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どんどん変わっていく保険と金融。
今年は新製品も多く、目が離せません!
FPからのアドバイスも注目。新しい保険の時代がはじまります。
    [2015-01-30]
 自賠責審議会、自賠責基準料率据置きに

 第134回自動車損害賠償責任保険審議会が1月28日に開催され、2014年度の料率検証結果を報告した。14年度、15年度の損害率は共に100.2%となる見込みで、13年4月1日の基準料率改定時の予定損害率100.2%との乖離(かいり)がないことから、審議会では基準料率を据え置くこととした。
 自賠責保険・共済収支は、収入純保険料が14年度で8523億円、15年度で8431億円の見込み。08年〜10年は6000億円台で推移していたが、11年4月に基準料率を17.2%引き上げたことで11年度は6997億円、12年度は7304億円となった。さらに13年4月に20.1%引き上げたため、13年度は8491億円と増加している。
 支払保険金は14年度が8545億円、15年度が8446億円で、収支残は14年度がマイナス21億円、15年度がマイナス15億円、累計収支残は14年度がマイナス5342億円、15年度がマイナス5357億円の見込み。
 交通事故の発生状況については、警察庁の統計資料によると、発生件数が04年をピークとして減少しており、14年の発生件数は前年比8.8%減の57万3465件と前年の発生件数を下回っている。死者数、負傷者数も近年、減少傾向で推移している。
 収入純保険料(収入純掛金)の予測要因として過年度の保有車両数の動向を参考に推定した14年度、15年度の保有車両数は共に0.1%増と若干増加する見通し。
 支払保険金(支払共済金)の予測に当たって前提となる事故率は過年度の事故率の動向と交通事故状況を参考に算出。死亡事故率は14年度が前年度比4.3%減の0.00538%、15年度が同1.3%減の0.00531%で16年度以降も減少すると予測している。後遺障害事故率は14年度、15年度共に0.07554%、傷害事故率も14年度、15年度共に1.45675%で13年度と同率で推移する見込み。
 自賠責保険・共済の法人税等相当額を加味した運用益積立金残高は13年度末で5342億円となっている。
 自賠責保険社費・共済経費収支では、13年度の収支残が146億円の赤字となった。この要因として、現行料率である13年4月の改定料率が12年度末の累計収支の黒字(社費で約300億円)の活用を前提とした赤字水準の設定となっていること、14年4月の消費税率引き上げ前の自動車買い換えの駆け込み需要によって契約関係手続きが増加したこと、傷害事故率の上昇に伴って支払件数が増加したことを挙げ、社費の収支状況については引き続き注視する必要があるとした。


    [2015-01-29]
 S&Pが日本企業が直面するリスク要因でリポート

 スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は1月23日、「日本の発行体:2015年の信用力見通し 未(ひつじ)年の日本を待ち受ける狼は?―日本企業が直面するリスク要因」と題するリポートを発表した。
 ベースケース・シナリオとして、15年には日本の国内総生産(GDP)成長率は昨年の0.6%から1.3%に回復し、国内発行体の信用力はおおむね安定的に推移するとみている。さらに、14年後半以降の原油価格の下落は、個人消費や企業収益の改善を通じて、国内景気にプラスの影響を与えると期待される。また、過去3年程度、比較的良好な環境下で日本企業の財務プロフィルはおおむね改善しており、環境変化への耐久性は増している。
 一方、金融市場の変動率は高まっており、さまざまなリスク要因も存在する。15年の国内企業の信用力や業績に影響を与え得るリスク要因としては、@日本のソブリン格付けのアウトルックが「ネガティブ」であり、経済の回復や財政再建の遅れが格下げにつながる可能性があるA世界的にインフレ期待が低下する中で長期金利が大幅に下落しているB国内の構造的な問題がネックとなって日本の景気が減速する可能性があるC金利や為替、株価など金融市場の変動率が高まり得る―ことなどが挙げられる。特に日本のソブリンが格下げとなった場合には一部の銀行、保険、事業会社の格付けに直接影響を与え得る他、アンカー値の修正などを通じて格付けの見直しが必要となる可能性もある。また、超低金利が継続したり、マイナス金利が拡大したりした場合には、金融機関や保険会社にとっては資産運用収益の減少をもたらすとともに、場合によっては金利リスクや為替リスクが増大する可能性もある。
 格付け先の日本企業の財務プロフィルは総じて改善していることから、このようなリスク要因が顕在化してもソブリンの格付け変更を除いては直ちに格付けの変更につながる可能性は現時点では低いとS&Pはみている。しかし日本の財政や経済が抱える構造的な問題やグローバル市場での数々の不確定要因を考えると、その影響を注視する必要がある。


