2022.11.16 第一生命HD TOBでアイペットHDを子会社化、筆頭株主ドリームインキュベータと合意[2022年11月7日]

第一生命ホールディングス(以下、第一生命HD)は11月7日、東京証券取引所グロース市場に上場しているアイペットホールディングス(以下、アイペットHD)の普通株式と本新株予約権の全てを、完全子会社化を目的に公開買付けにより取得することを決議したと発表した。公開買付価格は1株につき3550円、買い付け代金は390億1585万2550円となる予定。決済の開始日は12月27日。第一生命HDは2019年2月にアイペットHD傘下のアイペット損保との業務提携で基本合意し、同年4月から同社ペット保険の販売を行っている。第一生命HDでは「第一生命による新規顧客基盤開拓の推進にアイペット損保の商品が有用と考えており、本取引を通じた協業関係の深化により両者の顧客基盤のさらなる拡大が可能になると考えた」としている。

アイペットHDは傘下に中核子会社であるアイペット損保およびオンラインペット健康相談事業を手掛けるペッツオーライ㈱を持つ純粋持株会社。同日付で同社の親会社であり筆頭株主の㈱ドリームインキュベータも第一生命HDとの間で公開買付応募契約書を締結し、同社が所有する株式(所有割合55.21%)の全てについて公開買付けに応募する旨を合意している。
第一生命HDによると、アイペット損保の事業は順調に拡大しており、22年3月末時点のソルベンシー・マージン比率は267.2%で同社が独自に定める250%の最低水準を常に上回る運営をしているものの、今期末には継続する保有契約件数の増加を背景にその比率が低下する可能性があり、持続的な成長を達成し、ソルベンシー・マージン比率の良化のためには資本増強が必要な状況にあったという。こうした状況の下、3月上旬に、ドリームインキュベータから、同社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券を通じて、同社が所有するアイペットHDの株式の全てを公開買付け等の手法により譲渡し、またこれに伴うアイペットHDの今後のさらなる成長を実現させるための戦略的パートナー選定に関して打診を受けたことから、第一生命HDでは3月下旬からアイペットHD株式の取得の是非について初期的な検討を開始していたという。アイペットHDが11月7日公表した損益の状況によると、22年度第2四半期の経常収益は160億500万円、経常利益は10億7100万円、親会社株主に帰属する中間純利益は7億8000万円となっている。
第一生命HDでは、①多数のペットショップを販売代理店とし国内トップ水準の販売網を構築しているほか、ウェブチャネルでの販売拡大にも注力し一定の顧客接点を確立できている②ペット保険では、通常契約者は動物病院の窓口で診療費全額を支払い、後日保険会社から契約者負担分を控除した金額の支払いを受けるのに対し、アイペット対応動物病院制度が適用される動物病院では、契約者は窓口で契約者負担分に相当する診療費のみを支払うことで診療を受けることができ、動物病院との間でこのような提携関係を構築しているペット保険事業者はアイペット損保とアニコムホールディングスに限定され、アイペットHDは動物病院との間でペット保険における競合企業と比較して強固な関係を構築しているといえ、また、同制度が適用される動物病院数は20年2月に5000施設を突破して以来順調に拡大を続け、22年10月20日時点で5697施設にまで拡大しておりペット保険事業における競合企業に対して優位性がある―としている。
第一生命HDでは、アイペットHDの完全子会社化により、①国内の約1100万人の顧客基盤と約3.7万人の生涯設計デザイナー(営業職員)に加え、全国の金融機関や保険ショップ等の代理店といった販売チャネルネットワークの活用②「資本循環経営」の実践に基づく資本基盤、および営業、保険事務、資産運用、システム、保険数理、商品開発、リスク管理、企画・管理、法務・コンプライアンス、広報、経理・財務といった保険会社の事業運営に必要なさまざまなスキルや専門性を有する国内約6万人の従業員による必要性に応じた人的支援が可能な人的基盤―によるシナジー効果とメリットを創出できるとしている。ペット保険事業に参入することはwell―beingに貢献し続けられる存在でありたいという同社の目指す方向性にも合致するものであるとともに、ペット保険事業は今後の国内保険市場では希少な高い成長性を享受することができる事業との判断の下、今回の完全子会社化を決定したとしており、これまでは婚活・終活等のライフイベントを意識した接点が中心だった顧客接点において、飼い主の日常生活に寄り添う存在であるペット関連事業への参入を通じて従来とは異なる接点を持つことができるため、今回の取引を「つながり・絆」領域における重要な戦略的意義を持つものと考え、取引の実施に至ったとしている。