2023.07.11 T&Dホールディングス 定時株主総会 生命保険3社の新契約事業は好調に推移、クローズドブック事業等新事業領域も加速

T&Dホールディングスは6月28日、京王プラザホテル(東京都新宿区)で第19回定時株主総会を開催した。上原弘久社長は、2022年度については、生命保険3社の新契約事業はともに好調で、新契約価値も堅調に推移していると説明し、「グループ長期ビジョン2年目は、25年度の目標達成に向けて着実に歩みを進めた1年となった」と報告した。総会への出席者は62人。剰余金処分の件、監査等委員でない取締役7名選任の件、の2議案が審議され、いずれも承認された。事前質問として、22年度の決算と、女性取締役の増員についての質問が寄せられ、会場からは、IFRS適用に関する検討状況や、資本効率・企業価値向上に向けた対応策等に関する質問が寄せられた。

22年度の事業報告では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う入院給付金等の支払い増加があったものの、コロナ禍を契機とした保障ニーズが底堅く推移したほか、海外金利の上昇に伴う外貨建保険の販売増等によって新契約業績は底堅く推移したと説明。
新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う医療機関のひっ迫等の社会情勢を鑑み、生保3社では、柔軟な保険約款の解釈・適用により、本来必要である入院治療を受けられない顧客に対しても保障を確実に提供し、保険本来の役割である万一の場合に備えた保障を提供するという社会的使命を果たした、とした。
同社グループでは21年度から、グループ長期ビジョン「Try&Discover2025~すべてのステークホルダーのしあわせのために~」を掲げ、成長戦略として、①コアビジネスの強化②事業ポートフォリオの多様化・最適化③資本マネジメントの進化・高度化④グループ一体経営の推進⑤SDGs経営と価値創造―の五つの重点テーマを定めている。
この五つのテーマに基づいた生保3社の取り組みについても紹介した。
コアビジネスの強化については、太陽生命では、22年5月に、健康状態に不安のある人にも手厚い保障を届けるため、告知緩和型死亡保険と、選択緩和型先進医療保険を発売。大同生命では、予期せぬリタイアへの備えと、健康経営の推進の機能を一体化し、死亡、重大疾病、就業障がいを一つの商品で保障する「会社みんなでKENCO+」を提供している。T&Dフィナンシャル生命では、顧客一人一人のニーズに寄り添った新機軸の資産形成型商品「ハイブリッドつみたてライフ」を22年4月に発売した。
事業ポートフォリオの多様化・最適化の面では、T&Dユナイテッドキャピタルが、クローズドブック専業保険会社であるフォーティテュード社の約25.9%の持分取得を通じて、同社事業に参画している。同社は米国市場で保険商品の保有契約ブロックを取得し、バリューアップにより収益を獲得するクローズドブック事業を軸とする成長戦略を推進しているが、国内生保等のクローズドブックの取得を複数件進めるなど、今後拡大が期待される国内クローズドブック市場でのプレゼンスを徐々に高めている。
また、新領域への挑戦として、22年6月には、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドを設立し、ヘルスケアやインシュアテック等の領域で先進的な技術やビジネスモデルを有するスタートアップ企業への出資を開始することにより、同社グループの既存事業の強化や新規事業の創出を目指していく方針だ。
資本マネジメントの進化に向けては、保有資産の資産効率向上を目的に、金利リスクの削減や政策保有株式の縮減を進めている。資本政策面では現金配当において安定的・持続的な増配を目指すとともに資本充足率の水準や、成長投資の有無、株価水準等を踏まえ、継続的に自己株式取得を実施する方針だと説明した。
この方針の下、22年度の1株あたりの年間配当は8期連続の増配となる前年度比6円増配の62円(中間配当31円を含む)を予定している。
また、22年11月から23年3月にかけて約200億円の自己株式取得を実施した他、23年5月には400億円を上限とした自己株式取得の実施を決定した。
グループ一体経営の推進では、グループの役職員を対象とした社内IR活動を拡充し、同社の経営層とグループ会社の役員・管理職とのスモールミーティングや、全従業員向けの説明動画配信等を積極的に実施した。また、24年4月の設立20周年に向けて、初のグループCMの放映を23年4月から開始する等、「すべてのステークホルダーのしあわせに貢献する企業でありたい」というグループの姿勢をこれまで以上に明確に打ち出すことで、グループ意識のさらなる向上を図り、グループ長期ビジョンの達成に向けた歩みを加速する考えだ。
SDGs経営と価値創造に関しては、グループ全体で気候変動の緩和と適応に貢献するため、50年度までにCO2排出量を実質ゼロとする長期目標を掲げ、22年4月には事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際的なイニシアティブ「RE100」に加盟した。また、責任ある機関投資家として、自社の投融資先のCO2排出量もネットゼロ目標の対象としており、目標達成に向けた取り組みの一環として22年4月に中間目標(30年度までに20年度比40%削減)を設定した。
生命保険3社合算の22年度の主要業績については、個人保険と個人年金保険を合計した新契約年換算保険料は、主力商品の販売好調により、1508億円となり、前年度に比べて23.7%増加した。第三分野の新契約年換算保険料も383億円となり、前年度比6.7%増加した。
また、個人保険と個人年金保険を合計した保有契約年換算保険料は1兆5650億円となり、前年度末比1.4%増加した。
なお、基礎利益はコロナ関連の保険金支払いおよび為替ヘッジコストの増加等により、930億円となった。
最後に、今後について、グループのコアビジネスである生命保険事業では、時代に適合した営業スタイルの変革を通じて生命保険各社のビジネスモデルの強化に努めていく姿勢を示し、「グループ各社の特化・差別化戦略による一人一人のお客さまへの真摯(しんし)な対応を通じて、世の中全体にしあわせを届けるという従来の強みを一層強化するとともに、丁寧な対応を通じて、お客さまや社会の小さな変化を捉え、柔軟かつ大胆なビジネスの展開につなげていく」と強調した。