   [2015-01-28]
 S&Pが日本の事業会社セクター15年見通しでリポートを発表

 スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は1月16日、「日本の事業会社セクター:2015年の見通し業績の改善基調が続き、信用力は安定的に推移 一部企業は円安と原油安の影響でリスク顕在化の可能性も」と題するリポートを発表した。
 15年の国内事業会社の業績は、前年に続き改善基調を維持するとS&Pはみている。15年の格付けトレンドの方向性は、一部の業界を除き安定的であると予想している。
 14年7〜9月期の企業業績には、14年4月の消費税率引き上げの前の駆け込み需要の反動の影響がまだみられたものの、その後、影響は徐々に緩和されてきており、業績に対するマイナス影響の度合いは格付け先各社の予想や、S&Pのベースケース・シナリオの想定の範囲内にほぼ収まったとS&Pはみている。
 安倍政権の経済政策(アベノミクス)の下支え効果で緩やかながら景気の回復基調が続く中、企業が取り組んできた事業構造改革の成果が表れてきたこともあり、15年は堅調な業績が国内事業会社の信用力を下支えするとS&Pはみている。14年後半に急速に進んだ円安と原油価格の下落は、製造業を中心に多くの格付け先企業の業績に押し上げ効果をもたらすと考える。
 ただし、以前に比べ円安の恩恵を受けにくい事業構造となっている企業が増えていることや、資源国や新興国の経済が揺らぐリスクなどを踏まえると、一部の国内企業の15年の業績や信用力動向においては、リスクが顕在化する可能性もあるとみている。
 円安が進行したために短期的には鎮静化する可能性があるものの、国内市場の成長余地が限られる中、国内事業会社の海外事業強化に向けた旺盛な投資意欲に変わりはないとS&Pはみており、財務規律を維持しながら成長投資と財務の健全性とのバランスを保てるかどうかが、信用力維持の鍵を握ると考える。


   [2015-01-27]
 ニッセイ基礎研特別研究プロジェクトが「孤立予防」で研究結果まとめる

 ニッセイ基礎研究所の特別研究プロジェクトチームがこのほど、「長寿時代の孤立予防に関する総合研究」の結果を取りまとめ、公表した。同研究は、孤立死が年間約3万人に上ると推計される中、高齢期に社会的孤立者を生まないための「原因と予防策」について、全国約6500人を対象に行ったインターネットによるアンケート調査などを基に分析・考察している。
 同調査は、同社モニター会員の「ゆとり世代」といわれる23歳から25歳の1647人、「団塊Jr.世代」の39歳から42歳の1889人、65歳から67歳の「団塊世代」1862人、「75+世代」75歳から79歳の1105人の4世代6503人を対象に、2014年1月16日から23日にかけて実施した。
 プロジェクトチームは、まず、社会的孤立者数を推計。日ごろの質的・量的なコミュニケーションの状況から、社会的孤立リスクについて推定した結果、ゆとり世代、団塊Jr.世代の15%程度、団塊世代、75+世代の5%程度が、社会的孤立が強く疑われる状況にある可能性が示された。
 この出現率を基に、各世代の社会的孤立状態が疑われる者の人口を推計した。その結果、全国ではゆとり世代で66万人、団塊Jr.で105万人、団塊世代で33万人、75+世代で36万人が、それぞれ社会的孤立が疑われる状態にあることが分かった。
 社会的孤立リスクに関する属性的な特徴をみると、性別では男性の方がリスクが高い。また、男性の中では未婚や離別が高く、特に団塊世代の男性では死別でも孤立リスクが高いことが分かった。一方、女性では、未婚や離別といった属性が高いものの、総じて男性よりも孤立リスクは低いようだ。
 価値観と社会的孤立リスクの関係からは、次の志向を有する人が孤立リスクが高いと推定される。
 ▽家族形成=「夫婦の意思を重視する」志向の人。これは、夫婦間での依存性が高く、離死別後の影響が懸念される。
 ▽人づきあい=「他人に干渉されることを好まない」「非対面(ネット)のつきあいを好む」志向の人。ただし、後者については団塊Jr.世代のみが当てはまる。
 ▽働き方=「割り切り」「仕事優先」志向の人。
 住まい環境と孤立リスクの関係を見ると、自家用車に依存した生活環境に暮らす高齢層のリスクが高い。これは、加齢や健康状態の変化に伴い運転ができなくなることで移動が制約され、人との直接的なコミュニケーション機会が減るためだ。
 また、将来(高齢期)の生活をイメージできていない人ほど、孤立に対する不安が大きいようだ。
 社会的孤立問題に対する受け止め方(原因と予防など)の分析では、高齢期の社会的孤立問題に対する受け止め方は、「社会に問題がある(39.8%)」「本人と家族に問題がある(31.0%)」「自ら選択した生活であり問題ではない(23.1%)」に分かれる。
 高齢期の社会的孤立の原因として最も多かった考えは、「地域における人と人のつながりの希薄化した地域社会の変化」で、61.2%と6割を超えた。
 そこで、高齢期の社会的孤立を回避するためには、若いときからの幅広い人間関係(量・質)の構築が重要となる。そのためには、個々人が日ごろから「家族」「人づきあい」「働き方」について見直していくことが必要だろう。
 また、企業や自治体などでは、高齢期の社会的孤立に対する予防意識を高める取り組み、人と人とのつながりをより強化する取り組みが求められる。
 さらに、まちづくりの面では、公共交通の充実、都市機能の集約化など、自家用車依存を減らす取り組みを進めつつ、人々のコミュニケーションを促進する空間利用や空間整備、住まいづくりを推進することも重要になる。


