグをプレゼントするという内容で、実施期間は12月31日まで。「TRACE ME」と表示されたタグに付いているPINコードを旅行前に登録しておくと、世界の空港・航空会社で利用されているシステムと連動して自分の荷物の現在位置が分かる仕組みで、ロストバゲッジになった際にも探すことが可能。タグは明るいピンクで「CHUBB」のロゴも表示されているため、他の旅行者の目にも留まりやすい。
 服部本部長は「キャンペーンで当社の名前を広めたい。さらに、お客さまと代理店双方のニーズをくみ取った新商品を提供したいと考える。現在、当社の旅行保険の加入経路は、紙ベースとオンラインが9対1の割合だが、5年後には少なくとも7対3くらいまでに高めていきたい」としている。

 
[2016-11-09]
 東京海上日動が成年後見賠償責任保険を開発、情報漏えい訴訟への備え

 成年後見人の権限等に関する民法の規定が10月に改正され、成年後見人の権限が拡大したことにより、一定の条件を満たせば、成年被後見人宛ての郵便物の受領や被後見人の死亡後の火葬や埋葬に関する契約を締結できるようになった。東京海上日動では、これに伴い増大するリスクに対応できる新たな賠償責任保険「成年後見賠償責任保険」を開発し、12月から発売する。同社では、成年後見人や被後見人に安心を提供し、後見人の登録数の増加や同制度の正しい普及に貢献したいとしている。
 同商品の特長としては、次のような点が挙げられる。
 成年後見人として行う行為を幅広く補償する。後見等事務の他、それを開始するための準備行為および終了後の管理計算、相続財産の保存、火葬・埋葬の契約締結も含まれる。
 成年後見人のうち、親族・専門職以外の一般市民が後見人となる市民後見人については、成年後見業務の遂行に伴い取得した個人情報の漏えいリスクを補償する。民法の規定に従い受領したマイナンバーが記載された郵便物を紛失したなど、取得した個人情報の漏えいまたはその恐れを補償する。
 オプションとして、被後見人などから預かり管理する現金、通帳など(預貯金証書、通帳、キャッシュディスペンサー用カード)の紛失、盗取または詐取に起因して通帳などの所有者に生じた再発行費用について、被保険者が負う法律上の賠償責任を補償する特約がある。
 同様に、初期対応費用・訴訟対応費用を補償する特約を付帯できる。同特約では、他人の身体の障害、財物の損壊などが発生した場合に事故対応のために必要となる「初期対応費用」や、被保険者に対する損害賠償請求訴訟が日本国内において提起された場合に応訴のために必要となる「訴訟対応費用」を補償する。
 最高裁の統計によると、成年後見制度の申請件数は年間3万5000件程度で推移している。そのうち市民後見人や法人後見人等、親族以外の者が後見・保佐・補助を行う「第三者後見人」は2010年の41.4%から15年には70.1%にまで占有率がアップしてきた。今後もこの傾向は続くとみられる。また、認知症高齢者は12年時点で約462万人、2025年には700万人を超えると推測されており、成年後見制度の需要は急増する見通しだ。成年後見人(特に市民後見人)の人材確保が急務とされ、ニーズが高まる中、同社では、同商品を通じて支援するとしている。

