2022.10.13 東京海上日動 国内M&A、新たに知財リスクを補償、グローバルな知財紛争支援体制も構築

東京海上日動は10月から、M&A取引後に生じた知的財産権(以下、知財)をめぐるトラブルに対応した保険の販売を開始した。本保険の販売を通じて、知財を含む円滑なM&A取引を支え、企業の競争力強化を後押ししていく。

東京海上日動は、2020年に国内で初めて日本語による審査・保険引受けを実現した「国内M&A保険(表明保証保険)」の販売を開始し、これまでに多くの国内M&A取引を支援してきているという。同保険は、M&A取引における売主が、買主に対して、売主自身や買収対象会社についての財務や税務等に関する開示事項が真実かつ正確であることを表明および保証(表明保証)した場合に、M&A取引後に発覚した表明保証の違反によって買主が被る損害を補償する。今回発売する保険は、従来の国内M&A保険では補償対象外であった知財に関するリスクを新たに補償する。
M&A取引では、売主が買主に対して「知財侵害はないこと」を表明保証することがあるが、本保険では、M&A取引に含まれる知財(主に特許権、実用新案権)の実施に関し、第三者から買主または買収対象会社に対して、知財侵害に起因する賠償または差止請求を提起される等の表明保証違反が発生した場合に、買主に生じる賠償金や争訟費用などを補償する(イメージ図参照)。
同社では本保険の開発に当たり、国内の商慣習を踏まえた補償内容の設計やリスク評価手法の構築などで、弁理士法人志賀国際特許事務所(村山靖彦所長)、人工知能を用いた特許調査を提供する㈱AI Samurai(白坂一代表取締役社長)と連携しており、万が一顧客が国内外での知財紛争に巻き込まれた場合には、志賀国際特許事務所のグローバルネットワーク(外国法律事務所等)を通じて、相手方の特許に対する対抗措置を検討するなど、紛争処理を支援する体制も構築している。
昨今、さまざまな業種においてグローバルレベルでの競争力強化が求められており、国内企業ではイノベーションの源泉となる知財の重要性が年々高まっている。21年には、中小企業庁による「知的財産取引に関するガイドライン」の制定、内閣府による「知的財産推進計画2022」の決定、コーポレートガバナンスコードへの知財関連項目の導入など、国も企業の知財取り組みや知財保護を推進している。そうした中、M&A取引において知財の位置付けが高まっており、M&Aの成否にも大きな影響を与えるようになっている。
こうした情勢を踏まえ、同社は売主と買主の双方が知財を含むM&A取引を安心して実行できる環境づくりを支援するため、本保険を開発した。
同社は、これまでM&A取引を支援してきたリスクマネジメントのノウハウを生かし、より多くのM&A取引に対して本保険を提供していくことで、企業の競争力強化を後押しするとしている。