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[2016-12-27]
 ジュネーブ協会、気候変動リスク対策で報告書を公表

 ジュネーブ協会はこのほど、「異常災害及び気候変動リスクに対する統合アプローチの重要性に関する報告書」を公表した。同報告書は、昨年12月に採択された「パリ協定」で気候変動の負の影響として起こる「損失と損害」への対処における保険の有効性について明記がなされたものの、沿海部の巨大都市への人口と経済の集中、国際的サプライチェーンの展開などによるエクスポージャーの増加、加えて気候変動に伴う巨大災害の発生頻度と規模の巨大化・広域化に歯止めが効かず、特に途上国では経済の発展に対して保険の普及が追い付いていないといった傾向がみられる状況を踏まえたもの。
 ミュンヘン再保険がまとめたNatCatSERVICEによると、1980年から2015年までの35年間で世界の巨大災害の総件数は1万5700件。このうち風水害など気候関連によるものが91%を占め、累計死亡者170万人の51%、累計経済損失額4兆ドル(440兆円)の79%を占める。付保割合を自然災害全体で見ると、経済損失額の約75%が保険でカバーされていない。スイス再保険によれば、付保対象外の経済損失総額の対GDP比率は過去30年間で0.02%から0.12%に上昇。このプロテクションギャップは特に低所得国で顕著であり、経済損失額の95%が保険でカバーされていない。
 また、世界銀行の調査によると、自然災害対応の保険の普及が進んでいる地域では巨大災害による経済的影響からの回復も早く、普及割合の低い地域では付保されていない損害がマクロ経済に負荷をかけている。また、S&Pは、250年に1度といった巨大災害が発生したケースで適切なリスク管理や付保が欠落していれば政府債権(ソブリン債)や企業の格付けにマイナスの影響があるだろうと指摘している。
 こうした現状に鑑み同協会は、保険会社が保険の普及、商品開発に継続的に注力するとともに、国際機関・政府など公的セクター、科学者コミュニティー、NGOなどとの連携を強めてそれぞれの専門性を活用しつつ統合的な対処アプローチの重要性を訴えることとし、次の四つの提案を示した。
 @リスク緩和とリスク移転の組み合わせに関する最良事例の紹介や、保険普及率と災害後の経済の強靭(きょうじん)性の関連を示すデータの整備などにより、巨大災害に関するリスクの認知を広め、統合アプローチの有効性、利点への理解を広める。
 A科学者コミュニティーとの連携を深め、保険業界のリスク知見をフルに活用して次世代のリスクモデルの開発に挑む。
 B今後各国でますます必要不可欠となる産業・社会インフラの強靭性を高めるために、保険業界はインフラの設計、施工、運営の全ライフサイクルに目を配りリスク移転のみならずインフラへの投資の視点からも貢献を志向する。
 C巨大都市の災害に対する強靭性を高めるために保険の役割をより有効に活用する。米国の大都市を襲ったスーパーストームやハリケーンによって、世界の大都市、特に沿海部の都市、自治体の防災意識が高まっている。チーフレジリエンスオフィサーという職務が世界の約70の巨大都市で設けられており、保険業界のリスクモデル作成やリスクプライシングの専門性を活用すべき余地も大きい。

 
[2016-12-26]
 明治安田生命 総代報告会で根岸社長報告、「お客さま満足度」目標達成

 明治安田生命の根岸秋男社長は、12月1日に東京都港区のザ・プリンスパークタワー東京で開催された2016年度総代報告会の中で、同社が取り組む「明治安田NEXTチャレンジプログラム(14〜16年度)」の経営目標の一つ「お客さま満足度」が目標数値に達したことを明かした。同社が最重要施策と位置付けて推進する「対面によるアフターサービス」が成果となって表れたかたちだ。
 「お客さま満足度」は、顧客の声を反映した業務改善を図るために2006年に開始したアンケート調査で測る指標で、明治安田NEXTチャレンジプログラムの経営品質(クオリティー)面での達成度合いを示す。「満足」と「やや満足」を合算した総合満足度で55%を目標に掲げていた。
 総代報告会で根岸社長は、経営目標の進捗(しんちょく)状況として総合満足度の速報値が前年の53.1%から4.7ポイント増えて57.8%になったと明かし、「公表前の情報だったが、(総代報告会の)前日に速報値が判明したので、総代の皆さまに最初にお伝えしたかった」と述べた。一方、「不満」「やや不満」「未回答」を合わせた不満足度についても、前年の9.7%から0.9ポイント改善して8.8%となり、調査開始以来、最も低い水準になったと説明した。
 同プログラムは、14年度からの3カ年計画で、ブランド戦略と成長戦略、それを支える経営基盤強化を3本柱とする中期経営計画と、“感動を生み出す生命保険会社”に向けた新たな企業風土構築の取り組みである「感動実現プロジェクト」から成る。ブランド戦略では、「安心ロードマップのお届け」「MY長寿ご契約点検制度の創設」「MY安心ファミリー登録制度」「Jクラブなどの応援を通じた地域社会の活性化」を推進し、成長戦略では、アドバイザー(営業職員)・銀行窓販・法人営業などの販売チャネルや、事務・サービス、また、3月に完全子会社化した米スタンコープ社をはじめとする海外保険事業といった各分野で取り組みを進めている。一方、経営基盤の強化では、資産運用、リスク管理、人事政策に注力している。
 根岸社長は、これらの取り組みの結果、運用環境の変化による影響を除いた「企業価値(EEV)」、個人営業での「保有契約年換算保険料」、法人営業分野の「団体保険保有契約高」「団体年金資産残高」といった各経営目標についても年々業績を伸ばしており、「プログラムの目標達成に向けておおむね順調に推移している」と総括した。