   [2015-01-26]
 S&Pが日本保険業界の信用力見通しを発表、「15年も安定的に推移」

 スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は1月22日、「日本の保険業界:2015年の信用力見通し」という表題のリポートを発表した。この中でS&Pは、金融市場の変動性と自然災害が引き続きリスク要因であるものの、ベースケース・シナリオとして、日本の保険会社の信用力は安定的に推移するとの見方を示している。
 2014年は、前年から続く株高、円安などの影響を受けて、日本の生保・損保会社の多くで資産運用損益や自己資本水準が改善した。損保会社においては、自然災害の影響があったものの、日本国内の保険各社の信用力はおおむね良好に推移した。
 こうした中、S&Pでは、15年には日本経済が緩やかに成長し、金融市場環境も比較的穏やかに推移すると予想している。また、この予想に基づいて、日本の保険会社の信用力は、15年も安定的に推移するとの見解を示した。
 15年1月1日時点で、日本の格付け先保険会社のアウトルックは37社中、「ネガティブ」は10社、「ポジティブ」は3社、「安定的」は24社。全体の65%を「安定的」が占めている。
 アウトルックが「ネガティブ」となっている10社のうち、東京海上グループ各社、ソニー生命保険、大手外資系保険グループの日本の生保子会社など9社の格付けは、日本(「ダブルAマイナス/ネガティブ/シングルAマイナス1プラス」=無登録格付け)の長期ソブリン格付けによる制約を反映して、「ダブルAマイナス/ネガティブ」となっている。
 これらの保険会社は事業基盤や資産運用の面で国内への集中度が高いため、日本ソブリンの信用力が低下した場合には、信用力にマイナス影響が及ぶとS&Pは考えている。


   [2015-01-23]
 損保ジャパン日本興亜がプライベートクラウド型新代理店システムを開発

 損保ジャパン日本興亜は、プライベートクラウド型保険代理店システム「SJNK―NET i+クラウド(アイタスクラウド)」を潟Cンターネットイニシアティブ(IIJ)と共同開発し、今月から提供を開始している。業法改正によって求められる高度な経営管理体制や適切な販売プロセスの構築を可能にした高機能システムで、国内保険業界では初のプライベートクラウド型を採用し、高い安全性を確保した。また、大規模災害に備えたBCP対策やランニングコストの低減化も実現している。
 アイタスクラウドは、個々のユーザー専用のアプリケーション、回線、ネットワーク機器などのシステム環境を用意した国内保険業界初のプライベートクラウド型を採用しており、顧客情報を管理するシステムとして高い安全性を誇る。取引のある複数の保険会社の契約情報、見込み客などを一元管理でき、全社を横断した高度な予算策定・成績管理や、保険を提供した顧客との応対履歴を管理する機能などを有しているため、高度な経営管理体制を構築することが可能だ。代理店独自のカスタマイズを加えることもできるため、業務の効率化や、顧客サービスの差別化にも効果を発揮する。拡張性、柔軟性の高いシステム構成を実現したことで、他システムとの連携も可能にした。
 また、大規模災害などを想定したIIJの堅牢なデータセンター内で運用されているため、システムのBCP対策としても有用だ。さらなるリスク管理として、別のデータセンターにデータのバックアップを取得するオプションも用意している。こうしたデータ運用によってサーバーを自社で所有しないため、そのための場所代や電気料金、空調費などが不要となる。その上、サーバーの故障対応や・稼動状況の監視など日々の運用・保守にかかる業務が削減されることでトータルのシステムコストの低減化を図ることができる。
 さらに、アイタスクラウドは有償のオプションとして、国内保険業界で初めて、中小企業向けグループウェアで業界トップのシェアを誇るサイボウズ鰍ェ提供するグループウェア「サイボウズ ガルーン」と連携。今後、グループウェアの画面上で、販売額や営業成績などの各種経営管理情報が閲覧できる機能を追加する予定だという。
 2016年に施行が予定されている改正保険業法では、従来以上の高度な経営管理体制、募集人への指導・教育義務、適切な販売プロセスの構築が求められることになっており、より高機能な保険代理店システムへのニーズが高まっている。同時に、大規模災害に備えたBCP対策や、ランニングコストの低減化を求める声も上がっていた。こうしたニーズの高まりを受けて、損保ジャパン日本興亜とIIJは、13年11月18日に締結した「共同事業に係る基本合意書」に基づく新事業の一環として同システムを開発。システムの販売・提供は、損保ジャパン日本興亜システムズとIIJが共同で実施する。


