2023.06.07 フコク生命グループ 22年度末決算 新契約保険料は28%増295億円に、基礎利益はコロナ支払増で34%減

フコク生命グループが5月24日に発表した2022年度決算によると、2社(富国生命、フコクしんらい生命)合算の新契約年換算保険料は前年度比28.6%増となりコロナ禍以前(19年度)の水準を上回り、2年連続で大幅に増加した。富国生命の新医療保険「ワイド・プロテクト」の発売、フコクしんらい生命の利率更改型一時払終身保険の販売が好調だった。合算の保有契約年換算保険料は前年度末比0.2%増と16年度末以来6年ぶりに反転増加。うち第三分野は同0.9%増と開示以来19年連続の増加となった。保険料等収入は2社ともに増加し合算では同20.3%増、2社合算の基礎利益は給付金等の大幅な増加により同34.8%減の488億円となった。

2社(富国生命とフコクしんらい生命)合算の個人保険・個人年金の新契約高は、新医療保険の発売やコロナ禍における医療保障への選好の高まりにより販売実績が医療保険にシフトしたことを主因に前年度比6.4%減の1兆6673億円となった。うち富国生命は同13.1%減の1兆4097億円、フコクしんらい生命は同63.0%増の2575億円。同新契約年換算保険料は、富国生命の新医療保険の発売やフコクしんらい生命の利率更改型一時払終身保険の販売増加を主因に同28.6%増の295億円となった。うち富国生命は同4.9%増の141億円、フコクしんらい生命は同62.3%増の154億円。合算の解約失効高は同1.6%改善し1兆1532億円、同解約失効年換算保険料は同2.8%改善し128億円で、いずれもコロナ禍前よりも良好な水準を継続している。
2社合算の保有契約高は前年度末比0.9%減の26兆5630億円で、うち富国生命は同1.2%減の24兆3456億円、フコクしんらい生命は同2.3%増の2兆2173億円。フコクしんらい生命では16年度末以来6年ぶりの反転増加となった。合算の保有契約年換算保険料は同0.2%増の5498億円で、16年度末以来6年ぶりに反転増加。うち富国生命は同1.0%減の3695億円、フコクしんらい生命は同2.6%増の1802億円。合算の第三分野は同0.9%増の1184億円で開示以来19年連続の増加となった。
2社合算の保険料等収入は、団体年金およびフコクしんらい生命の利率更改型一時払終身保険の増加を主因に前年度比20.3%増の7606億円となった。うち富国生命は同8.1%増の5260億円、フコクしんらい生命は同61.1%増の2345億円。フコクしんらい生命の金融機関による保険販売実績については、貯蓄性一時払商品の販売実績(収入保険料)は利率更改型一時払終身保険の販売が好調に推移し前年度比64.0%増の1798億円、保障性商品の販売実績(年換算保険料)は同4500万円減の1億5000万円だった。
富国生命単体の資産運用状況では、世界的な高インフレに伴う主要中央銀行の金融引き締めなどを背景に、金融資本市場の先行き不透明感が強かったことから、円貨建公社債を中心に資金を配分し、流動性の確保を第一とした資産運用を実践。海外の政策金利引き上げに伴う為替ヘッジコストの上昇によりヘッジ付外債は収益性が低下したため、売却とオープン外債化による大規模な削減を実施した。日本銀行が長期金利の許容変動幅を拡大した年末以降は、さらなる金利上昇に備え超長期国債への投資を抑制したほか、円高リスクの高まりからオープン外債を削減。基礎利益上の運用収支は、利息及び配当金等収入が国内株式の増配や円安効果などにより1651億円(前年対比39億円増)と増加したものの、為替ヘッジコストが増加したことなどから前年対比60億円減の1344億円となった。
2社合算の基礎利益は、新型コロナに係る給付金等の大幅な支払増加による保険関係損益の減少を主因に前年度比34.8%減の488億円。うち富国生命の基礎利益は同38.1%減の472億円、同フコクしんらい生命は15億円だった。
富国生命単体で、追加責任準備金と危険準備金への繰入額が前年度の384億円から252億円に減少したことにより臨時損益が▲216億円と前年度(▲410億円)から縮小となり、キャピタル損益が68億円となった結果、経常利益は前年度比16.1%減の325億円となった。価格変動準備金繰入額は5億円で、これにより積立限度に到達。当期純剰余は同7.3%減の308億円となった。
富国生命単体で、有価証券・不動産の含み益は、前年度末比14.6%減の7661億円。実質純資産額は、有価証券の含み益の減少を主因に同5.8%減の1兆7770億円となった。
連結ソルベンシー・マージン比率は、内外の金利上昇等によるその他有価証券評価差額金の減少に加え、ヘッジ残高の減少によるリスクの増加を主因に前年度末比102.4ポイント低下し1171.9%。経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)は、同4.9ポイント上昇し233.8%だった。
富国生命単体の22年度末自己資本は内部留保により前年度末比142億円増加し9973億円で、自己資本の対総資産比率は前年度末から0.49ポイント上昇し13.80%だった。