 
[2016-11-08]
 SBIHD 17年3月期第2四半期決算、損保は12%の高成長持続

SBIホールディングスは10月27日、東京都港区のホテルオークラ東京で2017年3月期第2四半期決算説明会を開催した。SBI損保の自動車保険の保有契約件数は前年同月比11%増、元受正味保険料は前年同期比12%増と高成長を持続した他、SBI生命は堅調な業績を維持した。少額短期保険事業の保有契約件数は順調に増加した。北尾吉孝社長は「さらなる成長と収益力強化を実現するため、証券、銀行、保険の各関連事業で商品・サービスの多角化などを推進する」と強調した。
17年3月期上半期の連結業績(IFRSベース)は、売上高が前年同期比5.3%増の1212億8400万円となった。一方、税引前利益は同13.2%減少し、四半期利益も同23.5%減となったが、そのうち、親会社所有者への帰属分は7.8%増加した。セグメント別の売上高(IFRSベース)では、金融サービス事業は同6.9%増の835億6300万円となった他、税引前利益(IFRSベース)は同1.0%増の252億9800万円となった。北尾社長は「金融サービス事業は前年同期に比べて株式市況が低調だったにもかかわらず、FXや銀行、保険事業が堅調に推移した」と述べた。
SBI損保の自動車保険の保有契約件数は前年同月比11%増の約86万件で、元受正味保険料は前年同期比12%増の160億5900万円と高成長を持続。上半期の税引前利益(IFRSベース)は、16年3月期上半期に比べて8億4000万円改善するとともに、損害率は2.2%、事業費率は2.4%、コンバインド・レシオは4.6%改善している。
SBI生命の上半期業績は、経常利益が19億3900万円となった他、ソルベンシー・マージン比率は1300%を超えていることから、順調に推移しているとの見解を示した。
少額短期保険事業については、SBIリスタ少額短期保険の保有契約件数が前年同月比9%増、SBIいきいき少額短期保険の保有契約件数が同23%増加した。また、新たに買収した日本少額短期保険の保有契約件数は、16年3月末比に比べて3%伸展した。
さらなる成長と収益力強化に向けた保険関連事業の取り組みについては、SBI損保は必要な補償内容が自由に選べる「SBI損保の火災保険」を10月から販売開始したことから、今後は住宅ローンの取り扱いが多い住信SBIネット銀行とARUHI(旧SBIモーゲージ)とのシナジーを徹底追求していく。
SBI生命は、保険加入へのインセンティブや加入者への疾病予防推進の取り組みとして、保険契約者に対し、FiNC社の健康管理アプリを提供する予定だとした他、グループシナジーを活用した新商品開発も進行中であることを明らかにした。また、PC・スマートフォンサイトをリニューアルし、申し込みサービスの利便性向上を図るとともに、引き続きグループのネット・リアルチャネルを活用した販売施策を展開していく。
少額短期保険事業は、日本少額短期保険の買収により、グループの少額短期保険事業をさらに拡大。他の少額短期保険グループと比べて幅広い商品をラインアップし、広がりのある戦略が可能になったとして、今後は3社間での提携販売などのシナジー効果を追求し、さらなる成長に向けた取り組みを推進する。
再保険事業については、SBI損保やSBI生命が外部の再保険会社に出再している一部保険契約を、新設する再保険会社に段階的に集約し、グループ外に支払う再保険料などのコストを抑えることで保険事業全体の収益力を強化するとの考えを示した。また、IPO(株式公開)による潜在的な企業価値の顕在化に向けた取り組みとして、グループ横断的な保険持ち株会社設立準備プロジェクトチームを新設し、設立に向けた準備を開始したことなどを説明した。

 
[2016-11-07]
 三井物産がNOCM社の株式取得、再保険アセット事業へ参画

 三井物産はこのほど、大手(再)保険会社XL Group Ltd(XL)と保険・金融関連の大手PEファンドマネジャーStone Point Capital(SPC)が運営する再保険アセットマネジメント会社であるNew Ocean Capital Management Limited社(NOCM)の株式の15%を同社既存株主から取得した。
 NOCMは、2013年にバミューダで設立された株式会社で、保険リンク証券(ILS)と呼ばれる、主として自然災害リスクを対象とした保険・金融商品を取り扱うファンドの運用を受託する資産運用(アセットマネジメント)会社。
 三井物産は本事業への参画と同時に、NOCMが運用を受託するファンドへ累計1億ドル(既出資の2100万ドルを含む)を出資することにも合意。払い込みは17年3月期下半期から18年3月期にかけて行う予定で、XLおよびSPCと共同してNOCM事業の拡大に取り組むことを通じて、自然災害リスクに対する安定的なヘッジ策を保険会社に供給していく。
 なお、三井物産は子会社のジャパンオルタナティブ証券を通じて、01年からさまざまなアセットを投資対象とするオルタナティブ金融商品(注)の販売実績を積み重ねている。同社では、NOCMが運用を受託するファンドについても日本国内の投資家向けの取り扱いを予定しており、これまで以上に多様な投資機会を提供していくとしている。
 (注)上場株式や債券などの伝統的な資産とは異なる、ヘッジファンド、不動産ファンド、PEファンド、キャットボンドなどの金融商品のこと。