 
[2016-12-22]
 銀泉が新たな地震復旧費用保険、事業停止時の費用カバー

 銀泉(東京本社:東京都千代田区、安藤圭一社長)は、新たな地震復旧費用保険「銀泉ニュープロテクト」の取り扱いを12月1日から開始した(引受保険会社:スイス・リー・インターナショナル・エスイー 日本支店、以下SRIJ)。同商品は、罹災後、企業の事業が停止した場合に、事業継続のために最低限必要となる資金をカバーするもの。経常費と事業継続費用に対象を絞ったことで、廉価な保険料を実現している。日本では大規模地震が相次いで発生しており、企業向け地震保険へのニーズがさらに高まっていることから、同社では地震対策ソリューションの一つとして積極的に販売していく方針だ。
 同商品は、罹災後90日間の経常費と事業継続費用が対象となる。経常費とは、損益計算書またはこれに類する財務諸表上の販売費、一般管理費、売上原価または製造原価、営業外費用のうち、支出が免れなかった費用をいい、事業継続費用は損益計算書などで算出される経常費を基に、想定事業継続費用金額を契約時に定額で協定する。1契約につき最低保険料は300万円からで、支払限度額は1億円から5億円まで、1000万円単位で設定が可能だ。
 保険金の支払い対象は、@保険の対象施設内の建物・施設に損害有A契約時に設定する地震計(最大3カ所)で震度6弱以上を観測B財物損害により事業が3日間を超えて完全休業(敷地外ユーティリティー設備の機能停止・阻害の結果による完全休業を含む)―の3要件を全て満たした場合となる。保険期間は1年間(1年契約のみ)で、てん補期間は保険金の支払い要件に該当する地震発生日から完全休業が終了するまで(90日間を限度)となる。
 東日本大震災以降、国民の地震に対する関心は高まっている。そうした中、政府や保険業界をはじめ、さまざまな関係団体が地震保険の必要性を啓発しており、個人向け地震保険は加入件数が着実に増加している。また、東日本大震災や熊本地震において、事業停止による利益・費用損害が財物損害を大きく上回る事例が多数発生したため、企業の事業継続のリスクヘッジとして企業向け地震保険への関心も高まっている。しかし、企業向け地震保険は火災保険や他の保険商品に比べて保険料が高額な他、保険会社の引受補償限度額に制限があるため、企業ニーズの高い利益・費用損害をカバーする地震保険の手配は難しく、個人向け地震保険に比べて加入率が低いのが現状だ。こうした課題を解決するため同社は、企業向け地震保険の引き受けで実績のあるSRIJの協力を得て「銀泉ニュープロテクト」を共同開発した。
 同社では今後、中小企業の既契約者を対象に、地震対策ソリューションの一つとして「銀泉ニュープロテクト」を案内する一方、新規顧客のドアノックツールとして提案していく方針だ。また、財物リスク、事業中断リスク、物流リスク、賠償責任リスクを中心に、企業活動におけるリスク実態を現場調査やヒアリングによって把握・分析し、定量・定性評価する「銀泉最適保険プログラム(大・中堅企業向け)」「銀泉最適保険プラン(中小企業向け)」を提供している他、地震リスクについては、同社グループの銀泉リスクソリューションズが東電設計と共同開発した「地震リスク評価システム」に加え、「BCP策定支援サービス」を提供していることから、これらのサービスを通じて企業の地震対策を支援していくとしている。
 井上専務執行役員は「早期復旧が遅れた場合は企業の信用力に影響する。首都直下地震や南海トラフ地震など、今後も大規模地震の発生が懸念される中、特に中小企業においては地震対策が十分ではない企業も多いため、顧客のリスク実態に見合った最適な保険設計とサービスの提供に努めていきたい」と強調する。
 また、東京法人営業推進部の夜久部長は「これまでの企業向け地震保険では中小企業の要望に応えられない部分があったが、今回開発した商品であれば、これまで引き受けが難しかった地域や物件にも対応できる」として、今後の販売への意欲を示している。

 
[2016-12-21]
 さくら少短とNFC、なでしこ保険を共同開発

 さくら少額短期保険とニュートン・フィナンシャル・コンサルティング(NFC)は告知なしで加入できる女性のための商品として「なでしこ保険」(無告知型女性特有疾病一時金保険)を共同開発し、12月1日からNFCが先行販売を開始した。同商品のコンセプトは顧客のメーンの保障に簡単に上乗せできる商品であることで、女性特有の七つの病気を保障し、年代別にリスクが高い病気については倍額保障する。保険料は全年齢共通とし、20歳から79歳まで申し込みできる。さくら少額短期保険によると、無告知で加入できる女性特有疾病一時金保険は業界初という(2016年11月現在)。

 女性がん患者の約3割(注)が、女性特有のがんに罹患(りかん)しており、女性のがん患者数が多い部位として、乳がん(20.4%)・子宮がん(7.4%)・卵巣がん(2.6%)が挙げられるという。こうした中、さくら少額短期保険は女性特有のがんに対する保障だけでなく、リスクが高い特定の病気から女性をサポートする重要性が高まっていると考え、幅広い年齢層の顧客をサポートできるよう、健康告知の必要がなく保険料は全年齢共通の新たな保険をNFCと共同開発することとした。
 同商品は被保険者が責任開始日以降の保険期間中に発症した疾病が乳がん、子宮頸(けい)がん、子宮体がん、卵巣がん、子宮平滑筋腫、子宮内膜症、卵巣のう腫の7種の疾病のいずれかと診断確定され、かつ、当該疾病を直接の原因として、▽初めて治療(入院しての治療を含む)を受けた場合、あるいは▽前回の支払事由が発生した日から起算して180日を経過した日以降に入院した場合―に、女性特有疾病一時金として5万円を支払う。
 また、割増一時金として、年代別にリスクが高い病気を倍額保障する。女性特有疾病一時金が支払われる場合で、年代別に定めた特定3種の疾病(【20―29歳】子宮頸がん・卵巣のう腫・子宮内膜症【30―39歳】子宮頸がん・卵巣のう腫・子宮平滑筋腫【40―79歳】子宮体がん・卵巣がん・乳がん)に該当したとき、5万円を支払う。年代の判定に当たっては 治療または入院を開始した時点の年齢を用いる。
 責任開始日から180日以内は経過期間に応じ、支払金額が削減される。責任開始日からの期間60日までは支給割合30%、61日から180日まで70%、181日以降100%となる。
 保険料は全年齢共通で月払い400円。年払いの場合、4000円で2カ月分の保険料を割り引く。保障対象者は日本国内に居住している満20歳〜79歳までの女性で契約の更新は満79歳までとなる。保険期間は1年。
 保険金は診断確定し、かつ、初めて治療を受けた時点で請求できる。原則として、さくら少額短期保険に書類が不備なく到着した日の翌日から、その日を含めて5営業日以内で支払う。病気と診断された場合、治療費や入院費の他にも、さまざまなことに費用が掛かるものの、同保険であれば、入院日数や手術に関係なく、一時金を受け取ることができ、使い道を自由に選択できる。
 なお、さくら少額短期保険とNFCは「今後も協力体制をとり、お客さまのニーズに合った商品を開発・提案することで一人でも多くのお客さまの役に立ち、一生涯お付き合いいただけるよう、お客さま満足度の向上に取り組んでいく」としている。
 (注)がん研究振興財団「がんの統計2015年版」部位別がん罹患数(2011年)より