   [2015-01-22]
 兵庫県が自転車保険義務化へ、条例(案)骨子策定で意見募集

 兵庫県は1月20日、「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例(仮称)」の骨子を公表した。2月9日までパブリックコメントを実施する。県は201
4年5月に「自転車の安全な利用等に関する検討委員会」を設置し、安全な利用対策を検討する中、検討委員会の下部組織の専門委員会で自転車保険の加入促進についての検討がなされていた。
 同条例(案)では、自転車損害賠償保険等への加入義務を明記。自転車利用者はもちろん、保護者と事業者にも、監護する未成年者と従業員を対象に加入義務を課している。また、「自転車小売業者(自転車貸付業者)は、自転車を販売する(貸し付ける)とき、自転車購入者(自転車借受者)に対し、自転車損害賠償保険等の加入の有無の確認」を義務付けるとともに、「加入が確認できないとき、自転車購入者(自転車借受者)に対し、情報の提供」を促すこととしている。
 一方、保険者に対しては「自転車損害賠償保険等を引き受ける自転車損害賠償保険者等は、県との相互の連携及び協力の下、自転車損害賠償保険等に関する情報提供等」を求めている。
 同県の交通事故件数は、自転車事故件数も含めて年々減少傾向にあるものの、交通事故全体の自転車事故の占める割合は20%以上を占める。特に、歩行者と自転車の事故は約10年で1.9倍に増加し、自転車利用者が加害者となり高額な損害賠償事例も発生するなど、自転車の安全な利用対策が喫緊の課題となっていた。条例(案)骨子では、自転車保険の加入促進の他、自転車利用者への自転車関係法令の順守や、県に対する自転車の通行環境の整備などが盛り込まれている。なお、同条例については、罰則は設けられていない。


   [2015-01-21]
 明治安田生命が経営者ニーズ対応の保障を提供へ

 明治安田生命は、3月2日から経営者向けに「5年ごと配当付3年間災害保障型逓増定期保険(低解約返戻金型)」(販売名称:3年間災害保障型逓増定期保険)を発売する。同商品は、万一の場合の事業保障から退職慰労金準備まで、個人事業主を含めた経営者の幅広いニーズに応える。加入後3年間の死亡・高度障害保障を災害時のみに限定したり、低解約返戻期間(加入後4年間)を設定したりすることで、従来商品より割安な保険料を実現した。
 経営者を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、経営者の生命保険の加入目的は、死亡退職金などの準備や運転資金確保だけでなく、生存退職金準備や税負担軽減へのニーズも高まっている。また、実際に新規加入・見直しを行った理由では、「保障内容」の他、「経理処理・税制上のメリット」や「支払保険料を安く抑えたかった」が上位を占める。
 こうした状況を背景に、同社では「3年間災害保障型逓増定期保険」を開発。加入後3年間の死亡・高度障害保障を災害時のみに限定し、加入後4年間を低解約返戻期間とすることで、従来商品「新逓増定期保険」より割安な保険料を実現した。この場合、災害時以外は、既払込保険料相当額を支払うという。万一の際の保障額は、契約時の5倍まで逓増。一定期間経過後、保険金額が年50%複利で増加するため、事業保障対策資金や相続・事業承継対策資金の確保などの準備も可能だ。また、解約時の返戻金などは、経営者・役員の生存退職慰労金の一部として利用することもでき、急な資金ニーズが生じた場合は「ご契約者貸付制度」で保険契約を継続しながら解約返戻金の80%を限度に資金を調達できる。さらに、変更時の解約返戻金相当額により、保険金額が一定で保険期間を終身とする払済保険に変更することができ、死亡・高度障害保障が一生涯続く。
 同商品は、「法人格を有する経営者」に加えて「個人事業主」も加入できる。従来より販売している法人向け商品「新逓増定期保険」「新定期保険E」についても、2015年3月から「個人事業主」が加入できるようになるという。
 同社は今後も、経営者の幅広いニーズに応え、安定した経営をサポートしていくとしている。


