2017.11.22 東京海上HD 17年度第2四半期決算、連結収保 増収を確保

東京海上ホールディングスは11月17日、2017年度第2四半期決算を発表した。連結経常収益は前年同期比5.6%増の2兆7323億円だった。このうち正味収入保険料は、国内損保事業と海外保険会社での引き受け拡大、海外での円安進行の影響により、同6.2%増の1兆8064億円と増収を果たした。生命保険料は、東京海上日動あんしん生命の保有契約の拡大などを要因に、4559億円と同4.9%増の増収だった。一方、連結経常利益は同43.9%減少して1198億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同50.6%減の767億円で、海外での大口自然災害(注)や東京海上日動での大口事故等の影響が主因となり、減益となった。異常危険準備金の繰入やのれん・無形固定資産の償却負担等の影響を控除した修正純利益も同34.5%減少して、1435億円となった。

 国内損保事業では東京海上日動の保険引受利益が同539億円減益の109億円となった。正味収入保険料で自動車保険の契約件数増加を主因とする増収や、超ビジネス保険の販売拡大等によるその他種目の増収があった一方、自然災害に係る発生保険金の増加、前年同期の円高進行に伴う外貨建支払備金積減の反動、大口事故等の影響の他、正味収入保険料の増収に伴う代理店手数料の増加が主因となり、減益となった。
 正味収入保険料は、火災が同4.2%増の1296億円と家計分野を中心に増収した。傷害は同5.3%減の971億円で、その他種目への一部種目移行により減収した。自動車は、件数増加を主因として、同1.5%増の5310億円、自賠責も同じく同6.6%増の1488億円と共に増収。その他は、保証保険での解約の影響があったものの、傷害からの一部種目移行に加え、超ビジネス保険の販売拡大等により同7.3%増収の1487億円だった。海上は同2.3%減の296億円。正味収入保険料の合計は前年同期実績を上回る同2.5%増の1兆850億円だった。
 発生保険金(損害調査費含む)は同626億円増加し、5730億円となった。E/I損害率は自然災害に係る発生保険金が増加したことに加え、大口事故や中規模事故の増加、前年同期の円高進行に伴う外貨建支払備金積減の反動、自動車保険の特約保険金の増加等により、同5.8ポイント上昇の61.8%となった。事業費率は正味収入保険料の増収を主因として同0.2ポイント低下し32.2%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同5.6ポイント上昇し94.0%だった。
 資産運用等損益は金融派生商品損益および有価証券売却損益は減少したものの、海外子会社からの配当金収入の増加等によって同366億円増益の1328億円となった。
 経常利益は同149億円減の1443億円、中間純利益は同116億円減益の1124億円、単体ソルベンシー・マージン比率は904.5%と同73ポイント上昇した。
 日新火災の保険引受利益は同6億円増益の32億円だった。火災保険に係る新商品の販売拡大による増収、新種保険に係る中小企業向け新商品の販売拡大による増収の他、自動車保険・自然災害に係る発生保険金の減少等によって、前年同期実績を上回った。
 資産運用等損益は、前年同期に計上した為替換算損の反動等によって、同3億円増益の9億円となった。
 経常利益は同9億円増の38億円、中間純利益は同5億円増益の26億円、単体ソルベンシー・マージン比率は同6.2ポイント低下し1394.6%だった。
 東京海上日動あんしん生命は、長期貯蓄性商品の販売休止等により新契約年換算保険料が前年同期比11%減の475億円だった。
 保有契約年換算保険料は変額商品の運用期間満了に伴う一括支払いがあったものの、新契約の積み上がりにより、同3.7%増収し、8412億円と前年同期実績を上回った。
 中間純利益は危険準備金の積み増しや有価証券売却益の減少等によって、同44億円減益の61億円となった。基礎利益は標準利率引き下げ前の契約増加による責任準備金の積み増しが当期に一部発生したこと等により、同23億円減益の142億円。
 海外保険事業の正味収入保険料は各事業の成長施策の進展や円安進行の影響等によって、同14%増収し、8676億円となった。北米はフィラデルフィア、デルファイ、TMHCCにおける更新契約の料率引き上げや引受拡大等で同13%増の5160億円だった。欧州はTokio Marine Kilnでの引受拡大等によって同23%増の795億円。中南米はブラジルの自動車保険引受拡大を主因として同23%増の701億円だった。アジア(中東含む)はインドをはじめとした各拠点の成長施策の進展等によって同22%増の662億円だった。
 事業別利益は、為替換算損益の悪化等があったものの、各事業における成長施策の進展や円安進行の影響により、同7%増の848億円となった。
 このうち北米は、①フィラデルフィアが大口事故の影響等により現地通貨ベースでは減益したものの円安の影響により増益②デルファイが前年同期の投資実現損の反動や運用資産増加等に伴う資産運用収益の増加によって増益③TMHCCが為替換算損益の悪化等により現地通貨ベースでは減益したものの円安の影響により増益―となり、同19%増益の666億円だった。欧州は為替換算損益の悪化や大口事故の影響等によって同60%減益の35億円となった。中南米はブラジルの自動車保険の収益改善を主因に同24%増益の21億円、アジア(中東含む)はリザーブ取崩や各拠点における収益改善等によって同200%増益の85億円と前年同期実績を大きく上回った。なお、これらに17年度第3四半期(7―9月)に発生した北米ハリケーン等の大口自然災害の追込み計上488億円減益を反映した結果、同55%の減益となり、調整後の事業別利益合計は360億円となった。
 東京海上HDでは、今回の大口自然災害は8月、9月に発生したため、本来であれば海外保険会社の第3四半期実績に含まれるが、重要性の観点から追込み計上した上で、第2四半期のグループ実績に反映させたとしている。東京海上日動引き受け分については、東京海上日動個社の第2四半期実績に含まれる。
 (注)ハリケーン・ハービー、イルマ、マリア、メキシコ地震の4災害を指す。