 
[2016-12-20]
 損保協会 北沢会長が来年を展望、レジリエントな社会づくり

 損保協会の北沢利文会長(東京海上日動社長)は12月15日、日本銀行で行われた定例会見の中で、今年の振り返りと来年の展望を述べ、「レジリエントな社会づくりに取り組んでいきたい」との抱負を述べた。損保業界で果たすべき役割として、地震リスクに対する国民の理解促進、保険会社の健全性確保、迅速な保険金支払いの3点を挙げ、注力していく考えを示した。
 北沢会長はまず、今年を振り返り、「先が見通しにくい時代であることをあらためて印象付けられた」と感想を述べた。従来、必ずしもリスクが高いと思われていなかった熊本や鳥取での大地震の発生や、台風の太平洋側から東北地方への上陸や北海道への三つの上陸といった観測史上初の事態を挙げ、自然災害の脅威がこれまでの延長線上にないかたちで全国に広がった1年だったとした。
 こうした自然災害リスクに対して、損保業界の果たすべき役割として@国民に自然災害リスクについて正しく認識してもらうとともに、損害保険の活用を含めた備えを促していくA複雑・多様化するリスクを保険会社がしっかりコントロールし、健全性を確保しながら社会のニーズに応える保険商品を提供していくB広域に発生する自然災害においても迅速に保険金を支払うことができる態勢を構築する―を挙げ、「三つの役割を果たすこと、いわば自然災害への挑戦を通じて、レジリエントな社会づくりに引き続き取り組んでいきたい」との考えを示した。
 一方、国内外の情勢については、英国のEU離脱を決定した国民投票や米国大統領選挙などで事前の予想と異なる結果となり、来年も英国のEU離脱交渉の開始、トランプ氏の米大統領就任、また、仏・独の選挙などが予定されており、政治や経済にかかる不透明感の長期化が想定されると指摘。他方、国内経済は、安定した政権の下、雇用・所得環境の改善や企業収益の向上が進んでおり、今後の個人消費の持ち直しや公共投資による経済成長の押し上げ効果も期待できるとしつつ、経済の好循環によって持続的な成長が定着していくためには、民間が自ら創意工夫し、生産性を高めて稼ぐ力を伸ばしていくことが重要との認識を示した。
 こうした状況下、損保業界としても、多発する自然災害や、サイバーリスクなどイノベーションに伴って生じる新たなリスクにも積極的に対応し、国民生活を下支えするよう努力していくとした。最後に「こうしたボラタイズな(変わりやすい)時代だからこそ、万が一の備えである損害保険が役に立つと考えている。当協会は来年5月に創立100周年を迎えるが、これからの100年も損害保険が役に立ち、必要とされる産業であり続けられるよう、しっかりとたすきをつないでいきたい」と結んだ。
 この他、同協会の活動報告として、@2017年1月の地震保険改定と同協会の取り組み:地震保険制度創設50周年記念フォーラム(9月5日開催)を契機とした業界を挙げての地震保険の加入促進・理解促進の強化、巨大地震の発生に備えた迅速な保険金支払いに向けた態勢の整備A損害保険・防災リテラシー向上への取り組み:消費者の損害保険への理解促進や地域防災力の向上のための「損害保険・防災リテラシーマップ」の作成、若年層から高齢者に至る年齢層別の啓発メニューの用意Bアジア保険市場の健全な発展に向けた取り組み:日本国際保険学校(ISJ)をはじめ、国際会議での情報発信や個別地域支援を通じたアジア保険市場の健全な発展に向けた保険技術協力の推進、17年5月に迎える同協会100周年を契機としたアジア各国・地域の保険監督官庁や損保協会などトップ層の東京への招待と、「アジア損害保険エグゼクティブフォーラム」の開催―などを紹介した。

 
[2016-12-19]
 チューリッヒ保険が代理店向けに新教育研修制度を提供

 チューリッヒ保険は2017年1月から、海外で事業を展開する企業向けのインターナショナル・プログラムに関して、同社と委託契約のある保険代理店・保険ブローカーを対象にした教育研修制度「Z―Metis(ゼット・メティス)」の提供を開始する。昨今、日本企業のグローバル化の進展に伴い、海外子会社のリスク管理に悩む企業が増えている。そこで同社では、これまでに蓄積した知見を生かし、海外進出企業に最適な保険プログラムを提案するための研修制度の実施を決定した。
 インターナショナル・プログラムは、国ごとに異なる諸規制を考慮した上で、全社の保険を一元管理する保険ソリューション。欧米では海外展開する企業のほとんどが導入しているもので、近年日本でも、企業のグローバル化とともにそのニーズは高まりを見せている。
 「Z―Metis」は1日当たり3時間の研修を4日間にわたって実施する研修プログラム。テーマは1日ごとに変わり、インターナショナル・プログラムの役割や必要性から、各国の付保規制、提案方法、プログラム組成、事故対応、ロスプリベンションの提案までを系統立てて解説する。
 会場は同社中野本社オフィスで、第1回は1月24日・2月7日・2月13日・2月21日、第2回は5月中旬〜6月中旬、第3回は10月〜11月の、年3回の開催を予定している。1開催当たり定員は10人で、参加できるのは1社から1人まで。研修終了後、筆記試験に合格するなど条件を満たした受講者には履修証明書が授与される。
 同社企業保険事業本部副事業本部長の大谷和久氏は本研修制度をスタートする背景として、15年に行われた会社法の改正の影響を挙げる。
 法改正によって、子会社のガバナンスやリスクマネジメントが取締役の責任として明文化されたため、多くの海外進出企業が、海外子会社のガバナンス強化を検討しているという。
 その一方で、代理店からは「顧客企業から相談を受けてもどう対応すればよいか分からない」「インターナショナル・プログラムを導入することの必要性は分かるが難しそうで手が出せない」といった声が寄せられていた。
 同社ではこれまでにも個別代理店向けにインターナショナル・プログラムの勉強会を開催していたが、1日の勉強会では制度を網羅的に説明することは難しいとの判断から、本研修制度の開催を決定し、半年前から準備を進めてきた。
 1開催当たりの定員を10人としたのには、双方向型の研修を実施することで、インターナショナル・プログラムのエキスパートを育成したいとの思いがある。同社グループでは、同様の研修をオーストラリアやシンガポールで先行導入しており、その経験と知見に、日本ならではのアレンジを加えた研修を提供する方針だ。
 大谷氏は「インターナショナル・プログラムに特化した代理店向けの教育研修制度は日本の保険業界においては初めての取り組みであり、代理店やブローカーは当社のノウハウを活用して新規のビジネス開拓や既存顧客のプロテクションに活用してほしい」と展望する。