   [2015-01-20]
 三井住友海上・あいおいニッセイ同和、輸出リスク補償を充実

 三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、中堅・中小企業向け海外PL保険(海外生産物賠償保険)を開発し、2015年4月1日以降保険始期契約から販売を開始する。輸出した製品が原因の事故が海外で発生した際の賠償リスクを補償するもので、従来商品と比べて補償内容を充実させるとともに、加入対象の企業を50億円以下に拡大した。契約手続きが代理店で完了するなど、分かりやすく加入しやすい商品となっている。
 共同開発した商品は、三井住友海上では「ビジネスプロテクター(海外輸出用)」、あいおいニッセイ同和損保では「タフビズグローバルPL」の商品名で取り扱う。生産物(部品・原材料など)が組み込まれた完成品に対して与えた損害やリコールに伴う生産物の回収費用を補償する。
 加入対象企業については、従来商品では売上高(輸出額)を三井住友海上は30億円、あいおいニッセイ同和損保は10億円以下に限定していたが、新商品では50億円以下の中堅・中小企業に拡大。直接輸出だけでなく、国内で製造または販売され第三者によって輸出される間接輸出のみの企業も加入することができる。
 簡単かつ迅速な契約手続きも実現した。保険料の試算や申込書類の作成が代理店で完結するシステムを構築したことで、必要書類を受け取った即日の見積もり提示が可能となった。また、約款の分かりやすさと海外でのより円滑な保険金支払い対応を実現するため、米国で標準的に使用されている約款を作成するISO(Insurance Services Office)の13年フォームをベースとした内容に刷新した。契約は、対象生産物、仕向地別の売上高、リスク状況などに応じて個別に引受条件を設定。支払限度額は円建てまたは米ドル建てで、各5パターンから選択することができる。
 日本国外で発生した生産物に起因する他人の身体の障害や財物の損壊などに対する治療費や修理費などの損害賠償金の他、損害賠償に関する争訟で支出した訴訟費用、弁護士費用などに要した費用もカバーする。また、付帯サービス(事故対応サポート)として、損害賠償請求(訴訟またはクレーム)が発生した場合には、同社が選任するクレームエージェント、弁護士などが被保険者に代わって対応する。


   [2015-01-19]
 生保協会が女性支援で3千万円を助成

 生保協会は、「子育てと仕事の両立支援プロジェクト」として全国の保育所・放課後児童クラブ99施設に対し、総額3000万円を助成する。2014年9月19日に発表した「Empowering Women〜ずっと輝く女性〜 女性活躍推進の取組み」の一環として実施するもので、待機児童問題の解消に貢献することが目的だ。保育所・放課後児童クラブの受け皿拡大や、質の向上に向けた取り組みに対して資金を助成する。
 同プロジェクト発表と同時に公募を行ったところ、全国39の都道府県の保育所・放課後児童クラブから、合計322件の応募が寄せられた。幅広い地域からの応募状況から、待機児童問題の解消に向けた積極的な取り組みが、大都市圏にとどまらず、全国各地で行われている実態が見えてくる。
 また、行政の補助制度が手薄な領域に対して助成を行う同協会の活動には、自治体や事業者から大きな反響があり、こうした領域への支援に対する期待の高さがうかがえる。今回の助成で、総勢104人の児童受入れの拡大、94施設の保育の質向上に貢献することとなる。
 協会では今後、助成対象施設に対する贈呈式を、各地域で開催する予定だ。


   [2015-01-16]
 みずほ銀行の窓販 最終ステップへ、保障見直し提案強化

 みずほ銀行の窓販は、年金保険や学資保険などの単品商品の提案に始まった。次いで医療・がんなどの保障性商品の追加提案に取り組み、今年から最終ステップの「保障の見直し提案」に本格的に踏み込んでいく。また近年は、平準払い商品の販売にも力を入れてきたことから占率が上昇し、件数では一時払保険と平準払保険が同レベルにまで変化している。今後は、平準払い商品のターゲット層である資産形成層への提案に一層力を入れる。
 同行では、全面解禁直後の2008年11月から、生命保険専門のフィナンシャル・コンサルタント(FC)が中立的な立場で保険について説明し具体的なシミュレーションに基づき最適な保障プランを提案する「〈みずほ〉なるほど保険デスク」を首都圏などの複数店舗で展開してきた。相談は、@保険に関する悩みや不安をFCに相談A教育計画、住宅取得計画、退職後の計画などのライフプランに基づいて必要保障額のシミュレーションを実施して、必要保障額を算出Bその結果に基づいて保障の過不足を確認C見直しプランの作成―といった流れで行うが、今後は、同デスクで蓄積したノウハウを全店で導入していく。
 具体的には、保険業界経験者や保険会社からの出向者で構成する「保険コンサルタント」の規模を現状の約2倍の100人規模に増やして営業店の後方支援を強化し、住宅ローン顧客への保険提案も一層推進する。また同行は、13年11月に、邦銀として初めてタブレット端末による設計書作成と保険料試算のサービスを開始したが、さらに新規機能も開発中で、まもなくバージョンアップが完了する。
 運用商品開発室の清水健人調査役は「これまで窓口担当者による平準払保険の提案手法や販売スキルを高めてきた。保険販売では、顧客の保険証券を分析して見直し提案するのが一番難しく、レベルとしては最終段階だ。来店者のほとんどは保険の既契約者のため、担当者による見直し提案が販売の成果に直結する」と話す。
 一時払保険にも力を入れている。相続対策としての生命保険の活用や、年金商品発売から10年以上が経過し満期を迎える顧客への新たな商品提案を推進している。「相続対策の一つとして、生命保険の非課税枠を活用しませんか」といったリーフレットを作成して来店者のニーズ喚起にも取り組む。
 清水氏は「平準払保険では、年金や学資保険、医療、がん保険も伸びている。それは『生存リスク』に対する保険の取り扱いが得意ということ。現在のマーケットは、高齢化に伴い『死亡保障』から『生存保障』に軸足がシフトしつつある。当行の販売動向とうまくマッチしており、さらにシェアを拡大していきたい」としている。