 
[2016-11-04]
 東京海上日動、外務省推進の海外旅行登録、「たびレジ」へ支援を開始

 東京海上日動は10月から、海外渡航者への一層の「安心・安全」の提供に向け、同社の海外旅行保険の契約者に対して、外務省が推進する「海外旅行登録『たびレジ』」の登録を支援する取り組みを開始した。「たびレジ」との企業連携は、同社によれば保険業界では初となる。
 「たびレジ」とは、外務省が2014年7月から開始している海外渡航者向けの登録システムで、旅行日程・滞在先などを登録すると、滞在先の在外公館の連絡先や、最新の現地の安全情報などのメールが受け取れる。また、緊急事態が発生した場合は、外務省が渡航者の安否確認を行い、必要な支援を迅速に行う。16年7月のダッカ襲撃テロ事件や、トルコのクーデター未遂事件など、不安定な国際情勢が続く中、渡航者の安全対策は喫緊の課題となっており、外務省は「たびレジ」への登録を呼び掛けていた。
 こうした中、同社は海外旅行保険の顧客に対して、10月から「たびレジ」の登録推奨に向けた取り組みを開始。具体的には、インターネットを通じて海外旅行保険に加入した契約者に対し、「たびレジ」の登録を推奨するメールを送信する他、空港内の同社海外旅行保険申し込みカウンターで手続きした顧客に「たびレジ」を案内する。
 また、同社では、17年夏ごろをめどに、インターネットで海外旅行保険に加入する際に、希望に応じて「たびレジ」に自動登録できるサービスの開始を予定している。同サービスでは、保険の加入手続きと同時に、渡航者情報が「たびレジ」に連動されるため、渡航者は「たびレジ」への登録の手間が省略できる。
 同社は、今後も「安心・安全」の提供に向け、引き続き外務省と連携して、海外留学生や中小企業向けの安全対策についても検討を行う予定。

 
[2016-11-02]
 アニコム損保が組織改編で代理店部門強化、ペットショップへの営業に注力

 アニコム損保は、契約拡大や損害率の低下に向けて代理店部門を強化している。同社のペット保険「どうぶつ健保」の加入経路は大きく二つで、生体購入と同時に保険に加入する経路(NB〈ニューボーン〉契約:主な代理店はペットショップ)と、既にペットを飼っている人が加入する経路(一般契約:ペットショップ以外の代理店経由)がある。最近の契約件数の割合は、NB契約が8割で一般契約が2割。同割合は5年前の7対3から変化しており、同社ではさらにペットショップへの営業を強化していく方針だ。
 同社では「ペットショップでの加入は、飼い主への安心の提供とペットショップのサポートの両方のメリットがある」として、代理店開拓と支援を強化している。
 今年4月には、それまでの営業開発部を廃止して、その機能を東日本営業1部および東日本営業2部に移管。7月には、「中日本・西日本営業部」を「中日本・西日本営業1部」と「同2部」に改編した。
 これらの組織変更では、営業に関して、それまで動物病院(注1)とペットショップとで分かれていた担当者をエリアによる営業担当制に変更した。これによって、近隣で2人の担当者が活動していた状態から、対象エリアを1人が担当するという効率化を実現。ペットショップにおける保険加入率のアップにつなげることができた。1部制から2部制とした営業部では、よりきめ細かな対応を可能にしており、既存ペットショップ代理店に対するサポートとして「ペット保険加入の成功事例や推奨トークの紹介」などにも一層力を入れている。
 また、ペットショップ以外の代理店としては、地銀や信金などが増えており、44の金融機関がドアノック商品として活用。その他には、生協、自動車のディーラー、他の保険会社(ソニー損保・朝日生命など)があり、代理店総数ではペットショップを上回っている。そちらについては企業営業部が担当しており、勉強会の開催や募集ツールの提供などを行っている。
 日本におけるペットの飼育頭数は2008年の2399万頭をピークに減少傾向にあるが、ペット保険市場全体の契約数は毎年2桁の伸びを見せる。普及率(飼育頭数に占める保険契約の割合)は5.4%(注2)程度で、加入が進んでいる英国の推計25%などと比べると拡大の可能性は高い。同社の保有契約・新契約は、共に右肩上がりで、17年3月期は「保有契約63万件、新契約11万8000件」を見込んでいる。
 一方、国内のペット保険提供会社の中でシェアが約6割と最も高い同社は、販売チャネルによる損害率に偏りが見られることを課題の一つと認識している。ペットショップ経由のNB契約に比べて、すでに飼っているペットの場合の損害率が高いこともあり、「ペットショップでの取り扱い拡大・付保率向上」を重視。さらに、「予防」(病気やけがを防ぐための取り組みやサービス)という新たな価値の提供にも着手しており、そこから損害率の改善につなげ、「無事故契約者」や「事故の少ない契約者」の継続率向上も図っていく計画だ。
 (注1)動物病院への営業とは、主に同社のペット保険を取り扱う「対応病院」(今年9月末時点で6011病院)へのフォローやサポートなど。
 (注2)『2016年ペット関連市場マーケティング総覧』(富士経済)による。