 
[2016-12-16]
 16年度第2四半期業績、基礎利益上位8社全て減

 生命保険会社の2016年度4〜9月期業績が明らかになった。それによると、経常利益は住友生命を除き、上位5社(以下総資産順)中4社が減益、また本業のもうけを示す基礎利益は、上位8社全てが減益となり厳しい内容となっている。しかもこれら全社で2桁を超える減少率となった。日本生命は3241億円で18%、第一生命が1887億円で同じく18%、かんぽ生命は1944億円で19%の減少を記録している。
 保険料等収入では、上位10社中7社が前年同期比で減少したが、かんぽ生命、住友生命、東京海上日動あんしん生命が増加し、明暗が分かれた。日銀が採用したマイナス金利政策を背景に超低金利環境下、国内金利上昇時のリスクを抑制し財務の健全性を維持するため、多くの会社が貯蓄性の高い「一時払い終身」などの販売停止や抑制に動いたため、保険料等収入は減少した。
 日本生命が2兆3627億円で18%、明治安田生命が1兆3763億円で24%、第一生命が1兆3142億円で7%の減少となった。明治安田生命は団体年金の引き受け抑制などのコントロールも実施した。増加した住友生命では、平準払い個人年金が人気を呼び新契約が増加し、12%増の1兆6641億円でこの部門で第3位に躍進した。
 利息および配当金等収入は超低金利により、国内でも低調だったが、英国のEU離脱決定により上半期に円高ドル安が進んだ結果、外国投資からの利息や配当金が円換算時目減りすることも影響した。前年同期比で半減した会社も出て、現在順ざやの会社ですら、この傾向がさらに続くと逆ざやに転落するとの危機感が持たれている。
 新契約年換算保険料は、個人年金、就労不能保障の1UP、第三分野商品の好調など若年層の取り込みに成功した住友生命の増加が著しく57%と高い伸びで1146億円となり、かんぽ生命、日本生命に次ぐ水準。
 ソルべンシー・マージン比率は上位8社の中で2社が減少した。かんぽ生命が112.1ポイント減の1456.0%、明治安田生命が55ポイント減の883.5%となったが経営上はいずれも高い健全性を維持している。
 下半期は、日銀のマイナス金利政策が継続されるとみられ、貯蓄性の高い一時払い商品について、多くの会社が販売に踏み切ることは難しいとされている。為替は円安に振れているが、先行きの楽観は許されず、生保経営はさらに厳しさが増すとの考えが大勢。

 
[2016-12-15]
 アイアル少短が「ヘルスケア応援団」発売へ

 アイアル少額短期保険(東京都中央区、安藤克行社長)では、開発を進めてきた健康改善で保険料を割り引く医療保険を「ヘルスケア応援団」の名称で来年早々発売する。同社では「健康診断結果の提供がなくても、医師や薬剤師が介在した検査結果でも保険料を割引できるように」とドラッグストアとの連携を決め、福岡県北九州市を中心として43店舗を展開する潟Tンキュードラッグの代理店登録が完了次第販売をスタートさせる。
 「ヘルスケア応援団」は、健康になればなるほど割引される医療保険で、七大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、高血圧性疾患、腎疾患、肝疾患)による入院・手術を保障する。1年ごとに見直す保険で、四つの健康指標(BMI、血圧、血糖値、コレステロール)の数値が基準内であれば最大30%割引となる。
 従来の割引制度(健康優良体割引や非喫煙者割引)は、保険加入時の健康状態のみで判定されているが、同商品は保険加入時だけでなく毎年見直しされるのが大きな特徴。また、測定した数値をマイページで管理することで日々の健康をサポートする。
 同商品への加入には、健康指標の「確認資料」の提出が必要。「確認資料」とは、健康診断、人間ドック、血液検査などの結果通知書で、氏名、生年月日、性別、測定日が記載され、1年以内に測定されたもの。身長、体重、血圧については、「健康管理支援サービス」を通して取得したデータ(数値)で確認できた場合には確認資料の提出は不要。割引を実現するためのポイント(課題)は、「本当に本人の数値かどうか」「数値の改善が健康につながることが実証されているかどうか」だが、同社では、健康診断以外の「産業医が測定する体重や血圧」「薬剤師の面前での自己採血キットによる測定」などの数値も採用していく方針だ。
 商品の開発は、2014年に経済産業省の「健康寿命延伸産業創出推進事業」に採択されたことで検証事業としてスタートした。15年2月に同事業が終了し、同年3月には同省主催の「ヘルスケア産業最前線」で取り組み結果を発表。今年になって、商品申請と商品登録が完了した。
 同商品は、南アフリカ、ディスカバリー社の「バイタリティプログラム」を参考にしており「健康状態の継続的な告知」→「『保険料割引』というインセンティブ付与」→「健康への関心向上(意識改革)」→「生活習慣の改善(行動変容)」という好循環を生むことができる。
 安藤社長は「毎年見直す医療保険は、契約期間が1年間である少額短期保険との相性がよい。認可制である保険商品と違い、少短商品の審査は『登録制』であるという点でも商品の開発がしやすい。特定マーケット向けの専用商品として位置付けることも可能」と少額短期保険との親和性の高さに言及。まずはサンキュードラッグで顧客の健康指標管理を行う仕組みを構築し、同チェーン店のみを代理店とした限定販売を模索したが、より対象を広げるために、来年からは健診結果などの提出による申し込みも可能にする予定だ。
 安藤社長は「保険料を割り引くための数値については、歯の残存数、歩数、睡眠時間なども取り入れられるのではないか。商品開発における登録制という少短の強みを生かして、市場ニーズにできるだけ近い商品を開発していきたい」と今後も見据えている。

 
[2016-12-14]
 日本代協・日本創倫が「代理店Web監査」開発

 日本代協は日本創倫と連携し、「代理店Web監査」システムを開発した。改正保険業法で求められる体制整備の柱となる「内部監査」を全国どこの代理店でも実施できるように考案したもので、100項目のチェックシートと、スマホなどで撮影した確認書類を送信することで監査を行う。同サービスは来年1月からのスタートを予定している。
 日本代協は保険コンプライアンスオフィサー事業などを手掛ける日本創倫と連携し、来年1月から「代理店Web監査」システムを提供する。今年5月に施行された改正保険業法では代理店の体制整備義務を課しており、その中で内部監査が重要な鍵となることから開発を進めた。
既に大規模代理店では自社内に監査部門を設置しているが、小規模の代理店ではそこまでの対応は難しいのが現状だ。内部監査については、小規模代理店では当面「自主点検」でよいとされているが、より高い代理店品質を求めて外部の専門家の意見を取り入れて経営改善を図る動きもある。
 今回、開発された「代理店Web監査」では、年1回100項目のチェックにより、保険募集管理体制が整っているかの判断が可能だ。監査を希望する代理店は監査シートの100項目を確認し、その確認書類(台帳、帳簿、記録ファイルなど)をスマホなどで撮影して、監査シートと共に指定のウェブサイトに送信する。それらの資料を基に日本創倫の保険コンプライアンスオフィサー資格者が監査を実施する。監査結果は「監査報告書」「監査実施報告書」「検査評価シート」「監査記録シート」の4ファイルにまとめてCD―Rで代理店に郵送する。代理店サイドでは監査の結果から発見された課題について改善計画を策定し、是正・実行していくことでPDCAサイクルを回すことが可能となる。
 このシステムは代協会員だけでなく、全国どの代理店でも活用できる。監査人の交通費も不要で、また、監査する100項目のうち56項目は損保共通項目のため、乗合代理店は内部監査の負担軽減が期待できるという。監査内容についての相談・アドバイスも受けられる他、さらに訪問監査や体制整備支援サービスなどを希望する場合には別料金でのメニューが利用できる。
 同システムは募集人20人程度までの規模の代理店の利用を想定しており、利用料金は、初回に監査料として一般代理店6万円(代協会員5万円)とシステム登録初期費用(初回のみ)の計8万円(税別)、継続監査は年間契約5万円(税別)となる。