   [2015-01-15]
 損保ジャパン日本興亜ヘルスケアサービスが中華圏現法のメンタルケア支援

 損保ジャパン日本興亜ヘルスケアサービスは1月13日、中国のEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)業界大手の林紫(リンツ)グループと提携し、中華圏でメンタルヘルス対策サービスを共同で開始した。
 中国や香港、台湾の現地法人で、メンタルヘルス対策を検討している企業の現地従業員と駐在員が対象。中国語、英語、日本語の3カ国語で、メンタルヘルス不調や仕事の悩み、家庭問題などのカウンセリングを行う。また、経営者・管理職・一般職向け・コーチング・コミュニケーション・グループワークショップといった研修の他、ストレスチェック・組織診断、従業員支援に関するサービスを提供する。
 中国では急速な経済発展の下、特に若手従業員の仕事への負担感、イライラ感などが膨らみ、犯罪や自殺につながるケースも多く、社会問題になりつつある。中国国内の自殺者は年間数十万人とも言われており、その対策の一環として2013年5月にメンタルヘルスの推進、精神障害予防、精神障害者の権利・利益を守ることなどを目的とした「精神衛生法」が施行された。しかし、中国では精神疾患にかかっても本人が周囲に相談しない傾向が強く、企業の対応の障害になっている。このため、個人の秘密を厳守するEAPなどの外部機関と連携し、各従業員に対してメンタルヘルスに関する啓発活動を実施する他、経営層への教育を行うことが企業にとって急務となっているのが現状だ。
 さらに、現地日系企業においても、従業員のストレスが大きなトラブルに発展し、生産や供給の遅れといった経営に影響を及ぼすケースも見受けられる。同社では、従業員のストレスを専門家が適切に対応することや社内の推進者を育成することが、健康で快適な職場作りを醸成し、疾病予防だけでなく企業のリスクマネジメントや生産性向上の観点からも重要と考え、同サービスを提供する。
 同社では今後も、14年9月に提供を開始した海外駐在員向けメンタルヘルスサービス「LLax Global」と併せて、海外進出企業のメンタルヘルス対策を支援していくとしている。


   [2015-01-14]
 マニュライフ生命、非喫煙者の医療保障割安に

 マニュライフ生命は、ユニバーサルタイプ保険「マニュフレックス」と「マニュメッド」(無配当利率感応型10年ごと生存給付保険または無配当利率感応型10年ごと連生生存給付保険)に、医療保障への非喫煙者保険料率を導入した。これと同時に「介護保障特約」と「抗ガン剤治療特約」を新設し、自社営業職員であるプランライト・アドバイザー(PA)チャネルで販売を開始した。
 これまで死亡関係特約に限定されていた非喫煙者保険料率を、「医療関係特約」「ガン関係特約」にも適用するというもの。非喫煙者保険料率は、過去1年以内に喫煙していないことなどが適用の条件となっており、条件をクリアすると、喫煙者に比べて保険料が割安になる。また、喫煙歴については告知に加えて、同社所定の検査が必要となる。
 一方、新設された特約の一つ「介護保障特約」は、疾病または傷害を原因として、公的介護保険の要介護2以上に該当すると認定され、その効力が生じたときに「介護一時金」が支払われる。また、「抗ガン剤治療特約」は、抗がん剤治療やホルモン剤治療を受けた際に「抗ガン剤治療給付金」を支払う。
 今回の改定によって、医療保障の単独付加を可能にし、保険金額・給付金額をニーズに合わせて自由に設定することができるようになる。
 ユニバーサルタイプ保険は、資産を形成しながら自身や家族のライフステージの変化に応じて保障内容を柔軟に見直すことができる保険。同社は、2001年10月に「マニュフレックス」を発売し、03年7月には「マニュメッド」を発売した。以来、保障や特約の内容を改良、早くから死亡保障に非喫煙者保険料率を導入し、割安な保険料で提供してきた。
 同社によると、がん関係特約を除いた医療保障に、非喫煙者保険料率を導入するのは日本で初めてだという。


