2023.06.28 東京海上日動 エネチェンジと業務提携、保険付きEV充電器設置紹介事業を開始

東京海上日動は6月9日、ENECHANGE㈱(東京都中央区、城口洋平代表取締役CEO。以下、エネチェンジ)とEV(Electric Vehicle:電気自動車)充電インフラの拡充に向けた業務提携契約を締結し、保険付きEV充電器の設置紹介事業を同月から開始した。同社では、この事業を新たな収益機会の一つとし、これを通じてEV充電器設置を推進することで脱炭素社会の実現に貢献する。保険付きEV充電器設置のマッチングを事業とし、収益機会として取り組むのは業界で初めて(東京海上日動調べ)だという。

日本政府は、脱炭素社会の実現に向け2035年までに乗用車新車販売におけるEVの比率を100%とする目標を掲げている。それにあわせて公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラの数を30年までに15万基設置まで伸ばし、ガソリン車並みの利便性実現を目指すとしており、インフラの整備を支援するための補助金の交付も行っている。
一方、全国のEV充電スポット数の推移状況(補助金交付台数分)は、累積では22年3月末時点で約3万台までに伸びているが、新設台数は17年以降停滞傾向にある(一般社団法人次世代自動車振興センター資料より)。また、既設の普通充電器の出力は3.2キロワットのものが大半だが、市場では6キロワット対応のEVが増加していることから、充電器の設置状況は市場のニーズに十分対応できているとはいえず、今後のEV普及およびEV利便性向上のために、高出力のEV充電器の設置増加が重要な課題となっているという。
エネチェンジは、エネルギープラットフォーム事業、エネルギーデータ事業、EV充電サービス事業を事業内容としており、同社の「EV充電エネチェンジ」は、導入や運用の手間を最小限にとどめつつ電気自動車向けの充電設備を導入できるオールインワンサービスで、EV充電導入台数でナンバーワンとのこと(認証アプリ提供サービスでのEV充電器〈6キロワット〉の設置台数。5月時点、GoGoEV調べ)。同社では27年までに最大300億円を投じ、国内で3万台のEV普通充電器の設置を目標に掲げており、なかでも、移動のために利用した電気の一部を継ぎ足して充電できる目的地充電に注目し、長時間滞在する商業施設、レジャー施設、宿泊施設やゴルフ場などへの6キロワット普通充電器の設置を積極的に進め、設置促進の施策として、これを共に推進するパートナー企業との連携を強化しているという。
そこで、東京海上日動はEV充電インフラの課題の解決に貢献するため、6キロワット充電器において導入台数ナンバーワンのエネチェンジと、EV充電器設置を希望する事業者をマッチングする事業を開始することにしたもので、同事業では、東京海上日動の全国の営業網を全面的に活用しながら、EV充電器を設置する事業者とエネチェンジをつなげる。
また、エネチェンジのEV充電器全てに物的損害を補償する保険を付帯することで、安全かつ安心して導入できる環境整備を進め、EVインフラの普及を支援する。
まずは東京海上日動の社員が、同社保険契約の顧客や保険代理店を対象として紹介を行う。その後、将来的には全国約4万6000店のうちで希望する保険代理店に本事業を再委託する形で取引先企業へのさらなる展開を進める。
本事業では、東京海上日動は、①事業者に対するEV充電器の紹介・エネチェンジへの情報連携②EV充電器に関連する各種損害保険や付帯サービスの検討・開発・提供等―の役割を担い、エネチェンジは、①EV充電器の設置に関する詳細提案や顧客管理等②EV充電器に関連する商品・サービスの企画・開発・提供等―の役割を担う。
EV充電器の保険は、自然災害によるEV充電器の損害に加え、設置場所でのいたずらや車両衝突等による破損等を補償するもので、エネチェンジが提供するEV充電器全て(本事業で設置されたEV充電器以外も含む)に付帯することになる。
東京海上日動では今後、本事業で得られたデータ等を活用し、新たな保険商品や付帯サービスの開発・提供を進めるとしている。