 
[2016-12-13]
 ダイレクト自動車保険9社16年度第2四半期業績

 ダイレクト自動車保険9社(ソニー損保、アクサ損保、三井ダイレクト損保、チューリッヒ保険、SBI損保、セゾン自動車火災、イーデザイン損保、そんぽ24、アメリカンホーム)の2016年度第2四半期(16年4月1日〜9月30日)業績によると、9社合計の元受正味保険料(イーデザイン損保は正味収入保険料)は前年同期比6.6%増の1602億円と堅調に推移した。9社中7社が前年同期実績を上回った。
 ソニー損保の自動車保険の元受正味保険料は前年同期比3.2%増の438億円と堅調な伸びを示した。保有契約件数は、主力の自動車保険とガン重点医療保険を合わせ、16年9月末で182万件となった。アクサ損保は自動車保険の元受正味保険料が同5.1%増の249億円だった。自動車保険の特約比例再保険の出再率の引き下げにより出再手数料が減少したものの、堅調な元受正味保険料の伸び、および広告宣伝費の投資効率改善による費用削減効果により、前年同期を上回る収益を達成した。
 三井ダイレクト損保は自動車保険の元受正味保険料が同2.7%増の183億円と前年同期比プラスで推移した。チューリッヒ保険の自動車保険の元受正味保険料は同1.1%増の181億円となった。成長戦略はほぼ計画に沿って進捗(しんちょく)しており、傷害保険と自動車保険で元受保険料が増収した。傷害保険の元受正味保険料は同7.3%増の185億円だった。
 SBI損保、セゾン自動車火災、イーデザイン損保の3社は増減率が2桁の伸びを示した。SBI損保の自動車保険の元受正味保険料は同12%増の160億円で、保有契約件数は約86万件と15年9月末比11%増加した。セゾン自動車火災は自動車保険の元受正味保険料が同30.6%増の159億円と大幅な伸びを持続。イーデザイン損保の正味収入保険料は同26%増の121億円だった。
 そんぽ24は自動車保険の元受正味保険料が同2.6%減の64億円だった。アメリカンホームの元受正味保険料(収入積立保険料を含む)は、保険商品の新規契約の販売活動の終了により、収入の約9割を占める傷害保険・医療保険の分野では同5%の減収となり、自動車保険は同20.3%の減収となった。

[2016-12-12]
 損保ジャパン日本興亜、ダイレクト計上申込書一次審査、自動化システム導入

 損保ジャパン日本興亜は12月12日から、ダイレクト計上した契約申込書の署名や押印、記載状況、添付書類の有無などについてスキャナを利用して自動的に確認する「一次審査自動化システム」を導入する。システムは、イメージ情報の処理に関するハード・ソフトウエアの開発などを行う潟vリマジェストと共同開発した。事務部門の業務効率化で生み出した余力をサービス品質の向上などに振り向け、顧客からの評価を高める狙いがある。
 ダイレクト計上は、自動車、火災、個人賠責保険を中心に同社の契約の約8割を占める計上方式で、代理店システム経由で申込書の作成、不備の解消、ホストシステムへの送信までを行う。契約締結後、速やかに保険証券を届けることができる他、営業部門や保険金サービス部では、社内オンラインでの契約検索が容易になり、顧客サービスや事故対応品質の向上などにつながっている。
 従来、契約内容の適切性を確保する観点から、ダイレクト計上した契約申込書の署名・押印、記載状況、車検証など添付書類の有無といった確認(一次審査)をスタッフが目視で行っていたが、同システムの導入で、大量の申し込み関連書類を一度にスキャンして自動的にチェックすることができる。
 同システムで使われるプリマジェストの高度な画像認識技術は、多種多様な帳票や、同じ帳票でもプリンター機種で印刷内容に差が出る帳票を高い精度で自動認識する。また、処理量の増加に柔軟に応えられるように、同システムをクラウド上(Amazon Web Service)に構築していることから、全国の事務集中オフィスでの稼働が可能。均質な審査やチェック漏れの防止など審査精度の向上が期待できるのに加え、業務効率化によって一次審査にかかる業務時間の約4割の削減が見込まれる。
 同社では5月から、これまで全国の営業店で行っていたダイレクト計上などの事務処理を全国13カ所に設置した事務集中オフィスに集約し、計上業務の効率化を図っていたが、今回、さらなる効率化や事務品質の向上を目的に同システムを導入した。導入を担当した事務企画部設計第二グループでは「業務の効率化や品質の向上を通じて『お客さま評価日本一』につながる最高品質のサービス提供を目指してきたい」としている。

 
[2016-12-09]
 アクサ損保、「フリック見積」利用が拡大、自動車保険の好調に貢献

 アクサ損保が今年5月に提供を開始した「フリック見積(R)」の利用者が増えている。同社では、「初めて自動車保険に契約する6等級の人」「大手社などの従来型保険会社の契約を継続している人」をメーンターゲットとして同サービスを開始し、想定通り利用・契約が伸長。同社ウェブサイトやLINE上の公式アカウントから利用でき、すでに複数回バージョンアップを実施するなど、継続して利便性を向上させている。セールス&マーケティング本部CRM部の斎藤博隆部長は「1、2年の間にバイク保険やペット保険にも拡大したい」と話している。
 「フリック見積」トは、スマホ画面上に一問ずつ選択項目を表示させて、項目ごとのカードを左右にフリック、さらに上に向かってフリックする操作で選択したい項目のカードを選ぶというもの。
 具体的には、「車の使用目的」についての質問では、「日常レジャー」「通勤・通学」「業務」の選択肢を左右にフリックして選び、選んだカードを上にフリックすることで回答が終了。続く質問「年間走行距離」「主な運転者(記名被保険者)」「補償の対象となる運転者の範囲」「主な運転者の運転免許証の色」「主な運転者の性別」「主な運転者の生年月日」「主な運転者のお住いのエリア」などについて答えていくことで保険料の見積もりができる。さらに、幾つかのアンケートに「はい」「いいえ」で回答することで顧客ニーズに合わせた補償内容や特約が提案される「おすすめ機能」も搭載している。
 斎藤氏は「自動車保険は差別化しにくい。図書カードやアイス券の配布など各社がほぼ同様のキャンペーンを行っており、代理店の施策、会社ウェブサイトや比較見積もりサイトなどでも突出した施策は見られない。そこで当社では、『分かりやすさ』をお客さまにとっての価値と捉え、一つの形としてこのサービスにたどり着いた」と話す。
 当初2カ月間の「パン田くんのフリック講座」の動画配信キャンペーンに加えて、ネット上のバナー広告、LINEアカウントを通じて認知度を高めており、既契約者からの紹介も増えている。同社の既契約者の主軸は首都圏在住の30〜50歳代で男性の比率が高いが、「フリック見積」の利用者は30〜40歳代をメーンとして幅広い世代で多く活用されており、女性も多いという。
 同社の主軸商品である自動車保険の元受正味保険料は2013年度408億2400万円、14年度442億3500万円、15年度471億3300万円と右肩上がりが続いており、今年度上半期は249億6200万円で前年同期比5.1%増と好調を堅持している。
 斎藤氏は「ダイレクト保険の最大のベネフィットは自分で見積もりができる点。保険会社によって保険料が違うということを知らない人も多い。より賢い選択肢があることに気付かずに既存契約を継続している人にバリューフォーマネーを提供したい。コールセンターに問い合わせいただくお客さまに対してもしっかりと情報提供を行い、当社のファンを増やす取り組みを続けたい」としている。