  [2015-01-13]
 三井住友海上の中小企業向け火災保険、発売1年で約10%増収

 三井住友海上が注力する中小企業向けの火災保険「ビジネスキーパー」が好調だ。2013年10月の発売から1年が経過し、従来商品との対比では、契約件数で約5%、収入保険料ベースで約10%伸びている。顧客ニーズに合わせてさまざまな補償を組み合わせられる商品内容が好評で、代理店向けの商品学習ツールを充実させて販売を後押ししている。
 ビジネスキーパーは、中小企業の事業活動に関するリスクをカバーする火災保険で、建物や設備・什器などの保険金額の合計が10億円未満の物件を対象としている。「選べる」「まとめる」をコンセプトにしており、オールリスク補償型のスタンダードプランと、水災の補償を限定し、盗難や破損・汚損などの補償を外して保険料負担を軽くしたスリムプランの2コースを用意。休業損害補償特約、賠償責任等補償特約、敷地内屋外物件追加補償特約といった特約は、普通火災保険や店舗総合保険などでは別途契約が必要だが、ビジネスキーパーはこれらをオプション特約という形で組み合わせてセットできる点が好評で、従来商品からの切り替えも進む。
 一方で、顧客ニーズに合わせて補償を選べる柔軟性から、代理店募集人には提案スキルが求められる。同社火災新種保険部では販売促進策として、まだビジネスキーパーに切り替えていない火災保険の更改申込書におすすめプランを載せる他、代理店学習ツールとして「『ビジネスキーパー』今からわかる! クリニック」を作成。引き受け方法や特約、補償、保険料、他の保険との比較といった項目ごとに、商品の特徴や提案する際のポイントなどをQ&A方式で解説する。商品別の補償内容の一覧表や提案話法なども載せることで、募集人にとって理解しやすく、すぐに活用できる内容となっている。
 オールリスク補償型の従来商品の販売時から、社内イントラネット上に定期的に配信しており、これまでに約30種類を提供。営業担当者は、代理店にメールで直接送ったり、印刷して勉強会や朝礼の際の説明資料などに活用したりしており、代理店からは「ビジネスキーパーへの苦手意識や抵抗感がなくなった」などの感想が多く寄せられている。建物設備と屋外設備の区別についてや、それらを補償対象とする方法についてなど、従来より問い合わせの多かった項目が人気だという。商品への理解を深めることで販売の増加につながっている。
 今後も、要望の多いトピックや販売成功例など内容を拡充していく考えで、「営業第一線の声を反映させながら、代理店にとって分かりやすく使えるツールになるよう継続的に作成してきたい」としている。


  [2015-01-09]
 テラ少短が「免疫保険」を2月に発売、がん免疫細胞療法保障

 テラ少短は2月初旬から、がん免疫細胞療法の治療費を保障する新しいがん保険「医師が考えたがん治療のための“免疫保険”」(免疫保険)を販売する。がん免疫細胞療法は、一部先進医療として認められているものの、その多くは自由診療として行われているため、多額の治療費が患者の負担となってきた。同社では、親会社のテラ鰍ェ提供する樹状細胞ワクチン「バクセル」をはじめとしたがん免疫細胞療法の普及促進と啓発をコンセプトに商品を開発した。
 がん免疫細胞療法などの再生医療・細胞医療は、2014年11月の再生医療新法(再生医療等安全性確保法)の施行をきっかけに、各方面から注目を集めている。
 テラの「バクセル」は、本来血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や、人工的に作成したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫療法。現在同社では、がん治療用の再生医療等製品として薬事承認取得を目指している。
 がん免疫療法は医療現場でも浸透し始めているが、その多くが自由診療であるため、患者には100から200万円程度の治療費負担が求められる。免疫保険開発の目的は、がん患者の金銭的な負担を軽減して最先端の医療を身近なものとし、がん治療の選択肢を広げることにある。そのため同社では保険料を手頃な金額に抑え、30代男性で1カ月当たり500円以下で加入できるよう設計した。
 保険金額は、がん診断保険金が100万円、がん免疫細胞療法を受けた場合、さらに60万円が支払われる他、がん免疫細胞療法を受けたにもかかわらず、がん診断から1年以内にがんで死亡した場合、100万円の死亡保険金が支払われる。保険期間は1年間。加入年齢は20歳から74歳で、84歳まで更新できる。
 販売は代理店チャネルと直販を中心に展開していく方針で、同社の山口太一社長は「高額な保険料を理由にがん保険に加入していない顧客にはもちろん、がん保険に加入している顧客への上乗せ保障としても活用してもらえたら」と展望する。
 同社ではすでに第2弾としてがん罹患(りかん)者向けの新商品の検討も進めており、今後も新たながん保険を開発していく。


