2023.08.04 損保協会 損保会社16社統一フォーマット、質権帳票作成ツールを提供開始

損保協会は7月18日から、住宅ローンを取り扱う金融機関等質権者向けに、火災保険を取り扱う損保会社16社統一フォーマットで質権帳票を作成できる「損保質権帳票作成ツール」の提供を開始した。

金融機関等が住宅ローン等を取り扱う際、債務者の借入金の担保として債務者が契約する当該物件の火災保険の保険金請求権に対して質権を設定する場合がある。その際、金融機関等(質権者)と損害保険会社では「質権設定承認請求書」等の帳票を用いた手続きを行っている。
同手続きでは従来、損保会社ごとにレイアウトや記入要領の異なる質権関連帳票を作成・提供していたため、質権者には帳票の使い分け・取寄せ負荷や、記入誤りによる不備対応等の負荷が発生していた。また、質権者が独自の帳票を使用する場合は、損保会社の審査事務等が煩雑となり、承認および保険金支払いに時間を要するケースも発生していたという。
「損保質権帳票作成ツール」は、このような質権者と損保会社の課題を解決するため、損保協会で損保会社各社の質権関連帳票をとりまとめ、レイアウト、記入項目、記入要領を統一した「損保質権帳票」を作成できるようにしたMicrosoft Excelのツールだ。
対象となる帳票は、「設定」に関する▽質権設定承認請求書▽被保険者明細書▽質権順位の約定書、「消滅」に関する質権消滅届出書、「移転」に関する質権移転承認請求書、「転質」に関する転質権設定承認請求書、「その他」の質権者取扱店等変更通知書―の7種類。同ツール一つで、参画保険会社(16社)の質権関連帳票を最大7種類作成できるため、質権者の事務効率化につながるほか、「損保質権帳票」を広く使用することで損保会社の審査が迅速化し、早期承認・契約計上および早期の保険金支払いにつながることになる。損保協会によると、80%の金融機関から同ツールについて「利用可」の回答を得ているという。
同ツールは損保協会ホームページに掲載中で、金融機関(質権者)は7月18日から「損保質権帳票」を使用できるようになっており、同協会では12月末をめどに既存帳票から切り替えるよう呼び掛けている。
参画保険会社は次のとおり(7月18日時点)。
▽あいおいニッセイ同和損保▽AIG損保▽共栄火災▽ジェイアイ傷害火災▽セコム損保▽セゾン自動車火災▽損保ジャパン▽大同火災▽東京海上日動▽日新火災▽三井住友海上▽明治安田損保▽楽天損保▽Chubb損保▽現代海上火災▽ニューインディア保険。