2018.01.10 損保協会 定例会見、18年度税制改正要望の結果説明、重点要望含む3項目実現

損保協会は2017年12月22日、業界紙向けの定例記者会見を行い、2018年度税制改正要望の結果について説明した。要望した全9項目のうち、重点要望項目の「国際課税ルールの改定における対応」、その他要望項目の「損害保険業に係る法人事業税の現行課税方式(外形標準課税)の継続」「消費税上の内外判定基準について」が実現したことを報告した。「火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実」「損害保険に係る消費税制上の課題解決に向けて」などの6項目は見送られた。

 18年度税制改正要望の重点項目「国際課税ルールの改定における対応」では、①外国子会社合算税制において、17年度税制改正で規定された「外国金融子会社等」について、損害保険ビジネスの実態を踏まえた手当てを行うこと(具体的には、[イ]英国ロイズを保険会社として外国金融子会社等に含めること、[ロ]出資規制を受ける保険会社、保険代理店等、中間持株会社を、金融持株会社の判定上、傘下子会社として認定することの二つ)②その他の国際課税ルールの見直しが行われる場合には、損害保険ビジネスの特性に留意すること―を要望した。
 17年12月14日に「与党税制改正大綱」が決定され、[イ]については、英国ロイズ市場において、メンバーとマネージングエージェントが一体となって保険業を営む場合には、これらを一体として外国金融子会社等の該当要件の判断を行う。保険委託者と保険受託者が一体となって保険業を営む場合も同様とする。[ロ]については、金融持株会社の総資産の帳簿価格のうちに外国金融機関等の株式等の帳簿価格の占める割合が75%を超える旨の要件において、一定の要件を満たす会社(出資規制を受ける保険会社、従属・金融関連業務を営む会社、中間持株会社)を計算の分子に含める、とされた。なお②については見送られた。
 「損害保険業に係る法人事業税の現行課税方式(外形標準課税)の継続」に関しては、付加価値額及び資本金等の額による外形標準課税を組み入れていくことについて、継続検討とされた。また「消費税上の内外判定基準について」は、①外国証券等の譲渡に係る消費税の内外判定基準について明確化すること②リバースチャージ方式の対象取引拡大を検討する際は、金融機関の実務負担等に十分に留意すること―を要望。そのうち、①において、券面のない有価証券等の譲渡に係る内外判定については、振替機関の所在地で判定することとされた。
 定例会見では、ASEAN10カ国の保険協会をメンバーとするASEAN保険会議(AIC)との関係強化、ミャンマー保険協会(MIA)との協力覚書の締結についても説明した。AICとの関係強化は、AICの会合に参加し、役員会や分科会でプレゼンテーションを行うとともに、ASEAN諸国とのベストプラクティスの共有を目的に、AICに恒常的に参加したい旨を要請。同協会のこれまでのAICに対する貢献が大きく評価され、両組織間の覚書締結について役員会で審議され、満場一致で了承されたとして、今後は覚書の内容等を詰めた上で、本年には署名する予定としている。
 また、MIAとの協力覚書の締結は、17年10月17日のMIA設立に当たり、同協会は同年6月と9月に現地でワークショップを開催し、設立を支援してきた。今後も一層関係を強化することを目的として協力覚書を締結するとし、18年1月中の締結を想定して働き掛けていくとしている。
 定例会見ではこの他、タイ損保協会50周年式典への出席、原典之協会長のマレーシア損保協会への訪問、損保協会創立100周年記念式典の開催、「防災推進国民大会2017」への参画、AIU損保と富士火災の合併により18年1月に誕生したAIG損保の同協会への入会などについて報告した。