2023.02.08 金融庁 自賠責保険審議会開催、4月から基準料率11.4%引下げ、自家用乗用自動車(2年契約)は1万7650円に

1月13日に第145回、1月20日に第146回自動車損害賠償責任保険審議会が金融庁で開催され、自賠責保険基準料率を本年4月1日から平均11.4%引き下げることが承認された。保険収支の状況を見た場合、交通事故の減少等により損害率が107.9%と、前回の基準料率改定時の想定以上の黒字となっていること、保険契約者への還元に活用される滞留資金の残高が増加傾向にあることから、自賠責保険の収入と支出が見合う料率水準とすることが適当であるとの方向性が示された。自家用乗用自動車2年契約の保険料は、現行基準料率では2万10円のところ、11.8%引下げの1万7650円となる。

第145回自動車損害賠償責任保険審議会では、令和4年度(2022年度)料率検証結果の報告が行われた。それによると、前回(令和3年(21年)4月)の改定時予定損害率は令和4(22)年度、令和5(23)年度を122.3%としたところ、今年度検証結果による損害率は令和4(22)年度が110.1%、令和5(23)年度が107.9%だったことが報告された。審議の結果、今後の料率のあり方については、令和5(23)年度から自賠責保険の収入と支出が見合う料率水準とすることが適当であるとの方向性が示された。
また、来年度以降の審議会は、議題となり得る事案等を十分勘案した上で審議会の開催回数や所要時間を柔軟に決定することを通じて、議論の質を落とさないことを前提に、基準料率の改定がある場合も含めて、原則年1回で運営することが決まった。
第146回自動車損害賠償責任保険審議会では、前回の審議会で示された方向性に沿って、損害保険料率算出機構から届け出のあった新たな基準料率に関して諮問が行われた。
純保険料率の改定で、水準是正による改定率は+7.9%、滞留資金の活用による改定率は▲27.1%で、純保険料率改定率は▲19.2%となる(23年度4月基準料率改定後の純保険料率の予定損害率は133.5%となる)。純賦課金(政府保障事業)の金額変更による純保険料率改定率は▲0.1%。
付加保険料率の改定では、社費の改定率が▲0.8%、付加賦課金(政府保障事業)の金額変更による社費改定率が▲0.1%、代理店手数料の水準是正による改定率が+0.1%、付加賦課金(被害者保護増進等事業)新設による改定率が+1.2%。
以上の結果、基準料率改定率は、全車種等の平均で11.4%の引下げ(現行基準料率比)となり、審議の結果、新たな基準料率を23年4月1日から適用することで了承された。
例えば、自家用乗用自動車2年契約の保険料(沖縄県を除く離島以外の地域)は1万7650円となる。現行基準料率の同契約の保険料は2万10円で、現行基準料率比で11.8%(2360円)の引き下げとなる。同じく2年契約の軽自動車(検査対象車)は、1万9730円から1万7540円となり11.1%(2190円)の引き下げ。この他、小型二輪自動車が現行基準料率9270円から改定後は5.5%(510円)引き下げの8760円。同じく原動付自転車が8850円から3.3%(290円)引下げで8560円となる。
社費の改定率は▲0.8%で、代理店手数料は0.1%増の1735円となった。