 
[2016-12-08]
 3メガ損保の9月中間決算、全グループが増益をマーク

 損保大手3グループの2016年4〜9月期の連結決算の内容がこのほど発表された。純利益では東京海上HDが1552億円、MS&ADHDが984億円、SOMPOHDが434億円で3グループとも前年同期を上回り、合計では2970億円、49%増加し、極めて高い増加率をマークした。正味収入保険料は前年10月に火災保険料を引き上げ、10年超の保険の販売を中止したことに伴う駆け込み需要があったが、今期はその反動で、減少に転じた。
 一方で自然災害に対する保険金支払いとして、熊本地震が発生したものの保険金総額を大きく押し上げるほどではなく、また前年は台風による被害が大きかったこともあって今期は減少した。
 正味収入保険料の減少より支払い保険金の減少幅が大きかったことにより、収支は改善された。
 東京海上HDの正味収入保険料はTMHCCが新規にPL連結されたものの、円高進行による海外保険会社の減収や国内損保事業の火災保険の減収により、前年同期比342億円の減収となった。
 経常利益は前年同期比972億円、親会社に帰属する中間純利益は同696億円の増益を記録した。
 MS&ADHDの国内損保の正味保険料は前年度実施した火災保険の商品改定および駆け込み需要の反動を主因にMSが前期比5.6%、ADが0.7のそれぞれ減収となった。
 しかし、英損保のアムリン買収による効果の2832億円が加わってグループとしては13.5%増収して1兆8393億円、3グループの中ではただ1社増収し、しかもトップとなった。
 SOMPOHDは純利益は434億円で52%の増加率を記録した。国内損保はアーンド・インカード損害率の改善などを主因に、保険引受利益が大幅に改善したことにより、円高などの市場環境要因があるが増益となった。
 通期の見通しとしては3グループとも正味収入保険料については火災保険の反動の期間が終了するのでその結果が注目される。
 また、米国の次期大統領がトランプ氏に決まり、彼の政府の政策がどのように日本の保険業界に波及してくるのかはっきりしない点や円の動向についても同様で今後を見通すことは難しいとしている。

 
[2016-12-07]
 チャブ損保が賠償パッケージ2商品発売、中小企業リスクを包括補償

 チャブ損保は12月1日、賠償責任保険のフルパッケージ2商品(製造業者向けの「製造Pro」、小売業などの店舗を運営する事業者向けの「リテールPro」)を発売した。いずれも、賠償リスクをまとめて補償する商品で、「基本プラン」と「ワイドプラン」を用意。「直近会計年度の売上高を基にした確定保険料」での契約となるため、保険期間終了後の保険料の確定精算の手間がかからない。同社では、中小企業向けに拡販していく計画で、11月には既存代理店向けの説明会をスタート。来年からは、新規代理店開拓のための商品としても活用する方針だ。
 同社は、「業務、商品・サービスに起因して、他人の身体障害、財物損壊に関わる事故が発生した場合、被害者から高額な法律上の損害賠償を求められる場合がある。取り巻くさまざまなリスクを一つの商品で総合的に補償したい」として、両パッケージ商品を開発した。
 両商品は、主契約で損害賠償金、損害防止費用、権利保全費用、緊急措置費用、協力費用、争訟費用の保険金を支払い、さらにセットした総合賠償責任拡張補償特約でより幅広い補償を提供している。パッケージ化したことで割安な保険料を実現しており、ISO9000シリーズ取得による割引もある。契約者は、補償の範囲(基本プランまたはワイドプラン)を選択し、支払い限度額、免責金額を設定。
 「製造Pro」の基本プランでは、漏水、昇降機包括、構内専用車両、初期対応費用など16項目を補償。事業所借用不動産損壊賠償の補償も提供する。ワイドプランではさらに9項目の補償があり、その中には、国外一時流出生産物補償、海外業務出張危険補償、通勤中自転車危険補償、製造業者業務過誤賠償補償、環境汚染賠償責任補償なども入っている。
 「リテールPro」の基本プランでは、「製造業Pro」とほぼ同様の補償に、来場者携行品補償と施設外看板等補償を加えた18項目を設定しており、ワイドプランでは、通勤中自転車危険補償、環境汚染賠償責任補償もセットしている。
 P&C本部新種保険部新種保険シニア・アンダーライターの堀田貴規氏は「ワイドプランを選択いただけば、製造・リテール事業者の賠償リスクを包括的に補償すると同時に付保漏れもなくなる。保険料も売上高一本で算出できるなどお客さまにとって不便のない商品のため、代理店も販売しやすい」と話す。
 自転車通勤者の増加を意識して開発した商品で、通勤中の自転車により、記名被保険者である企業が法律上の損害賠償責任を被るケースを考慮した賠償カバー(通勤者の個人賠償を補償するものではない)を設けた点も新しく、総合型に環境汚染賠償や製造業者向けの業務過誤の賠責(E&O)を付加しているのも同社ならでは。
 11月に社内向けの説明会を実施して支店による代理店対応を開始し、東京、大阪、名古屋ではビジネスデベロップメントのP&Cに特化した担当者によるセミナーもスタートさせた。来年からは既存代理店向けの勉強会などを随時開催する予定で、新たな代理店を増やすための施策としてセミナーにも注力していく。堀田氏は「両保険は、建設業以外向けとして、当社として初めて開発した賠償責任のフルパッケージ商品だ。中小企業のニーズとして把握していた補償全般をカバーできる保険で、現在約3000店ある当社の代理店に浸透させるとともに、新規の代理店も増やして拡販に結び付けたい」と意欲を見せている。