  [2015-01-08]
 日本郵政グループ3社が株式上場へ、かんぽ生命株50%売却

 日本郵政は2014年12月26日、日本郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の株式上場について、来年度半ば以降、3社同時に売り出し、上場すると発表した。各社株式の売却規模については「市場に混乱を生じさせることなく、円滑な消化が可能と見込まれる規模」とし、売却比率は東京証券取引所と新規上場時の流通株式比率に関する特例制定を調整の上、有価証券届出書の提出時に公表するとしている。
 郵政民営化法は、日本郵政が保有する金融2社(ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の株式全部を処分することを目指すとしており、また、経営状況やサービス提供の影響などを勘案し、できる限り早期に処分するとしている。同社は、「この趣旨に沿って、金融2社の経営の自由度の拡大、グループの一体性や総合力の発揮等も視野に入れ、まずは、保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却していく」ことを明らかにした。
 金融2社株式の売却による日本郵政の収入については、日本郵政グループの企業価値と株式価値の維持・向上に活用される。また、新規上場時の金融2社株式の売却収入については、日本郵政グループの当面の資金需要は手元資金の充当で足りることを考慮し、日本郵政の資本効率の向上、政府が保有する株式の売却による復興財源確保への貢献と郵政民営化の推進に資するため、政府からの日本郵政の株式(自己株式)の取得資金への充当を想定している。
 なお、上場時の金融2社の主幹事証券会社については、日本郵政の主幹事証券会社と同一とすることを明示している。


  [2015-01-07]
 フィッチが15年保険業界展望でリポート、求められるリスク管理強化

 フィッチ・レーティングス(フィッチ)は昨年12月に、2015年の保険業界の展望についてリポートを発表した。それによると、生損保共に収益性が堅調に推移する見通しの一方で、損保は大規模自然災害リスク、生保は為替リスクと資産・負債総合管理(ALM)リスクといった事業上のリスクがそれぞれ増大する恐れがあることから、リスク管理の強化がより一層求められるとの見解を示している。
 フィッチは14年12月10日付で損保3社(三井住友海上、損保ジャパン日本興亜、東京海上日動)の格付を格付ウォッチ「ネガティブ」の対象にした。これは、日本の長期発行体デフォルト格付(IDR)A+が格付ウォッチ「ネガティブ」の対象になったことを受け、各社の運用ポートフォリオにおける日本国債への高い集中度を反映させたもの。損保のセクターアウトルックについては、保険引受収益が全般的に改善しており、3メガ損保グループで十分な資本基盤が維持されていることから引き続き「安定的」としている。14年度上期には、主力の自動車保険の料率を継続的に引き上げていることや、直近2年間の大規模自然災害による保険損失が限定的だったことを受けて損保各社のコンバインド・レシオは約95%に改善した。
 一方で、損保各社の海外子会社を含むグループレベルでの大規模自然災害リスクの管理には改善の余地があると指摘。実際、一部の損保は大規模自然災害へのエクスポージャー削減のため、再保険カバーの手当てを拡大した。14年度の付保損害額は過去2年を下回る可能性が高いものの、依然として大規模自然災害リスクの影響を受けやすい状態にあるとしている。
 生保業界については、同日付で国内生保セクターの格付アウトルックを「安定的」から「弱含み」に、セクターアウトルックを「強含み」から「安定的」に変更。日本の格付やマクロ経済見通しの制約などから15年中も格付アウトルックは「弱含み」にとどまる可能性が高いとしている。
 日銀の積極的な量的・質的金融緩和政策を背景に、生保業界は外国証券への資産配分を増やしており、12年3月末時点の19%から14年9月末には24%まで伸ばしている。高利回りの外国債券の保有拡大と持続的な円安進行は生保各社の収益性にプラスに働いており、資産運用収入の増加が最近の利益成長の主因となっている。
 15年も堅調な収益性が維持されるとみているが、中期的には為替エクスポージャーの増大によるリスクとALMリスクが生じると予想。大手生保のポートフォリオには、平均5年程度の資産・負債間のデュレーション・ギャップが存在すると推定しており、近年、ギャップが縮小傾向にあったが、日本国債の利回りが極めて低水準にとどまる上、各社は引き続き外国債券の保有拡大を目指していることから、縮小のペースが鈍化する可能性が高い。また、9月末のデータでは、生保各社の資産の日本国債への配分は36%。集中度は依然として高い水準にあり、生保格付は今後も日本の長期発行体デフォルト格付と連動することになるとしている。
 海外事業については、生損保共、引き続き国際分散が進むと予想しており、特に損保各社では、国内生保事業と共にグループの成長を支えると思われるが、海外事業で成功するには、海外市場から生じる新たなリスクを管理する能力が極めて重要だとしている。
 フィッチ・レーティングス・ジャパンの森永輝樹ダイレクターは「日本の生損保が保険引き受けおよび資産運用について国際分散を進めていくことは、国内における保険市場の成熟化や人口減少などに鑑みれば理にかなっているが、その結果、グローバルなグループベースの統合的リスク管理(ERM)態勢の高度化が一層求められることになる」と話す。



 (保険毎日新聞から抜粋)