 
[2016-11-01]
 サイバーセキュリティクラウドがサイバー保険付帯の新サービス開始

 サイバーセキュリティクラウド(東京都渋谷区、新田憲佑社長)は、損保ジャパン日本興亜とフィナンシャル・エージェンシーの協力の下、同社が提供するクラウド型WAFのセキュリティーサービス「攻撃遮断くん」にサイバー保険を自動付帯した補償付きサイバーセキュリティーサービスを12月1日から開始する。10Gbps以上のDDoS攻撃(注1)やゼロデイ攻撃(注2)によって発生した損害に対し、最大1000万円まで補償する。10月18日に赤坂ガーデンシティベクトルスタジオで新サービス発表会を開き、サービス概要などについて説明した。
 同社は2010年8月に設立。サイバーセキュリティー事業を展開しており、主にウェブサーバーへのあらゆる攻撃を遮断するクラウド型WAFのセキュリティーサービス「攻撃遮断くん」やリアルタイムにサイバー攻撃を可視化できる無料ツール「攻撃見えるくん」などの開発・運用・保守・販売を行っている他、サイバー攻撃対策コンサルティングなども展開している。
 発表会でははじめに、新田社長が新サービス開始の背景について説明。サイバー攻撃によるセキュリティー被害が重大化する中、さまざまなセキュリティーサービスが提供されているが、防御が困難なサイバー攻撃(10Gbps以上のDDoS攻撃やゼロデイ攻撃)が増加しているため、どんなに高度なセキュリティー対策を行なっていても“事故レベル”の攻撃にセキュリティーサービス提供会社は対応しきれないとし、「こうした問題を解決し、顧客が安心してセキュリティー対策できるよう、サイバー保険の自動付帯を開始する」と述べた。
 また、今後の展開については、「損保ジャパン日本興亜とフィナンシャル・エージェンシーと共同で、喪失利益や営業継続費用を補償する個別保険などを開発・提供していきたい」との考えを示した。
 続いて、山本裕貴プロダクトスペシャリストが補償内容を紹介。「攻撃遮断くん」を導入している顧客が10Gbps以上の大規模なDDoS攻撃やゼロデイ攻撃に起因して損害が発生した場合に、損害賠償金や争訟費用などの損害賠償と、事故調査費や情報漏えい対応費、記者会見費などの事故対応特別費用を最大1000万円まで補償(喪失利益、営業継続費用は対象外)することなどを説明した。
 SOMPOリスケアマネジメントERM事業部の落合正人部長は、企業経営のためのサイバーセキュリティーの考え方について解説。サイバーセキュリティーをやむを得ない費用ではなく、積極的な経営への投資と位置付け、企業としての挑戦と、それに付随する責任として取り組むことを強調した。また、ITの発展に伴い、今後も経営を取り巻く環境は大きく変わることが想定されるとして、企業の経営層には時代の変化に合わせたサイバーセキュリティーの対応が求められるとした。
 フィナンシャル・エージェンシーの齋藤正秀社長は、サイバー保険の必要性について、サイバー攻撃は多種多様なため、完全に防御することが困難なことから、損害賠償など万が一の備えとして保険の需要は高いとの認識を示した。また、日本ではサイバー保険の認知度が低いのが現状だが、近年は日本においても個人情報漏えいやセキュリティー事故が多発しており、それに加えてマイナンバー法が策定されたことで、サイバー保険への注目が高まっているとし、「サイバーセキュリティクラウドと損保ジャパン日本興亜と共に業界をリードし、国内におけるサイバー保険の普及に努めたい」と述べた。
 (注1)複数のクライアントから大量のパケットを送信することで、標的となるサーバーのサービスを不能にする攻撃。
 (注2)ソフトウエアの脆弱(ぜいじゃく)性を狙ったサイバー攻撃のうち、パッチなどの修正策が存在しない「未知」または「未公表」の欠陥を突く攻撃。


 

 (保険毎日新聞から抜粋)