 
[2016-12-06]
 朝日生命 16年度上半期決算、営職・代理店チャネルが伸展

 朝日生命の2016年度上半期業績は、新契約業績が営業職員チャネル・代理店チャネル共に高伸展し、同社が注力する保障性商品の保有契約も着実に増加していることから、順調に推移した。収益面では基礎利益が前年同期を下回ったものの、経常利益は前年同期を上回る水準を確保。財務面ではソルベンシー・マージン比率が前年度末を上回るなど、堅調な推移となった。
 朝日生命の新契約年換算保険料(新契約+転換純増加)は前年同期比30.7%増と大幅に伸展。第三分野については同43.9%と大きな伸びを見せた。
 消滅契約年換算保険料(解約+失効+減額―復活)は110億円で前年同期比4.0%減となった。
 個人保険と個人年金保険の保有契約年換算保険料は5372億円で前年度末比0.3%減少。その内、第三分野部分は同3.0%増となり、第三分野部分の保有契約全体に占める割合は同1.1ポイント上昇して35.2%となった。
 保障性商品の保有契約年換算保険料は同0.9%増の3045億円。営業職員チャネルについては同0.4%増と引き続き堅調に推移。代理店チャネルにおける保障性商品の保有年換算保険料は同31.9%増と大きく伸展した。
 基礎利益は前年同期から73億円マイナスの76億円。費差損益は新契約業績伸展に伴う事業費支出の増加などを理由に、前年同期から23億円減少して23億円。危険差損益は保険金等支払金の増加により、前年同期から33億円減の402億円となった。逆ざや額についても、利息および配当金等収入の減少により、前年同期に比べて17億円増加し、348億円を計上した。
 経常利益は前年同期から20億円増の155億円、中間純剰余は前年同期から8億円増の107億円となり、共に前年同期を上回った。
 ソルベンシー・マージン比率は前年度末から15.5ポイント上昇して707.0%。実質純資産額は前年度末に比べて7億円増加し、9970億円となった。
 営業職員チャネルの好調の背景について同社は、4月に発売した「あんしん介護認知症保険」が9月末時点で約2万1000件と計画を上回る伸びを示したことと、介護保険「プライムステージ(介護保障定期保険)」の販売が好調だったと説明。
 代理店チャネルでは、15年5月発売の代理店チャネル専用商品「スマイルセブン」の年換算保険料が前年同期比128.1%増、引受基準緩和型医療保険「スマイルメディカル ワイド」が同184.5%増と好調だったことが業績を大きくけん引。同47.8%増の「スマイルメディカルネクスト」を含むスマイルシリーズ全体で前年同期から125.4%増となったと明かした。

 
[2016-12-05]
 日本IBMが「ERMソリューションセンター」新設

 日本アイ・ビー・エムは、保険業界におけるERM(統合リスク管理)、IFRS(国際会計基準)、ソルベンシー規制、ICS(国際資本規制)などへの対応に関する新業務やシステム構築などをワンストップで支援する「ERMソリューションセンター」を新設し、12月5日からサービスを開始した。これまで規制ごとに多大なシステム投資を要してきたERMなどの規制対応に対し、同社が持つフレームワークを基に、国内外の実績に基づいた知見・ノウハウを活用したERMシステム基盤を構築するとともに、コンサルティングサービスなどを提供することで、保険会社のERM業務構築における拡張性を保持した上でコスト削減の実現やERM経営の高度化を支援する。
 「ERMソリューションセンター」では、先行する欧州のソルベンシー規制対応での知見や国内で培ったERMやIFRS保険契約のシステム構築実績、銀行業における知見の他、欧州やシリコンバレーなどのエコシステムネットワークを生かした最新のテクノロジーを活用する。具体的には、新たな顧客体験を創出するためのアプローチである「IBM Design Thinking」を利用した構想計画(ブループリント)の作成支援、長期的な視点に立ったシステム化を中心とした基本構想策定業務、パイロットシステムによる事前評価、新業務構築のコンサルティング、ERMシステム構築支援などのサービスを提供する。
 構築するERM基盤においては、複雑で大量の計算処理を短時間で処理できる高い計算能力を備えたサーバー環境や、精緻化された過去・現在・将来予測データをリスク管理部門などが自由に検索し分析できる環境、経営者向けのダッシュボード機能などを提供する。また、四半期で膨大に膨らむデータ処理を分散するためのクラウド技術の活用をはじめ、「IBM Watson」に適用されているコグニティブ技術を活用した不正請求対応やレピュテーションリスク、リスク分析支援などに対応するためのソリューションを開発していく予定だ。
 国内保険業界では、規制やガバナンス強化、災害リスクの巨大化・多様化、ビジネス拡大などを背景に、経営基盤の強化としてERM経営への関心が高まっている。また、国際的な資本規制の強化に伴う対応として、新ソルベンシー規制、ICS、IFRSへの取り組みが重要な課題となっている。これらに対応するためには、規制ごとに対応するのではなく、長期的な視野に立った計画を立てるとともに、追加のIT投資を抑えて共通プラットフォームの業務環境を構築することが必要不可欠だ。
 同社では、保険会社がERMやIFRS、ソルベンシーなどへ対応するためのプロジェクト推進に当たり、ERMシステムの計画立案、ツール選定、システム化計画作成をはじめ、ERMなどの推進に必要となるDWH(データウェアハウス)の計画立案、要件定義、設計・テスト、保守まで支援してきた。また、保険数理システム、資産運用リスク管理システム、オペレーショナル管理システムなどの提供・導入支援の他、既に導入している他社のアクチュアリー関係システムと連動した全体のシステム構築なども行ってきた。
 今回、「ERMソリューションセンター」を構築したことで、これらのサービスがワンストップで提供できるようになるとともに、拡張可能な一つのERM基盤を構築すれば、規制ごとの対応にかかるシステム構築コストなどの削減になる他、一つの基盤で各種データの管理・分析が可能になり、ERM経営の高度化を実現する。
 保険サービス事業部保険ビジネスアーキテクチャ部の今野玲部長は「国内保険業界では損保会社が先行してERMやIFESシステムを導入しているが、多くの生保会社は検討段階といった状況だ。今後は新ソルベンシー規制やICSなどへの対応も求められることから、当センターを通じてサポートしていきたい」と言う。また、「グローバルなシステム上重要な保険会社(G―SIIs)の一部では、海外子会社の会計システムなども統一し決算の早期化を実現している。当センターを通し、国内保険会社のグローバル化や効率化、コグニティブなどの最新技術を用いたリスク管理の高度化に向けた強固な支援ができるよう、体制強化を図っていきたい」と話している。

