2024.04.24 あいおいニッセイ同和損保 会社役員賠償責任保険の特約 「ESGに関する特約」提供開始 マーシュのESGリスクレーティングを活用

あいおいニッセイ同和損保は3月29日、会社役員賠償責任保険でマーシュジャパン㈱のESGリスクレーティングを活用した「ESGに関する特約」の引受けを本格的に開始したと発表した。

昨今、世界的なESG投資への関心の高まりを受けてESG市場が拡大しており、日本国内の企業においてもESG経営に対して注目が集まっている。また、ESG経営の中でもカーボンニュートラルへの取り組みに関しては、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを日本政府が宣言するなど、すべての企業にとって重要な課題となっている。そこで、あいおいニッセイ同和損保は企業のESG経営を後押しするため、マーシュジャパンが提供するESGリスクレーティングツールを活用して企業のESG取り組みを評価し、スコアが一定の水準以上の場合に「ESGに関する特約」を提供することとした。
「ESGに関する特約」は会社役員賠償責任保険に付帯する特約で、「ESGに関する訴訟補償条項」および「カーボンオフセット費用補償条項」で構成される。
「ESGに関する訴訟補償条項」は、コーポレート・ガバナンスに関する報告書に基づいた損害賠償請求について、会社有価証券賠償責任補償特約の支払限度額を増額して補償するもので、支払限度額は契約ごとに個別に決定する。補償事例として、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書において、サステナビリティについての取組開示内容に記載誤りがあったため投資判断を誤ったとして、会社が投資家より損害賠償請求を受けた」といった事例が示されている。
「カーボンオフセット費用補償条項」は、火災等の偶然な事故によって生じた温室効果ガスの排出量増加分または予定削減量減少分に対して、カーボンオフセット費用(J―クレジット購入費用)を会社が負担した場合の費用損害を補償する。補償内容は契約ごとに個別に決定する。補償事例として、「落雷によって太陽光発電装置が破損。カーボンニュートラルの取り組みとして太陽光発電を使用した温室効果ガス排出量の削減を行っていたが、事故によって温室効果ガスの予定削減量が減少。年間の排出量目標が達成できなくなったため、本来予定していた削減量に対する減少分の補てんを目的としてJ―クレジットを購入した」といった事例が示されている。
なお、マーシュジャパンが提供するESGリスクレーティングは、企業の環境・社会・ガバナンスのパフォーマンスを測定し、ESGリスクの改善への手立てを探り、より効果的なリスクマネジメントと保険手配を支援する自己評価システムで、2022年6月から日本語版の無償提供を開始している。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)など、国際的な10以上の基準や枠組みに基づき18の主要ESGテーマを網羅した160の質問に答えると、①ESGリスク総合評価(10点満点)②環境/社会/ガバナンスそれぞれの項目ごとの評価(10点満点)③18の質問テーマごとの評価(10点満点)④ Controls/Reporting/Resilience の観点に基づいたESGパフォーマンス評価の4項目についてレポートが提供される。業種によっては、該当しない質問が含まれることが想定されるため、評価に当たっては、同社独自の知見に基づいて、業種別に異なる重み付けを行っている点が特徴だ(以上、あいおいニッセイ同和損保のニュースリリースおよび本紙22年7月27日付記事による)。