2023.03.01 かんぽ生命 22年度第3四半期決算、経常利益70%減787億円に 純利益予想を160億円上方修正

かんぽ生命は2月14日、2022年度第3四半期決算を発表した。連結業績では、保険料等収入は前年同期比1715億円減、9.3%減の1兆6698億円だった。保険金支払いで前期に引き続き新型コロナウイルス感染症の支払が増加した他、有価証券売却損の増加によりキャピタル損益も悪化。これらについては危険準備金・価格変動準備金により中立化されるものの保有契約の減少等の影響により、四半期純利益は前年同期比433億円、36.2%減の762億円となった。かんぽ生命単体の基礎利益(改正後計算方法)は1763億円減益の1349億円。連結の通期の業績予想について、経常利益を800億円下方修正し、当期純利益を160億円上方修正している。

連結業績予想の修正については、経常収益は、22年3月末の経済前提を使用した同年5月発表の予想と比較して、▽運用環境が好転したことによる資産運用収益の増加▽新型コロナウイルス感染症に係る入院保険金の支払いによる損益影響の一部を中立化するための危険準備金の繰入額の縮小▽新契約獲得が想定を下回ることによる保険料等収入の減少―などの要因を踏まえ、修正前予想6兆2200億円から1000億円増額の6兆3200億円に上方修正。経常利益は、前記要因に加え、▽有価証券の売却損等の発生による資産運用費用の増加▽新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払等の増加▽事業費の減少―などの要因から、修正前予想1600億円から800億円減額の800億円に下方修正した。親会社株主に帰属する当期純利益は、前記要因に加え、有価証券の売却損益等の損益影響が価格変動準備金の戻入によって中立化することから、結果として、▽運用環境が好転したことによる資産運用収益の増加▽事業費の減少▽新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払等の増加―などを要因として修正前予想710億円から160億円増額の870億円に上方修正した。1株当たり当期純利益は修正前予想の180.67円から222.25円に上方修正。1株当たり配当金は期末配当46円で変更はない。
連結主要業績では、経常収益は前年同期比230億円減の4兆7980億円で、通期業績予想(修正後)の6兆3200億円に対する進捗率は75.9%。このうち保険料等収入は前記のとおり1兆6698億円、資産運用収益は同247億円増の8579億円、責任準備金戻入額は同1381億円増の2兆2510億円だった。
なお、契約の状況では、個人保険の新契約年換算保険料は同44.4%増の496億円と伸展。そのうち第三分野は同202.1%増の48億円と大幅に伸展した。保有契約年換算保険料は、個人保険が3兆2956億円で前期末比6.9%減、うち第三分野が6014億円で同4.1%の減少となった。個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期末比6.0%減の2143万件だった。商品別に見ると、養老保険は703万件(占率32.8%、前期末実績785万件)、終身保険は1122万件(占率52.3%、前期末実績1156万件)、学資保険は304万件(占率14.2%、前期末実績325万件)、その他は13万件(占率0.6%、前期末実績12万件)となっている。
連結の経常費用は前年同期比1683億円増の4兆7192億円で、このうち保険金等支払金は同163億円減の4兆1448億円、資産運用費用は同1545億円増の1871億円、事業費等は同300億円増の3871億円だった。第3四半期の委託手数料は同295億円減の1027億円。このうち、新契約手数料は同48億円増の268億円、維持・集金手数料は同344億円減の758億円だった。拠出金は同28億円減の376億円だった。
連結の経常利益は同1913億円減の787億円で、通期業績予想(修正後)の800億円に対する進捗率は98.5%。四半期純利益は前記のとおり762億円で通期業績予想870億円に対する進捗率は87.6%となっている。
連結の総資産は前期末比3兆7498億円減の63兆4249億円で、純資産は同3580億円減の2兆630億円となった。
賃借対照表上の「金銭の信託」「有価証券」に計上している資産のうち、資産運用目的で保有する国内外株式、外貨建債券、投資信託等を対象とする「収益追求資産」への投資残高は、前期末比1兆4992億円減の9兆7291億円で、総資産に占める割合は15.3%(前期末16.7%)。平均予定利率は前年同期から0.02ポイント下がり1.67%、利子利回りは同0.05ポイント低下し1.82%だった。
連結ソルベンシー・マージン比率は980.1%で前期末比65.4ポイント減少した。
エンベディッド・バリュー(EV)は、海外金利上昇に伴う外国債券の含み益の減少等により、前期末比3105億円(8.6%)減の3兆3083億円だった。4月から12月までの新契約をベースに6月末の経済前提を使用した新契約価値は▲4億円で、新契約価値を将来の保険料収入の現在価値で除した新契約マージンは▲0.1%だった。新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、新契約価値はマイナスとなっている。
かんぽ生命単体ベースでは、新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払いの増加、保有契約の減少および新しいかんぽ営業体制の構築に伴う事業費等の増加により保険関係損益が減少したほか、順ざやが減少したことにより、基礎利益は前記の通り1349億円となった。内訳は、保険関係損益が前年同期比1595億円減の742億円、順ざやが同168億円減の607億円。そのほか危険準備金の超過繰入の減少等の臨時損益の計上が同550億円増の24億円、キャピタル損益が同695億円減の▲592億円となった結果、経常利益は同1908億円減の781億円となった。さらに価格変動準備金の取り崩し等の特別損益が1250億円増の728億円、契約者配当準基金繰入額が同75億円減の437億円、法人税等合計が同154億円減の316億円となった結果、四半期純利益は同433億円減の762億円となった。
なお、基礎利益は前期までの通期予想「2200億円程度」から「1800億円程度」へと下方修正した。