 
[2016-12-02]
 住友生命 16年度上半期決算、新契約年換算保険料156%

 住友生命は11月24日の2016年度上半期業績発表で、新契約年換算保険料が前年同期比56.6%増加(1146億円)したと明らかにした。第三分野についても同9.9%増、保険料等収入も同12.4%増加した。また、営業職員チャネルの契約を年代別に見ると、若年層の新契約件数が同13.6%増加し、新契約の全体に占める割合も3割を超えた。基礎利益や利息及び配当金等収入は円高による外国債券利息の減少などで共に減少したものの、順ざやは確保した。
 新契約年換算保険料は、平準払いの個人年金保険の販売増加などを受け、前年同期比56.6%増の1146億円と拡大。15年9月に発売した就労不能保障「1UP」の効果もあり、第三分野も同9.9%増の205億円となった。20〜30代の若年層の取り込みにも成功しており、営業職員チャネルの新契約状況を見ると、契約件数13万3000件(前年同期比13.6%増)、新契約件数に占める割合31.5%(前年同期25.8%)と上昇した。
 保有契約年換算保険料については、同じく平準払い個人年金保険の販売増加などを背景に前年度末比2.5%増加の2兆2475億円。第三分野も同1.1%増の5255億円となった。解約と失効年換算保険料については、前年同期比28.3%減の340億円と改善した。
 収支状況を見ると、保険料等収入は前年同期比12.4%増(1兆6641億円)となったものの、新契約に伴う初期費用などの増加や円高による外国債券利息の減少などにより基礎利益は同19.7%減少(1338億円)。利息及び配当金等収入も同様の要因で同2.3%減の2784億円となった。順ざや額は58億円減少し、39億円。
 内部留保は前年度末比1464億円を積み増し、1兆5747億円。ソルベンシーマージン比率は、その他有価証券評価差額金が減少したものの、内部留保の積み増しや劣後特約付社債の調達による財務基盤の強化で前年度末から10.8ポイント増加し846.2%と引き続き十分な水準を維持している。
 メディケア生命と米国のシメトラ社を合算した住友生命グループのEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)は、新契約の獲得などの成果があった一方、金利低下などの外的要因を反映し、前年度末比1462億円減少の2兆7903億円。
 営業職員のレベルアップを目的に展開している「四半期採用・育成運営」が着実に成果を挙げており、来年度は5年在籍率25%の目標をほぼ達成できる見込みだ。営業職員の高度なコンサルティングやサービスを土台に「1UP」の販売件数が累計40万件を突破。特に若年層マーケットの開拓に貢献した。また、今年7月には新たなマーケット開拓に向けた「健康増進型保険」の開発プロジェクトをスタートさせた他、17年4月には中小法人マーケットの深耕を目的に営業職員チャネルでエヌエヌ生命の法人向け事業保険商品を販売する予定だ。一方、金融機関等代理店では、若年層・資産形成層に向けた平準払い商品の販売に注力。過去最高の15万件となり、取扱金融機関も9月末で199機関と拡大した。来店型保険ショップ「ほけん百花」は9月末時点で73店舗。
 海外事業に関しては、今年2月に完全子会社化したシメトラ社がグループ業績に寄与。将来シナジーの発揮につなげる目的で資産運用、商品開発などの専門分野別会議を実施するなど、相互のノウハウを共有する。中国やベトナム、インドネシアの新興国市場においては、出資先3社がいずれも堅調に推移している。
 資産運用の高度化に向けた取り組みとして、4月からポートフォリオを二つに区分し、それぞれの運用目的に応じた収益向上とリスクコントロール強化を図り、資産運用の高度化を推進。10月には組織改編し、各ポートフォリオの運用を担うALM証券運用部とバランスファンド運用部を新設した。外部委託も活用し、投資対象の多様化や運用ノウハウを取り込むとともに、外部機関へのトレーニー派遣や中途採用などを通じて専門人材を育成しながらより強固な運用体制を構築していく方針だ。

 
[2016-12-01]
 東京海上日動が営業活動支援アプリを開発、代理店支えるインフラ提供

 東京海上日動はこのほど、代理店の営業活動を支援するアプリ「モバイルTNet」を開発した。これまでPCやタブレット端末を通じて確認していた顧客情報をスマートフォンから参照できるようにしたのに加え、顧客対応履歴を簡単に記述する機能や、代理店スタッフの行動予定や営業活動で役立つ情報を共有する機能などを設けた。タブレット活用による募集手続きの標準化など体制強化に取り組んでいる代理店に有効なインフラとして、対象代理店を順次拡大していく。
 代理店は、スマートフォンにモバイルTNetをダウンロードすることで、営業活動の現場に顧客情報を手軽に持ち運びでき、顧客接点の強化が図れる。情報は電話、メール、SMS、地図と連動しており、募集活動の効率化にもつながる。
 また、スケジュールに顧客情報が連携されているので、顧客との面談の後に、対応予定日時などの情報を引き込んで、対応結果を簡単に記録できる。会話形式の入力支援や音声入力機能があることから、スマートフォンの入力が苦手な人でも5〜6回のタップで記述が完了する。スタッフ同士のスケジュールは共有可能で、組織的な顧客対応力の向上に効果を発揮する。
 この他、うっかり忘れを防止するスマートフォンのアラームを使ったリマインド機能や、代理店内のコミュニケーションを活性化するメッセージ機能も搭載する。メッセージ機能では、既読機能があり、チャットのような操作感によりスムーズな情報連携が期待できる。
 近年、保険業法の改正や少子高齢化など外部環境の変化に伴い、代理店では顧客対応履歴を記録・共有することの重要性が一段と高まっているが、目の前の業務に追われて時間が割けず、思うように進まないケースがあった。一方、顧客からの評価を保つためには、組織として顧客を守る体制の構築が不可欠であり、そのために必要なスタッフ同士の行動予定や各種情報の共有、顧客情報の蓄積と活用、モバイルワークの推進による組織的な業務効率化と行動量拡大といったことが今まで以上に求められていた。同社では、こうした課題を分析し、代理店の品質向上と成長をサポートする目的で新アプリを開発した。
 アプリ開発を担当したビジネスプロセス改革部・企画グループの毛利正士課長は「いつでも手軽に操作でき、代理店実務に役立つアプリを目指した。当社は近年、タブレットの活用を通じてお客さまとの面談時のプラン提案、情報提供、ニーズ喚起などを支援してきた。今後はモバイルTNetを通じて、組織としてお客さまをお守りする体制構築についても、サポートを強化していく。年々高度化するお客さまの要望に応えていくだけでなく、地域に密着して仕事ができ、いざというときにお客さまから頼られ、感謝されるという『代理店業の魅力』を高めるためにも、モバイル・音声認識・チャット・AIといったデジタル技術を積極的に活用していきたい」としている。


 

 (保険毎日新聞から抜粋)