2018.03.06 日本生命、マスミューチュアル生命を買収 グループ挙げ窓販強化

 日本生命は3月2日、東京都千代田区の同社丸の内ビルで行われた記者発表会で、マスミューチュアル生命の買収を明らかにした。同社と、マサチューセッツ・ミューチュアル・ライフ・インシュアランス・カンパニー(米国マスミューチュアル)、マスミューチュアル・インターナショナル・エルエルシー(MMI)との間で、マスミューチュアル生命の発行済株式の約85.1%をMMIから取得することで合意した。金融庁による認可等を経て、マスミューチュアル生命は日本生命の子会社となる。統合後、マスミューチュアル生命の代表取締役社長は現社長の井本満氏が継続し、日本生命は、マスミューチュアル生命に対して、取締役・監査役を派遣する。日本生命では、金融機関窓販領域でのマスミューチュアル生命の強みを生かし、国内経営基盤の一層の構築を図る。

 統合手続きの完了は5~6月ごろの見通し。MMIは、引き続きマスミューチュアル生命の発行済株式の約14.9%を保有し、マスミューチュアル生命の事業の円滑な移行とさらなる発展に向けたサポートを行う。
 株式取得金額は、約1042億円となる見込み。日本生命はマスミューチュアル生命の事業内容や資産内容について慎重に分析と検討を重ねた結果、「株式取得金額は公正かつ妥当」としている。株式取得資金は同社の手元資金で対応する。
 日本生命では、今回の統合は、中期経営計画における「超低金利下での収益性の向上」「グループ事業の着実な収益拡大」に大きく貢献するものと捉え、三井生命、マスミューチュアル生命と共に、金融機関窓販マーケットにおける顧客からの要望に幅広く応える体制構築を目指していく方針。統合を通じ、グループ事業の収益を拡大し、事業基盤を強化することで、契約者利益の持続的な拡大に努める考えだ。
 記者発表会で、日本生命の三笠裕司取締役常務執行役員は、国内外でグループ事業の強化を進めているが、契約者利益の最大化に向けては、確固たる国内経営基盤を築くことが重要だとし、「マスミューチュアル生命は金融機関窓販領域で強みを有しており、当社の国内経営基盤をさらに強固なものにする大きな一歩になる」と強調した。
 今回の経営統合に向けては、米国マスミューチュアルやマスミューチュアル生命と国内生保マーケットの課題や今後の展望などについて共有し、信頼関係が構築できたとして、「今後はグループ一体となり、両社の契約者利益向上と国内生保マーケットの健全な発展に貢献していきたい」と述べた。
 マスミューチュアル生命の井本社長は、今回の経営統合が同社の経営基盤のさらなる安定に、また、日本生命のブランド力や信頼度が同社の顧客に対する安心につながるとの考えを示した。今後は日本生命グループの一員として、富裕層の相続・贈与ニーズに対する商品開発、証券会社やメガバンク等の販売チャネルに対するサポート、販売支援体制などを強化し、日本生命グループの価値やプレゼンス向上に努めていきたいとした。
 MMIのエディ・アーメッドCEOは「当社は新たな進化の一歩を踏み出す段階を迎えている。経営統合により、マスミューチュアル生命は日本生命の強固な財務基盤の支援の下、販売力や商品組成力などとともに、さらに成長していくと信じている」と語った。
 また、米国マスミューチュアルでは、海外成長戦略においてパートナーシップも重視していることから、今回の経営統合はその海外成長戦略の展開においてもさらなる飛躍につながると述べた。
 日本生命では、統合後の日本生命グループの金融機関窓販領域での事業戦略の基本方針として、①日本生命、三井生命、マスミューチュアル生命は、グループ一体となって、顧客本位の業務運営の一層の推進に資するため、各社が強みを有する領域を中心とした商品開発を通じ、多様化する顧客ニーズに対し、迅速にきめ細やかに応える体制を構築する②グループとしての効率的かつ効果的な金融機関サポート・販促体制の構築や、各社の協業等を通じたシナジー追求、その他の取り組みを通じて、グループ価値の最大化を目指す―の2点を挙げた。
 中期経営計画・顧客本位の業務運営に係る方針の下、日本生命は、超低金利環境下でも顧客の多様な要望に応える商品・サービスの開発に取り組んでいる。特に、金融機関窓販領域では、人口減少・高齢化やマイナス金利等の影響により、顧客ニーズ・マーケットが急速に変化。円建て商品の販売停止等を踏まえ、外貨建て商品の競争が激化している。こうした環境の中、多様化する顧客ニーズに対応するためには、充実した商品ラインアップや金融機関へのサポート体制が不可欠と判断。これまでも、別会社を活用した幅広い商品開発体制と金融機関サポート・販促体制を構築することを検討してきた。
 一方、マスミューチュアル生命は、2004年の金融機関窓販マーケット参入以降、商品開発力等を生かし、主として富裕層の相続・贈与ニーズに応えることに注力。統合に当たり、マスミューチュアル生命では、窓販マーケットで両社はそれぞれ異なる領域で強みを有することから、相互補完等によるシナジーを発揮して、成長を実現できるとしている。